見出し画像

読書感想:行動経済学まんが ヘンテコノミクス

読んだきっかけ

消費者心理を理解するうえで、「非合理な判断」や「無意識の嘘」があることを原田さんの本や鹿毛さんの本で学んできた。そこの理解を深める上で、学ぼうと思ったのが「行動経済学」だった。

行動経済学は、少し前にバナナマンが出演するテレビCM住友生命「Vitality」の中でも紹介されたもので、同じPR業界の中でもオズマピーアール社が行動経済学を活かしたサービス提供をしている。

そうしたこともあり、以前行動経済学にまつわる本を読み、面白いと思ったものの、なかなかマーケティングPRへの活用は見いだせずにいた。どうしても活用するとなると、「悪用」的な手法に見えてしまうためだ。こうした行動経済学の悪用は、「スラッジ」というらしい。

ただ、消費者心理を理解する上で、自分の生活を振り返ってみても非合理な行動はいくつも思い当たる節があった。

・昨日も楽天スーパーセールのポイントアップをふるさと納税で活用するために、買う予定の無かった1000円の出汁などをついで買いしてしまったり
・「無料」に魅力を感じてしまい、「2000円以上1個無料」のような文句に踊らされて、Uber Eatsで余分な注文をしてみたり
・500円のnoteや本を買うのに躊躇するのに、まんがアプリのポイントは躊躇なく買ってしまったり

このあたりの理解を深めるにはどうしたら良いのかと考えた時に、改めて行動経済学に触れてみてはどうかと思い、サクッと読めそうな本書を手に取った。

総括

本書はマンガ8割、コラム2割くらいの割合なので、本当にサクッと楽しみながら読むことができる。僕はそれほど読書スピードは早くないものの、現に30分くらいの通勤時間と昼休憩の1時間を使ってコラムまでしっかり読み終えることができた。

しかし、サクッと読めた一方で、日常に近い形で行動経済学の理論が説明されるため、以前読んだ行動経済学の本よりも腹に落ちた感覚がある。

ちなみに以前読んだのは以下の本。この本はこの本で内容的には非常に面白かった。が、海外の実験などがベースになっているので、いまいち内容がつかみにくい部分も正直な話あった。
予想どおりに不合理


学び

・おとり効果
1つでは価値が決められなかったものでも、おとりとして新しい選択肢が追加された途端、「どちらの選択肢が良いか」という問題に置き換わること

これは、ある家電メーカーがホームベーカリーを販売したときの逸話をベースとしたまんがが紹介されている。

テストマーケティングでは好調だったにも関わらず、いざ販売をすると全く売れない。そこで、上位機種を投入したところ、元々の機種の売上が大幅に伸びたというエピソードだ。

以前読んだ本田さんの「PERCEPTION」の中でもこのエピソードに近い示唆が書かれている

物事は常に相対評価される。コントラストが与えられることで、丸いと思っていたものが四角に見えたり、老けていると感じた人が若く見えたりする。これがコントラストによるパーセプションの形成だ。

本田哲也著「パーセプション 市場をつくる新発想」p.28より

企業のコミュニケーションでは、よく比較対象を用意し、二項対立的な構図を用意し、メディアを巻き込むことが多い。有名なところでは、マクドナルドVSバーガーキングだったり、コーラVSペプシのようなものだ。

数年前には、ニューヨークの金融街ウォールストリートの象徴である”雄牛の突撃”像の目の前に立ち向かう少女の像が建てられたことも話題になった。

https://www.bbc.com/japanese/39415083

こうした対立構造は、メディア的にも好まれやすく、こうした構図を意識してコミュニケーションの戦略・戦術を立てなさい、というのはPRに関係する人であれば一度は言われたことがあるかもしれない。

パーセプションを変えるためにこうしたコンテンツを用意した、とこれまでは理解していたが、消費者の目線で、比較対象が現れることで、「それ」に対する見え方が変わるのだなということが深く理解できた。

・極端回避性
選択肢を3つ提示されると、間を取って真ん中を選んでしまう傾向のこと。
これも、仕事の中でクライアントに向けた提案をする時に、よく松竹梅の形式で施策のお見積りを提出する。

もともとは、幅があった方がクライアント的にも選びやすいよなとなんとなくやっていたことだったけれど、「竹で」と言われることが多くて、本当の推しは「松」だったのになんで!と思うことがあった。

ただそれは、極端回避性が働いていたのだなと感じた。
確かに自分の日常生活を振り返ってみても、並盛り・大盛り・特盛があるラーメン屋などでは大盛りを選んでしまうし、旅行のプランを予約するときにも特段の目的が無い限り、素泊まりプラン・ベーシックプラン・プレミアム贅沢プランみたいな三段階の時にはベーシックプランを選ぶことが多い。

厳密には、割合があるらしく、松竹梅の法則(ゴルディロックス効果)として
松:竹:梅=2:5:3という割合の分散となることが多いらしい。

このあたりはまだちゃんとした参考文献を読めていないので、今後の読書で読んでみようと思うが、身近な部分にも大いに行動経済学が生かされているのだなと感じた。

他にもたくさん学びはあったが、今後も消費者心理の理解のために、関連書籍を更に読み進めてみたいと感じた。

この記事が参加している募集

読書感想文

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートは、複業ライターとしての活動費に使わせていただきます!