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アーサナは心と体のコミュニケーション

      ※2019年の国際ヨーガ療法デイで公演した内容に加筆し公開します。

【アーサナをコミュニケーションスキル向上の実践と捉える】

・アーサナは心と体の二面性の中で、良好なコミュニケーションを取ることが目的の一つであると考える。
・二元論の考え方は、「心身」という個人内部での二面性を表出していると考えられる。

【コミュニケーション】

・考えている私(脳)と、実際の私(体)。
・体に指示を出してアーサナという姿勢を取らせる側(脳)と、姿勢を取らせられる側(体)。
・脳の指示によって姿勢をとった結果、体には様々な変化が起こりそれを脳にフィードバック(FB)している。
・脳がFBを受けてどんな対応をするかが、アーサナの中で行われている個人内部のコミュニケーションそれがアーサナ。

理想は、心(脳)が体に動きを司令し、その動きを体が心地いいと感じ、体の快適さを心も気持ちいいと感じること。相思相愛のような感覚です。何も問題は起きないですね。

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しかし、体がいつも心地いいとは限りません。体のキツイというフィードバックがくることもあります。その時に幾つかのコミュニケーションパターンがあります。ここでは3つ想定して示します。

タマス的(怠惰)なコミュニケーションは、心の命令に対して、体がキツイとフィードバックし、それに対して、じゃぁもうやらないと突き放すような態度をすることです。こうなると、やる気は起きず、ひたすらだるくなります。

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ラジャス的(激しい)コミュニケーションは強要です。心の司令に対してキツイと体がフィードバックします、それに対して心は無視をしたり、さらに無理をさせたりします。強制的態度ですね。暴力的と言ってもいいでしょう。

こうなると体は心に対して不信感を持つようになります。そして心から体自身を守るために逃避行動を起こします。つまりは硬くなります。

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ではどのようなコミュニケーションを心がければいいのでしょうか?サットヴァ的(純粋)な対応は、体の声を聞いて、それに対して最適な対応をすることです。そうすると体は心を信用しリラックスします。

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このように、3つの対応を比較するとコミュニケーションの傾向が理解しやすいですね。

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【体と心の緊張】

・「緊張する」という言葉は「体」にも「心」にも用いる。
・緊張は逃避や防御、戦闘の基本であり交感神経が担う。
・緊張の反対の弛緩は、回復と安心と信頼に基づき副交感神経が担う。
・アーサナを通して、良好なコミュニケーションは弛緩を促し、不良なコミュニケーションは緊張を促す。


【ゆらぎ】

・体を固めるのではなく、緩んでいるときは、ゆらぎを実感するようにする。
・特に部位としては…首、肘、膝、背骨、手指/足指、顎など。
・アーサナを保持している間はできるだけゆらいで緊張を取ろう。


【待つ】

・コミュニケーションは相手の反応を待つ必要がある。
・アーサナは体の小さい声に耳を傾ける時間が必要。つまり一定時間アーサナを保持し(1~3分)、閉眼する必要性がある。
・会話はキャッチボールなので一方的ではいけない。
・待てるのは余裕があること、待てないのは焦っていることを示し、緊張と関係する。「ゆっくり」が鍵。


【アーサナで人格を向上する】

・人格が高い人とは…肯定的である人、多様性を理解している人包容力がある人、どっしりとしていて余裕のある人。
・コミュニケーションスキルが高い人は、人を安心させ、落ち着かせ、受け入れて余裕がある人…つまり人格が出る。
・アーサナの実践は人格の向上に寄与する。

ではアーサナで実践してみましょう。アーサナを取っていると、体から様々なフィードバックを受けるようになります。その時に、どのような対応をするかを観察します。何も意識しなくても、普段の習慣で先に説明したようなコミュニケーションの癖があります。まずは自分の傾向を知ることが重要です。

自覚から、徐々にサットヴァ的なコミュニケーションを心がけるといいですね。

アルダマッチェンドラーサナ で実践。

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セッツバンダーサナで実践。

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ナヴァーサナ で実践。

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【世界観】

・「つらい世界」にしているのも、「楽しい世界」にしているのも、「つまらない世界」にしているのも自分。
・自分の価値観、世界観が世の中の印象を作っている。cf. 色眼鏡
・価値観は自分の性質の他に、今までの経験、教訓、親からの教育などからも形作られている。
・自分の価値観の成り立ちがわかれば世界を色眼鏡なしで客観視できる。


【アーサナはYama、Niyamaのより具体的な実践の場】

ヤマ:サットヴァ的社会性を作る
アヒンサー(非暴力)
サッティアン(嘘をつかない)
アステーヤ(盗まない)
ブラフマチャールヤ(規律正しい生活)
アパリグラハ(抱え込まない)
二ヤマ:霊性を高める自己との向き合い方
シャウチャ(清潔)
サントーシャ(知足)
タパハ(正しい行い)
ソヴァーッディヤーヤ(自己を学ぶ)
イーシュヴァラプラニダーラ(自然摂理の理解)

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いかがでしたか?アーサナは、心と体のコミュニケーションの練習の場です。そう意識してアーサナを捉えると、ヨガがなぜ心身に変化を与えるのかが分かりますね。

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