外傷外科医なおたろう@3児の父

外傷外科医として働く医師・なおたろうです。 2023年6月からタイに外傷診療を更に経験…

外傷外科医なおたろう@3児の父

外傷外科医として働く医師・なおたろうです。 2023年6月からタイに外傷診療を更に経験するために留学しています。 仕事をする以前に、家族を大切にしています。 最愛の妻、3人の子供と楽しく過ごす事が1番の喜び。 興味がある事→健康、夫婦学、地域(コミュニティ)、地方創生

最近の記事

Thoracoabdominal Injury 〜まさかっっ。〜

先日経験した 上記症例の共有をしたいと思います。 そもそもThiracoabdominal injuryとは 「この位置の損傷は胸も腹もあり得る」 というものです。 上の写真の位置 前面→第4肋間から肋骨弓下 側面→第6肋間から肋骨弓下 後面→第8肋間から肋骨弓下 Landmarkは 前・側面→乳頭レベル 後面→肩甲骨 と覚えると簡単です。 また今回は症例のみならず、 共有したい結論を先に言っておきます。 それは 「患者は逃げるが、犯人は追う。」 (当たり前だけど)

    • Decision Making

      トップ画は生成AIが作ってくれた 「Decisin Making」の画像です。 こんなゆったりしてない笑 はい。 外傷外科医って何している人なの。 日本では外傷が少ないため、 一般外科医から見ても、 普段何しているか イメージできないかもしれません。 外傷外科医の強みは Physiologyベースで 戦略を考えることができる、 集中治療ができる、 一般外科の緊急手術に強い、 など様々な強みがあります。 ただし強いて1つに絞るのであれば、 「Decision Makin

      • Penetrating Neck Injury

        あのー、トップ画なんですが、 先日ダウンロードした生成AIにタイトル通り 「Penetrating neck injury」 って入れて出来た画像です。 損傷ないやん!笑 それとも両側ともガーゼ保護してるんか?笑 はい。 昨日日本の外傷メンバーとの 多施設カンファレンスがありました。 このカンファレンスは 定期的に3ヶ月に1回程度、開催されます。 帝京大学、大阪市大、倉敷中央を中心に 個人参加も複数ありました。 症例は鋭的(Penetrating)頸部損傷でした。

        • 外傷外科医の遊び

          外傷外科医たちが一度集まれば、 「こんな症例がうちの病院に来たんだけど、君ならどうする?」 って話で盛り上がる。 これが外傷外科医の会話である、と上司から語られてきました。 しかし日本では外傷も少ないので、 「もしもこんな症例が来たら、どうする?」 って自分でイメトレ(妄想症例)をすることもあるし、 また妄想症例の話で盛り上がることができる、 これが真の外傷外科医であると。 これを私は勝手に 「外傷外科医の遊び」 と呼んでいます笑 私は男子中高卒であった影響もあり、 当

          心損傷(Left Anterolateral incision)

          これは倉敷所属中、 に最も心に残った症例の紹介です。 この症例は 瀬戸大橋を介し隣県である 香川県からのご紹介です。 *ちなみに香川県は大好きです笑 四国のどこかに行くにしても、 必ず高速道路を降りて、 朝うどんを食べるのが恒例でした。 自動車自損事故。 「近くの病院へ搬送した方が安全だ」 と思うほど、不安定な状態でした。 ただ 救急隊も理由があり当院に依頼しているはず。 急いで搬送してもらうことにしました。 搬送まで45分、 この時間で準備をします。 まずは手術

          心損傷(Left Anterolateral incision)

          Subxiphoid Pericardial Window

          初めてCardiovascular and Thoracic surgery teamの手術に参加してきました。 診断はChronic Pericarditis due to tubercurosisで、 術式はSubxiphoid Pericardial Windowです。 外傷において、Subxiphoid Pericardial Windowは心嚢液貯留に対する手術です。 診断的、また治療目的でもあるSubxiphoid Pericardial Window。 日本で

          Cattell-Braasch, Mattox(腎損傷症例)

          本日はちょうど昨日経験した腎損傷の症例で、 上記タイトルである Cattell-Braasch maneuver Mattox maneuver が有用だったので、記事を書きます。 一般外科では 耳にすることの無かった言葉ですが、 Cattell-Braasch maneuver Mattox maneuver 共に外傷の世界では有名な言葉です。 そもそも前者は何て読むのかというと、 Cattell-Braasch(キャトル ブラッシュ) です。 ケトルでもブラッキー

          Cattell-Braasch, Mattox(腎損傷症例)

          これからのNote方針について

          Twitterもそうなのですが、 もう少し外傷外科を目指している人や、 外科研修医に役立つ情報を 提供できればと思い、 外傷症例ベースの記事を増やします。 分かりやすい記事を書きたいので、 要所のみの記載となります。 もし間違っている内容があれば、 外傷外科の皆様、ご指摘頂ければ幸いです。 日本全体の外傷診療が向上することを目指して

