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司法書士試験記述式の解答方法(不動産登記)

令和4年司法書士試験第36問不動産登記の記述式の問題を解いてみました。

ここでは、具体的な解答ではなく、どのように問題を解き進めて行くかについて書きます。

問題文(資料を含め)は全部で18ページであった。
多くもなく少なくもない印象です。
13ページ分は別紙資料であり文章は少ないが見落としてはならない記録が散りばめられているのではないか。

問題文の冒頭を読む

私の解き方は、まず問題の冒頭(事実関係を除いた部分)を読むところから始めます。

問題文の設問を読みメモをとる

次に問題の設問(設問は2回くらい確認)、答案用紙の確認、事実関係(事実関係を読みながら事実関係の補足、別紙資料の重要な箇所の確認も合わせて)、答案作成に当たっての注意事項という順に読み進めメモを取ります。

複数不動産の問題であったら、不動産ごと、人ごと、時系列、事実関係図などを簡潔な方法でメモします。
 
事実関係を読む前に設問を読むのは、本問で一体何が問われているのか理解した上で事実関係を読まないと設問を読んで後、再度事実関係を読むことになり得るからです。

確かに設問を読んだだけでは答えはわかりません。
しかし、何が問われているか分からないまま事実関係を読むと思い込みや勘違いで頭の中に混乱を生じてしまう可能性が高くなります。
なので、予め設問を読んで何を問われているのか知っておく必要があるのです。 

答案用紙を確認する

次に答案用紙の確認をするのは、答案用紙からだいたいどのような登記の申請が求められているのか、連件(何件)申請する必要があるのか、名変など問われている物権変動の登記の前提登記をする必要があり得るのかなどある程度の予断をもつことができるからです。

枠ズレを防ぐ

不動産登記の記述式で最も注意しなければならないのは、いわゆる「枠ズレ」です。

徹底して枠ズレを防ぐことを意識する。

枠ズレを防ぐ理由は、例えば住所変更などの登記を申請せずに登記申請すると不動産登記法25条7号により申請が却下されることになるからです。

実務では、所有権移転登記の後に抵当権設定など担保権の設定登記も合わせて連件申請することが多く、登記義務者の登記簿上の住所と現在の住所が一致しない場合、登記申請が却下されるので、金融機関が融資実行したにもかかわらず登記がされていない時期が登記簿上できる結果になります。

司法書士として致命的なミスになるので当然司法書士試験では厳しい評価となります。

また逆に申請を省略できるにもかかわらず、省略せずに考えられるものすべて申請すると事実関係に関する補足3の「複数の登記を申請する場合には、申請件数及び登録免許税の額が最も少なくなるように登記を申請するものとする。」に反することになるので減点対象になるからです。

実務では、申請が省略できる場合なのに複数申請すると余計に登録免許税を納めることになり、依頼者から損害賠償請求をされることにもなり得ます。

これも司法書士として大きなミスなので司法書士試験では厳しい評価となります。

枠ズレ等があるとその不動産の登記申請に関して点数がないと思っても間違いではありません。

そのくらい大事です。

枠が設けられている答案用紙であれば、前提登記があるかもしれないとの予断をもって事実関係を読み込んだり、資料を見たりすることができるので枠ズレ等を防ぐことが可能となります。

本問では、問題用紙第1欄から第3欄まで枠が3つ設けられているので、前提登記が必要なのではないかと予断をもつことができるでしょう。
その意識でいれば、甲土地の申請の前提として遺贈者の住所移転が必要なことや根抵当権者の吸収合併による移転登記が必要であることが、このあとに確認する事実関係や別紙資料から容易に分かることになります。

また、数次相続の場合、直ちに現在の相続関係を登記できるか否かを先例から検討する必要があります。

事実関係や別紙資料は、不動産が複数あるなら不動産ごとに分けて時系列で整理します。

本問だと甲土地は事実関係2・3・6、乙建物は事実関係1・2・3・4・7、丙土地は事実関係2・3・7・8・9、丁土地は事実関係10と問題文の番号の横に「甲」「乙」「丙」「丁」と記載しておきます。
また、本問の問題文を読めば相続・遺贈・合併を中心とした問題だとわかり、さらに、前提登記を省略できる・できないことも分かると思います。

答案作成に当たっての注意事項を読む

最後に答案作成に当たっての注意事項を読みます。
どのような視点で読むかというと、「何を解答して何を解答してはいけないのか」「解答する場合の解答方法は何か」「登記すべきものがないときや解答すべきものがないときの解答方法は何か」の視点で読めばよいでしょう。自身が忘れそう間違いそうな箇所は蛍光ペンや赤丸で特に注意しておきます。 

具体的な解答は過去問集や予備校の解答を参照してください。

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