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鎧兜を身に着けて生きる。

「This is not a Samurai」@館林美術館
この猛暑の中、これまた全国でも酷暑の館林まで行ってきた。
館林駅に着いたらまずはロータリで温度表示をチェック!38℃! 
あちい~ わかっていたけど(笑)。
そして、今まで何度も見逃していた野口哲哉氏の作品達に会うため、駅からとて~も離れている美術館へ。(巡回バスで15分)
「群馬県立館林美術館」はモダンで曲線が美しい建築。お気に入り美術館のひとつ。

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”This is not a Samurai” が本日の展覧会テーマ。アーティストは野口哲哉。
鎧兜はサムライのアイテムで伝統的なモノだけど、中身は色んな感情を持っているひとりの人間。時代や文化が変わっても人間自体はそう変わらない。”サムライ”はレッテルであって、これ(中身)はサムライではない。 
#ある意味 「人間性の追求」。(との解説をしている人も)

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180点もある作品を観ている時には、とにかくその精巧な作りや、伝統的な甲冑(鎧兜)と近代的な造形やシーンのキッチュな取り合わせが楽しくて、なんだか面白カッコイイぞ~と夢中。説教顔する兜を、上目遣いで不平そうに眺めるサムライにクスッとしたり、シャネルコラボの甲冑にホレボレしたり。フィギュアを観てるようでわくわく。
でも、見続けているうちになんだか哀愁が・・・
みんな無表情な顔つきなんだけど、その奥にひとり1人、その人なりの物語があるに違いない。と妄想する。

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鎧兜は、古い時代で、様式的で、堅固。
中身の人間は、今を生きていて、多様で、傷つきやすい。
本当に甲冑を着ていた時代の人も、現代人も同じ。鎧兜と中身(人間)のコントラストが不思議な感じだ。
この鎧兜、一度身をに着けるとなかなか脱ぐことは難しいのだと思う。というよりも、そもそも鎧兜はどんな人でも身に着けているものなのだ。と、ふと思う。

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人によって色・カタチ・素材・硬度が異なっていたり、兜だけとか、鎧だけとか、両方キッチリとか身に着けかたもきっと人様々。中には透明な鎧兜で人には見えないモノもあるんいだと思う。

人は鎧兜を身につけながら、現世を上手に生きている。
鎧兜があるから安心して、生きたいように生きている。
そんなふうに考えると、鎧兜は防衛機能の役割を持っているのかもしれない。防衛機能といえばフロイト!心が傷つくことを避ける機能が鎧兜にはあるのだ。刀や鉄砲から身体を守るだけではなく。

もしそうなら、アタシは鎧兜を身に着けながらも、少しでも「素直」で「誠実」でいたいし、「愛」を表現できる人でありたい。

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写真: 群馬県立館林美術館 2021年


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