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【予防運動日記】機能は見えない

多くの障害は機能が障害されたものです。
ですから「機能障害」といいます。
構造が壊れればそれは「変形」といいますが、変形がなくても機能障害は起こります。

大方の整形外科医は、変形などの構造的変化を探します。
しかし、先に述べたように、構造に破綻がなくても機能障害は起こります。
構造は見えますが、機能は見えません。
水をいくら調べても波のことは分かりませんよね。
波は波として調べなければいけません。
機能は動きなど、ある行為を実際に起こしたときに現れる現象であり、構造のように何もしなくても現れるものではありません。

ですから、理学療法士などの機能を見る専門家は、動きを確認してその機能を判定します。
これが理学的診断であり、整形外科医全てが行ってるとはいえないものです。
この機能と構造の違いを世の中に明確に説明していないので、どこかが痛いければ整形外科医の判断という構造の専門家のみによる偏った診断が日本では常識になってしまっています。

海外では、機能を見る専門家として理学療法士が認知されているので、開業権があります。
専門が違うからです。
しかし、残念ながら日本の理学療法士は、医師の指示のもと言われたことをただやればいいという教育を受けていますので、自分で考えるということをアイディンティティとして持っていません。
理学的診断という言葉も形骸化しています。

しっかりと機能を見るという理学療法士は、臨床に出てから、現状の構造中心の医療に疑問を持ち、自ら勉強していった稀な人たちです。

再度一般の方にお伝えしたいのは、機能は見えないということです。
レントゲンやCTを撮っても、MRI でも見えません。
機能ですから。
もちろん、機能は構造に従いますので、構造的な破綻があればもちろん機能障害になります。

しかし、整形外科に通われているような方の半数くらいは、画像検査で「何ともない」と言われたことがあるでしょう。
痛いなどの症状があるから受診したのにも関わらず、何ともないと言われる。
挙げ句の果てには、気のせいだとか、老化だとか、考えすぎだとか、、、。
おかしいと思いませんか?

画像診断は、構造しか見ていないのです。
何ともないのではなく、「構造上には問題がないので、痛みは機能に問題があるので理学療法士に理学的診断を依頼します」が本来です。
機能検査は、本来は理学的診断として理学療法士がするものです。
どれくらいのクリニックなどで、理学療法士に機能検査を依頼しているでしょう?
ほぼないでしょう。
なぜなら「理学療法士による検査」という依頼項目がないからです。
更に、シラバスの関係でそもそも理学的診断の技術は学校教育ではほぼ習いません。

可動域検査や筋力検査は、機能検査のほんの入り口に過ぎません、、、。

理学療法士協会などの団体で本来すべきことは、理学的検査の社会への啓蒙と、その技術の科学性の確立、また技術の研修が必要でしょう。
医者の真似事をしてるようでは、自分たちの専門性は確立できません。
理学的診断は整形外科テストではありません。
また、トレーナーやフィットネスインストラクターが行うようなパフォーマンステストでもありません。

運動学、解剖学に基づいた、歩行する哺乳類としての機能を確認するのが機能検査です。
この機能検査自体が、確立できていないのですから、日本で理学療法士で開業権を得るなんてことは夢のまた夢でしょう。
というか、社会的に価値がありません。

先ずは、機能障害を正確に診断するシステムを作り上げること、それが何よりも社会に貢献することでしょう。

これから全国に広めていく、予防運動ジム「UPRIGHT」では、機能検査を明確化して、全国規模でデータを集めて、何を検査すれば何が分かるかを検証し、理学的診断のシステムを作り上げていきます。
理学療法士に限らず、柔道整復師、作業療法士の方なども仲間として、同じ志を持つ人を集めて、世の中に今はないですが、機能障害を診れる専門家を育成していきます。
ご期待下さい。


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