直太朗

日本国内の進学目的の日本語学校で、日本語を教えています。 今の学生の国籍はベトナム・ネ…

直太朗

日本国内の進学目的の日本語学校で、日本語を教えています。 今の学生の国籍はベトナム・ネパール・中国・インド・フィリピンなど。 『みんなの日本語』について私なりの解釈で書いています。 養成講座や新人研修に提出する教案はそれぞれのやり方に従ってください。

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もくじ

1.『みんなの日本語』とは(1)教科書は学習者に合わせて使う (2)イメージは英会話スクール 2.『みんなの日本語』で教えるなら(1)言いたい気持ちでいう (2)授業の流れ (3)ドリル (4)インタビューシート (5)絵の描き方 (6)練習は並べ替える 3.『みんなの日本語』の見方・考え方・練習A ・練習B ・練習C ・練習Cの問題点 ・『翻訳・文法解説』 ・『教え方の手引き』 ・『文型練習帳』 ・未習語 ・媒介語 ・レベル差 ・索引に注意! 4.『みんなの日本語』い

    • 『みんなの日本語』派が手放したくないもの(1)

      『みんなの日本語』を長く使っていると、裏テーマのようなものがたまってきます。47課はニュースの話、44課は身だしなみの話、42課は将来の夢など、取り上げられた文型を使って話せる話題を考え、試行錯誤しているうちに、学生がどんな話をしたがっているか、のってくるかがわかってきます。 そうすると、初めは「今日は〇〇の勉強をします」と始めていたかもしれない授業(私はこの始め方には反対ですが、もしそうだとしても)が、その話題をふり、みんなで話し始めると、その文型が必要になってくる、そし

      • 『みんなの日本語』派が手放したくないもの(2)

        別に派閥争いをしているわけではないので「派」を使いたくないのですが、短く表すために、便宜上使いました。  認定日本語教育機関の話を聞いたとき、学校がどの教科書を使うことになってもかまわないけど、学習者の環境にあっていないのに、can-doを考えるのが面倒だからあらかじめ記載がある教科書にしよう、みたいな決め方になったら嫌だな、とは思っていました。  ところが、『みんなの日本語』のまま、対応しようとしているところも多いと聞きました。そうなると、逆に、え?面倒なのにどうして?と

        • 27課 可能動詞 授業準備

          授業の準備について、質問を受けたので、来週月曜日の授業の準備をここに書きながらやってみたいと思います。 私の月曜の担当は27課練習A1.2.3該当部分。クラスはネパール人ばかりの20人で、それほど飲みこみがいいとは言えないクラス。話すことも書くことも十二分な練習が必要なクラスです。レベル差はそれほどありません。 まず、該当部分の全体を見て、月曜クラスにふさわしい話題を探します。練習B2(4)よく寝ません・家族のことが心配です これが良さそうです。 私は教案を書かないので

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        もくじ

          オーディオリンガルは博物館へ(2)『みんなの日本語』

          「オーディオリンガルメソッド」 博物館の収蔵庫に眠っていると思っていた教授法の名前です。 まず、時間の流れから。教科書の出版年を見てみましょう。 1974年『にほんごのきそ』 1081年『日本語初歩』(国際交流基金) 1990年『しんにほんごのきそ』 1998年『みんなの日本語初版』 2011年『できる日本語』(アルク) 2012年『みんなの日本語第2版』 今年51歳になる学年の私が新卒で教え始めたのが1994年。岡崎敏夫先生の『日本語教育におけるコミュニカティブ・アプ

          オーディオリンガルは博物館へ(2)『みんなの日本語』

          オーディオリンガルは博物館へ(1)『みんなの日本語』

          何か、話がかみあわない・・・ 『みんなの日本語』を否定する方と話をするとき、そう感じてきました。今回、『みんなの日本語』はオーディオリンガルじゃないと説明するために、昔の教科書を開いてみて、大きな発見がありました。これだ・・・ 私が1994年に告示校で日本語教師を始めたころ、勤務校は『新日本語の基礎』を使っていましたが、近隣の日本語学校で『日本語初歩』を使っていたところもありました。『文化初級日本語』のところもあったような気もしますが、ちょっと記憶があいまいです。地方の日本

          オーディオリンガルは博物館へ(1)『みんなの日本語』

          問題集ではありません『みんなの日本語』

          その昔、日本語学校の専任をしていたころ、ある新人講師の方が講師室で「練習Bを解くときには~」と言ったのを聞いたとき、教務主任と目があいました。そして、大きく深呼吸をしたので、二人とも声を荒げずにすみましたが、そうでなかったら「練習B解いてどうすんねん!」と詰め寄ってしまっていたかもしれません。 『みんなの日本語』は日本語を使えるようになるためのテキストです。Next Stageなどの問題集で受験勉強をした人には、(1)(2)と文が並んでいれば、正しい形にして(  )の中に入

          問題集ではありません『みんなの日本語』

          50課-1 謙譲語 導入・練習イラスト

          初級の段階で留学生が使うのは「ご連絡します・お電話します・お返事します・書類をお送りします」ぐらいで、美化語の延長のような程度じゃないかと思います。 49課で尊敬語はよく使うといいましたが、謙譲語になると、接客業でもしない限り発話する必要はあまりなく、むしろ聞いてわかることが大事かもしれません。練習A1のように「私がコーヒーをお入れします」と発話するってどういう状況⁉と思ってしまいます。ここでは一応最初の「お~します・ご~します」のためのイラストを作ってみましたが、50課は

