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2030 年の商業施設の在り方への思考実験- adptOS とは何か -

わたしたちはインターネット誕生の日から 50 年と 1 日目に、未来の商業施設の運営のあり方へと思いを馳せながら新しいプロダクトと導入決定を発表させてもらった。

adptOS は過去に自社で実験店舗を出店した際に得た知見と一部のシステムをベースに開発されている。

これまでも小売店舗内においてカメラや WiFi/beacon などのハードウェアを設置しそこから得られるデータや、テクノロジーをベースとして商品棚割や、導線の改善、集客効果の可視化などに取り組めるようなプロダクトを提供している会社などは複数あった。(むしろこれからも店内のセンシングのみならず、店舗運営業務を効率的に行うための SaaS は増えていくであろう。

小売店としては入店率を上げれば、滞在時間を伸ばせれば、買い上げ率を上げられれば当然収益性が改善されるわけなので投資に対しての合理性は一定ある。

しかし商業施設は少し事情が違う。小売店は店内のことであれば自分たちがハンドルを握っている。

一方商業施設は集客を果たし、出店店舗への送客をするところまでがコントローラブルな範囲でその後に出店店舗が売上が上がるかどうかは概ね店舗に委ねられる部分が大きい。

とすれば、既出のソリューションを入れるのみでは店内を直接改善できるわけでもなく、施設内の人流が可視化されてテナントの構成を検討し直すにも長期的な賃貸借契約を結んでいるケースが多く、構成自体をフレキシブルに変更は困難で、担当者がデータを見ただけではうまく投資に対しての出口が作れずにツールの導入も進まないというケースが多かった。

そういった背景も踏まえて、わたしたちの新しいプロダクト「adptOS」は何を目指してつくられておりどこに向かうのかを記しておくためにも 2030 年の商業施設の姿を妄想しながら書き連ねていきたい。

これまでのショッピングセンター

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ショッピングセンターという業態が日本に本格的にできたのが 1969 年とされている。(画像引用: 高島屋 様より)

そしてアメリカと同じように自動車というテクノロジーの普及や大規模小売店舗立地法などの法改正に伴って郊外型のショッピングセンターがさらに増加し、それまで隆盛を極めていた GMS を超える成長を遂げていった。

特徴的なのが集積効果や小売店側の初期出店コストの低減、荷捌きや駐車場などの共通化、そして賃料の歩合モデルで国全体の成長と消費額の増加に合わせて高い成長を誇った。

ショッピングセンターの課題

しかし日本の EC の夜明けである 2000 年前後から約 20 年で EC 化率は 6 %を超えてきた。中国が約 15 %、US が約 10 % ちょっとであることを鑑みると国ごとの特徴による差分は当然あれど、まだまだ EC に成長余地があることは間違いない。

これまで物販によって多くの収益を上げてきたショッピングセンターだったが、小売全体は成熟産業であるがゆえ市場規模はほとんど変化せず、その中で EC 化率の伸長に伴い店頭での売上という意味では下落傾向(非生鮮が顕著)にある。

これまで「売り場であること」「その面積を拡張すること」を前提として成立してきたビジネスモデルのみでは陰りが見え始めたわけだ。

もちろん今日明日で破綻する訳では無い。が、少なくとも全体の 2-3 割程度までオンラインでの消費に移っていくとすると、国内の消費額が伸びているわけではない日本において、そのままショッピングセンターの物販にとっての GMV が2-3割減ると言っても過言では無い。

結果として飲食店やサービス業などのその場での提供価値が価格とニアリーなスペースを増やしたり、ワークスペースや街の機能である病院、公共施設などの誘致、はたまた US では遊園地と一体化する等様々な形で人々を吸い寄せる策を講じている施設も出てきている。

はたしてここから 10 年後の 2030 年にはどのような施設であるべきなのか。

2030 年への妄想

1. 小売業態での出店者数トレンドは減少傾向の現在よりも増加  

2. 賃料方式が固定費のみだが、賃料以外の広告費やプロモーション代行費用など新たな収益源が増える or 固定費+オンラインでの売上も含めたレベニューシェア

3. 店頭での注文が即時配送で、当日中か翌日には指定地点に届く物流インフラ

4. 館内および店内でのお客様の行動は匿名化、統計化された状態で解析され、出店者の配置や店内の動線などのユーザービリティがデータによって向上し、より快適で楽しいショッピング体験が提供される

5. 天候や気温、商圏データや過去の購買データなどから店頭の MD を変更

6. 館内の DOOH (屋内デジタル広告)や位置情報ベースでの push などで、通る来館者に合わせたコンテンツが配信され、出店者商品の在庫状況なども鑑みた高効率な買い回りを実現