          これからのNote方針について

          海外研修は「精神と時の部屋」

          産婦人科をローテしました。 理由はもちろん夢を叶えるためです。 女性器の解剖を理解することで、 外傷診療(主に止血)に役立たせる狙いもあります。 ただそれ以上の理由がありますが、 今は言うタイミングではないので伏せておきます。 私の場合、ローテ期間は最小限に留め、 残りは全て外傷に使いたいと考えていたため、 1週間の研修でお願いしました。 ただ日本で研修しようと思うと、 こうはいきません。 産婦人科をローテーションしようと思うと 最低1ヶ月単位かと思います。 帝王切開の

          海外研修は「精神と時の部屋」

          2024年 抱負

          もう1月の下旬となってしまいましたが、 書かないより良いと思うので、 1年の抱負を書こうと思います。 今年の抱負、それは 「残りの研修をフルパワーで、  かつ帰国後も仕事にフルパワー」 まるでブラック企業の20歳台のような アホな抱負となってしまいました(笑) しかし「バカなる」な提案を目指す私、 解説したいと思います。 *バカなる、とは以下の本で説明されています。本当の意味とは違うかもしれない。。 私の場合、今現在、 この医師10年目というのはボーナスタイムでした。

          2023年 振り返り

          タイでもクリスマスは賑わいを見せ、 各病棟や部門至る所で、 昼食時にPartyが開催されていました。 看護師も頭に被りものをし、 患者さんにクリスマスが来たことを 知らせているようでした。 (せん妄予防?楽しんでいるだけ?笑) タイの12月の気温はといいますと、 寒いと思ったのは5日ほどで、 最低気温は14℃。 そこからまた気温は上昇し、 あいかわらず半袖半ズボンで通勤しています。 ただ現地の人は長袖をまとい、 院内では「2 layer」と言って 着込んでいる人もちらほ

          ショックを受けた時

          これは常日頃に意識していることなのですが、 ショックを受けた時にどうするか。 それはその人次第です。 今回は能登半島地震がそれに当たります。 起こった当日はまだ現実を受け止めきれておらず、 翌日にニュースを見て、大きなショックを受けました。 住んでいた金沢市内も地盤沈下が起こったり、 輪島では大規模な火災が起こっています。 実は私にとって 石川県は非常に大切な場所です。 なぜなら私は金沢大学出身で、 まさに6年間過ごした場所で 今回の大地震が起こりました。 そして今

          元旦の読書

          皆様、明けましておめでとうございます。 昨日は夜間緊急手術の後、 コンケン市内の年越しイベントに参加 (といっても私は音楽聞きながら屋台を楽しむくらい) することができました。 参加者は皆、 食事や音楽を楽しみ、 タワーのようなビールを 楽しんでいました。 もちろん私は稼ぎどき(?)ですから、 飲酒は控えております。 帰宅し子供達の就寝を見届け、 タイならではですが、 年越しパッタイを妻と一緒に食べました。 LA LA LANDを途中まで見て、

          残り半分

          研修期間も残す所、 4ヶ月半となりました。 そして状況は変わりました。 経験のある医師の指導の元、 執刀をして良いとの許可が出ました。 またそこまで症例はありませんが、 11月から3ヶ月間の禁酒が終了し、 飲酒解禁となるため、 これから忙しくなるだろうな、と思っています。 しかしこのような浮かれそうな時こそ、 改めて立ち止まり、 プランを練ることが、 自分にとっては大切であると、 今まで痛感してきました。 今後どのように過ごし、 どのような感情を抱いていきたいのか。 その

          家族みんなで留学するということ

          家族みんなで留学するということ こんにちは、なおたろうです。 この2週間、様々な事がありました。 次男がインフルエンザにかかりました。 また特にその期間中、 次男が赤ちゃんがえりした様に見えました。 何しても妻に泣きつき、甘え、 至る所でおしっこを漏らしました笑 これに対応してくれた妻、義母が共に疲弊してしまいました。 また週末次男の熱が下がったと思ったら、 次は妻、長女が発熱。 そして翌々日には長男が発熱。 私はというと、 家族がこんな状況の中、締め切りギリギリとい

          家族みんなで留学するということ

          はじめての脾臓摘出術@Khon Kaen

          It’s just splenectomy for most of the surgeons. But for me, it’s memorial surgery!! 文字だけ見れば、 なんら感情の揺らぎを与えないかもしれない。 簡単な手術をやった、だからどうした、 と感じるかもしれない。 しかし私にとってはメモリアルな手術でした。 指導医はJent先生。 つい3ヶ月前に外科専門医を取得し、 直後の3か月間の外傷チーム・ローテーターです。 そのローテーションの最後の週に、

          はじめての脾臓摘出術@Khon Kaen