          50課-1 謙譲語 導入・練習イラスト

          49課-1「 尊敬」 導入・練習イラスト

          私が尊敬語を使う相手は誰だろうと思ったとき、思いつくのはやはり上司です。その次は同僚で、その次は義母です。子どもの学校の先生とか恩師とかはもちろんですが、めったに合わない人ではなく、よく会話をする人で考えた場合、近所の人もそうです。つまり、尊敬語は尊敬している相手というよりも丁寧に敬意をもって応対したい人です。尊敬語は相手を上げる、謙譲語は自分を下げるというのを一生懸命説明するよりも、初級の間は「相手がすることは尊敬語」「自分がすることは謙譲語」でいいんじゃないかと思っていま

          49課-1「 尊敬」 導入・練習イラスト

          48課-1 「使役動詞」導入・練習イラスト

          実は、正直に言って、個人的に現行文法の使役の用法の分け方に納得がいっていません。でも、教えなければならないので、一応教科書通りここでは練習Aに該当する「決定権を持って指示している人 は 行動する人 を 使役動詞」の文型のイラストを紹介します。 A:昨日は疲れました。子どもと買い物に行くのは大変です。重くて・・・ B:わかります。私は駅まで子どもを歩かせますよ。(練習B-1(2))時間はかかりますが。 A:そうですか。私もそうします。 A:昨日、昼ご飯を食べようと思ったら冷

          48課-1 「使役動詞」導入・練習イラスト

          わたしの部屋 『やさしい作文』10課まで

          『みんなの日本語』の10課までが終わると、『やさしい作文』の「わたしの部屋」が書けます。ここで学習目標は「語彙の連鎖」。 「机の上に写真があります。家族の写真です。私はいつもこの写真を見ます。写真の中の家族は私を見ます。これはとてもいいです。」というふうに文の中の言葉を使って次の文を作ることによって文の流れを作るというのがこの課の学習目標です。私の部屋の作文を書けというと、思いついた順に「机の上に写真があります・ドアの右にまどがあります・写真の左に本があります」とバラバラに

          わたしの部屋 『やさしい作文』10課まで

          48課メモ「使役動詞」

          使役動詞というと「グラウンドを走らせる」「廊下に立たせる」などのイメージが強いせいか、強制の意味が強調されすぎているように思います。『みんなの日本語』でも、親が子どもに何かをさせるという練習が最初にきていますが、個人的には「お弁当を持って行かせる」「小鳥にパンくずを食べさせる」といった対応する他動詞がない自動詞を他動詞化するほうに主眼をおいた教え方のほうが「感動させる」「思わせる」「考えさせる」のような中級で学ぶ使役を使った言葉につなげやすいのにな、と思います。(完全に私の個

          48課メモ「使役動詞」

          47課-1「そうです(伝聞)」導入・練習イラスト

          47課が終わると、48課「使役」49課「尊敬語」50課「謙譲語」と新しい概念の学習項目か続いて初級が終わる、という流れになっているので、普通形接続の「そうです(伝聞)」でこれまでの総復習という位置づけなのかなと思います。 A :寒いですね。 B:寒いですね~明日は雪が降るそうですよ。(練習A-1) A:ああ、だから寒いんですね~早く帰りましょう。 A:聞きましたか?高橋さんはアメリカに転勤するそうですよ。 B:それで英語を勉強しているんですね。(練習B3-例) A:あの

          47課-1「そうです(伝聞)」導入・練習イラスト

          8課メモ 問題7「ではありません」『みんなの日本語』

          8課の課末問題で、指摘しておきたいところは7番のワット先生の話です。『みんなの日本語』では「〇〇は△△です」という名詞文の否定形は「△△じゃありません」を使うのが通例で「△△ではありません」は1課で(では)というカッコ書きが付されているにすぎません。 『新日本語の基礎』で「△△ではありません」だったのが、『みんなの日本語』になったときに変わったので、「△△じゃありません」のほうが有用だと判断されたのだと思います。 じゃあ、「△△ではありません」はいつ練習するんだ?と思ってい

          8課メモ 問題7「ではありません」『みんなの日本語』

          46課-1 ところ 導入・練習イラスト

          「ーるところ、ーているところ、ーたところ」はアスペクトの目玉のような感じで、日本語教育の勉強では文法事項として重要かもしれませんが、学習者にとっては、それを使ったらどんないいことがあるのか、というのが知りたいことではないかと思います。「~ています」の一段上をいこうという気構えで教えたいと思います。 A:おそくなって、すみません。 B:大丈夫ですよ~ A:もう料理は頼みましたか。(練習B1-2) B:まだです。今から頼むところです。どうぞ、選んでください。 A:昼ご飯はもう

          46課-1 ところ 導入・練習イラスト

          45課-1場合 導入・練習イラスト

          場合は「場合」という単語の意味さえ分かれば、ただの名詞修飾だと思うのでどうして、わざわざ「文型」としてとりあげるのだろう?と思うのですが(完全に個人的感想です)、ここはさくっと練習して、もう一つの文型「のに」に時間を使いましょう。 A:薬をちゃんと飲んでくださいね。 B:この薬を飲んで、気分が悪くなった場合はどうしたらいいですか。 A:すぐ、こちらにご連絡ください。 B:わかりました。 A:財布がなくなったのはいつですか。 B:一週間前です。 A:1週間前ですか・・・ちょ

          45課-1場合 導入・練習イラスト