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2023年 振り返り

タイでもクリスマスは賑わいを見せ、
各病棟や部門至る所で、
昼食時にPartyが開催されていました。

看護師も頭に被りものをし、
患者さんにクリスマスが来たことを
知らせているようでした。
(せん妄予防?楽しんでいるだけ?笑)

年始の病棟の様子

タイの12月の気温はといいますと、
寒いと思ったのは5日ほどで、
最低気温は14℃。
そこからまた気温は上昇し、
あいかわらず半袖半ズボンで通勤しています。

ただ現地の人は長袖をまとい、
院内では「2 layer」と言って
着込んでいる人もちらほら。
聞くと、「冬を楽しみたい」とのこと。

外傷外科医っぽく言うのであれば、
血管損傷のの手術室の方が
よっぽど冷えるので、
もう少し手術室を温めてくれないかな、
と思う日々です。

12月半ばに「あと3ヶ月で研修も終わりか」と思ったのも束の間、
タイトルの通りもう年末、
そして新年を迎えました。
もう研修が開始となり、
7ヶ月となるんですね。
*タイの新年はシンプルで、
 お寺に行く人が多いなと感じるくらいです。
 1月2日から仕事始めです。

さて、ただ時の流れが速いのかと言われると、
実は今までに比較し
ゆっくりであると感じています。

年齢が上がるにつれ、
時の流れは速く感じるものだと言いますし、
実際昨年まではそう感じていました。

ただ何かにチャレンジしているという事もあるためか、
今年に限って言うと、
時の流れはゆっくりとしています。
もう少し研修を続けたい
という気持ちはありますし、
充実しているからでしょうか。

2023年振り返ってみますと、
タイに来るまでは、
岡山から千葉に引っ越し、
子供達にとっては完全に新たな環境でした。
私たち夫婦には慣れた土地ではありますが、
今までと真逆のような環境で研修しておりました。
*ただ個人的には
 めちゃくちゃ良い研修ができたと思います。

研修の傍、家族と過ごす時間以外で、
留学の準備にはそれなりの時間を割きました。
準備をすることで、様々な役所に行き、
社会システムを学んだ気がします。

タイでの研修が始まるまでの3週間、
新生活準備をしましたが、
これはあっという間でした。

研修が始まってから
外傷緊急手術だけで言えば、
7ヶ月で80例ほど入りました。
*気管切開や定期手術は含まない。

日本の時のペースで比較すると、
6-7倍のペースになるかと思います。
日本でもそれなりに手術の多いところで
研修していたのですが、
症例数はさすがというところです。

外傷外科医にとっては
恵まれた状況であると思います。

ただもしかすると、
「あれ、それほどでもないな。」と
思われる方もいるかもしれません。

ただ私の場合、
家族を病院に連れて行ったり、
その他の病院に研修、
定期的にImmigration Centerに行く、
VISA問題が発生し緊急でラオスに行くなど、
実は1/3ほどの緊急手術に入れていません。

*指導医も結構気を使ってくれ、
 深夜の短時間で終わる手術は
 呼び出しされないことも。
*ただしそれに対しては「次は呼んでください!」とお願いしています笑
なので本当は7ヶ月で120例ほどの手術がありました。


また消化器外科出身の私であっても、
重症外傷で血圧は低い患者さんの開腹手術をする時は、
数ヶ月前まで、かなり緊張していました。
膨満するお腹、開腹と同時に溢れ出る血液を見て
アドレナリンが出ていました。

しかしだいぶ慣れてきたのか、
淡々とガーゼを詰め血液を除去すればいいと、
少し冷静に対処できる事も増えてきました。

先日は血圧が低く
急がねばならない状況でしたが、
開腹すると非常に癒着の多い状況でした。

ただこの時、以前の経験を生かし、
逆に手術操作のスピードを少し緩めました。

これは以前同様の症例で急ぎすぎた結果、
自分の手で損傷を作ったことがあるためです。

結果、Totalで考えると、
最短で手術を終えることができました。

指導医の先生からも
「状況を見極めて、焦らず、適切なスピードで操作できていたよ。」
と褒められました。
以前その指導医がやっていた事を真似ただけなんですが笑

このように経験が自分の血になり、
肉となっている感覚です。
次は肝臓や腎臓、心臓の手術がしたいです笑

まだ複雑な症例は
指導医が執刀することが多いですが、
第一助手としてその手術を見れ、
手術のあとDiscussionができ、
とても恵まれています。

ただ執刀することで、
後期研修医のチャンスを
奪ってしまっているという事実は、
いつも意識してしまいます。

彼らにとっては異国から来た謎の医師が、
自分たちがもしかしたら
執刀できたかもしれない症例を、
奪っていっているように
見えてもおかしくはありません。

なので日々の手術でも、病棟でも、
どこかでは自分からGIVEできないか、
常に考えながら、
でしゃばりすぎないていないか、
第2の自分に問うています。

また嬉しいことに、
日本から多くの医師が訪れてくれます。

亀田の初期研修医、
亀田時代の後輩も来てくれました。
大学から繋がりを作るために来られた先生、
今後コンケン病院で研修を希望する先生など。
様々な出会いがあり、
また今月も複数人来られるとのこと。

日本のAcute Care Surgeryが
より良いものになるように、
少しでも外傷診療を知ってもらえればと思い、
自分が伝えられることを伝えています。

特に若い世代には、
10年後自分が指導する立場になった際、
頭が凝り固まった上司にならないよう、
柔軟な考えができるよう、
こんなやり方があるんだとか、
異国ではこんな研修をしているんだと、
感じてくれたらいいなと思っています。

次回は今年の抱負を書きたいと思います。


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