7. AR ベースで買う予定の商品を EC カートへ追加可能

8. 「売り場」としての場づくりから、「ブランド体験」を提供する場づくり

9. 接客員の方々は販売へのフォーカスではなく、お客様のコンシェルジュであり、ブランドアイデンティティーを伝道するアンバサダーとしての役割へ

10. 接客時のお客様との会話も(当然、個人情報保護に配慮及び事前承諾を得た上で)テキストデータ化及び自然言語処理され、より良い接客体験、製品改善、マーケティングアプローチへの利活用

とりあえず 10 個ほど上げてみたが、いずれもデジタルトランスフォーメーションはもとより、お客様の消費行動がすでにデジタルベースに移行しているのにも関わらず、提供側がその消費行動に合わせた変化が出来ていないことの裏返しを書いているにすぎない。

言うは易しだが、シンプルにお客様の消費行動や、どのようなコンテンツやメディアや環境に影響を受けているのかに合わせて、よりフレキシブルで、より心地よく、より楽しいお買い物体験を作る以上に重要なことはないと考える。

adptOS はそんな世界が間も無く来ることを信じて構想をしているプロダクトだ。

adptOS とは一体なんなのか

提供当初は IoT センサーを通じた来店分析 SaaS の皆様と連携させて頂く iPaaS(Integration Platform as a Service) として提供を始めていくが、adpt「OS」と名付けているからには施設運営及び店舗運営において、より消費者の皆様の消費行動に合わせた運営を実現できるような様々な SaaS パートナー様との連携を増やし、より本質的な店舗での体験提供にリソースをさけるようなものに仕上げていきたいと考えてる。

そしてこれらの未来を実現する上で、まずは施設において「なにが起きているのか」を見えるようにし、データを基に施設担当者が施設の施策を、そして出店者への営業支援を行う為の組織および組織文化づくりが非常に重要だと感じている。

データがマジックを起こすわけではなく、あくまで来店されるお客様を良く知り、お客様の体験価値を向上させる為の基盤に過ぎない。

お客様の心を揺さぶる体験を作る事にフォーカスする為、人の無限のイメージを実現させる為の道具としてのテクノロジーを誰もが使いこなせるようにするモノ、それが adptOS の目指す姿だ。

そして課題になっていた施設担当者の投資の出口問題として、私たちならではの解決方法がある。

SHOPCOUNTER を利用いただく出店者や POPUP NOW と言う自社ブランドで展開を増やしているフレキシブルスペースと合わせてディベロッパー様に導入頂くことで、どんな出店者が入居してどのような成果が出ているときに、回遊行動や集客、買い回りがどのように変化するのかを頻度の高い入れ替えにより短いタームでデータを獲得していくことができる。

つまりこれまで 5-7 年のような定借期間の契約のみでは実現しなかったフレッシュな MD と商圏との相性をテストしながら成果を高めていける環境を構築できる事で館全体の収益を向上させていく出口を用意できるようになった。

言うなれば、IT 業界ではすでにお馴染みの、アジャイルな開発手法とデータドリブンな意思決定をリアルな世界において実現する為の手段を提供していることだと理解している。

価値を形作るために試行錯誤を続け、検証し、よりお客様に素晴らしい体験を届ける為に。

最適な「場」を提供し、誰もが価値を届けられる世界に。

わたしたちのミッションは、人とテクノロジーの力でその時代にぴったりで必要な「場」を作り出し、その場を通して誰もが自分たちのイメージする価値を届けられる世界を目指している。

創業から丸 5 年経った今、改めてこの時代にこの領域でチャレンジが出来ている事に興奮しているし、その興奮を一緒に働くメンバーやパートナーの皆様、お客様と共有しながら、2030 年のあるべき姿に向けて価値を積み上げていきたい。

と言う事で、弊社では様々なポジションで新しい仲間を募集しているので、少しでも興味が湧いた方はご連絡ください!

・リアルな世界をテクノロジーの力でより良くしてみたいエンジニアの方(現在の技術要件などは wantedly などにも記載してます

・D2C などの新しいデジタルベースの売り手の皆様を支援してみたい セールス / カスタマーサクセスの方
・大企業の方々との DX 推進をバンバンまとめてくれる bizdev
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など、ぜひアクセスください!バックグラウンドは問わず、小売/商業不動産領域のデジタル前提世界への移行を支援する大仕事(小売 150 兆円、ショッピングセンター 30 兆円の巨大産業の構造変化なんてタイミングなんて人生に1度あるかどうか)に興味がある優秀な方であれば何処へでも飛んで参ります。

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