原内 直哉

〇弁護士・司法書士 ☆日大・日大ロー卒 ★趣味:読書・起案 ★sneakers・Fer…

原内 直哉

〇弁護士・司法書士 ☆日大・日大ロー卒 ★趣味:読書・起案 ★sneakers・Ferrari・Harley-Davidsonマニア □所属:第二東京弁護士会・東京司法書士会 ◎インテンス法律事務所HP https://intense.law/

最近の記事

令和5年の終わりに…

1月から2月終わりまで 今年の1月から2月の終わりまでは、弁護士登録に向けて司法書士業の仕組みづくりを急ピッチで行いました。 司法修習で1年間司法書士法人の経営・実務から離れていたので、まずは、事務所の状況(顧客・売上げ・経費・利益など)を完全把握して、テコ入れしなければならない箇所を修正しました。 その上で、弁護士業と司法書士業を両立できるように、司法書士業は、どのような業務をどこまで携わるかについて、よく考え、関わらない部分をどういう仕組みで行うかを取り決めました。 未

    • 所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑫

      今回は、相続土地国庫帰属制度の申請権者や土地の要件について書きます。 前回は、相続等を契機に土地所有を望まない人に対し、土地を国庫に帰属させる制度を制定したと書きました。 では、具体的に申請できる人や対象となる土地についてを見ていきます。 申請権者申請権者は、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により土地の所有権又は共有持分権を取得した者等です(新法2条1項、同条2項)。 上記のとおり、まず、取得パターンとして、単有で取得と共有で取得というパターンに分かれます。

      • 所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑪

        今回は、相続土地国庫帰属制度の概要・手続の流れについて書きます。 過疎化が進んでいる地方の土地を相続した場合、当該土地を利用するニーズは著しく低く、管理も手間だし、費用もかかるので、できれば手放したいと考えるのが通常です。 しかし、そのような土地は流通性が極めて低く、売れることはほとんどないと言ってもよいでしょう。このように売れない土地なので、管理費をかける人もほとんどいないと言ってよいでしょう。 実際に平成30年度版の土地白書の土地問題に関する国民の意識調査では、土地

        • 所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑩

          今回は、DV被害者等の保護のための登記事項証明書等の記載事項の特例等について書きます。 DV被害者等の保護のための登記事項証明書等の記載事項の特例現状、登記事項証明書(不動産・商業法人)の交付請求により、何人でも登記名義人等の住所・氏名を知ることが可能です。 DV被害者等が、不動産を所有していたり、会社の役員に就任していたりする場合、誰にでも住所を知られることになり、生命・身体に危害がおよぶおそれがあります。 実務上は、前住所を住所として登記をすることを認めたり、住所の

        令和5年の終わりに…

        • 所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑫

        • 所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑪

        • 所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑩

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑨

          今回は、形骸化した登記の抹消⼿続の簡略化の続き(後半)、抵当権等担保権の抹消登記について書きます。 被担保債権の弁済が完了しているにもかかわらず、抵当権等の登記が抹消されず、そのまま放置されている不動産が少なからずあります。 担保権の設定登記がされてから相当長い年月を経ている場合、抵当権者である法人がすでに解散して所在がわからなくなった結果、抵当権抹消登記手続が困難となり、不動産の円滑な取引を阻害しています。 改正前不動産登記法での担保権抹消登記の問題改正前不動産登記法

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑨

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑧

          今回は、形骸化した登記の抹消⼿続の簡略化(前半)について書きます。 前半は、地上権や買戻し特約の登記の抹消登記について書きます。 所有権以外の権利の登記についても、すでに登記上の存続期間が満了した地上権等や買戻し期間が満了した買戻し特約の登記など、実体上の権利が消滅しているにもかかわらず、登記だけ抹消されることなく残置されているケースが少なからずあります。 なぜ、このような登記が残置されたままになっているかというと、登記義務者の所在が不明になっている場合において、地上権等

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑧

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑦

          今回は、外国に居住する所有権の登記名義⼈の国内連絡先の登記について書きます。 日本のグローバル化が進んで行く中、日本に居住する外国籍の人が増えています。 また、日本の不動産に魅力を感じ、外国籍の人や外国法人の不動産投資が増加しています。 これらの外国籍の人や外国法人は、日本に住所を有しない場合が多く、連絡を取る手段がないことから、所在不明不動産になる可能性があります。 日本人の場合、住基ネット等の連携によって住所等の変更情報を取得することができるが、外国籍に人の住所等の変

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑦

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑥

          今回は、住所変更登記等の申請の義務化と職権登記制度について書いていきます。 都市部では、住所変更登記等の未了も所有者不明土地の主な原因となっています。 住所変更登記等の申請は任意とされており、変更をしなくても特に何らかの問題が直ちに発生することはありません。 また、転居の度に住所変更登記をするのは手続的にも費用的にも負担となります。 このような事情から、必要に応じて(不動産を売却するときなど)まとめて登記した方が手続的にも費用的にも効率的なので、住所変更登記等は登記されず

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑥

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑤

          今回は、所有不動産記録証明制度や所有権の登記名義⼈の死亡情報についての符号の表⽰に関して書きます。 今回、不動産登記法を改正して、相続登記の申請を義務化して、所有不明土地の発生を予防しようとしています。 しかし、現行の不動産登記記録は、土地や建物ごとに作成されており、全国の不動産から特定人が所有権登記名義人になっている不動産を網羅的に抽出して、その結果を公開する仕組みがありません。 このような仕組みのもとでは、所有権登記名義人が死亡した場合に、相続人では、被相続人が所有して

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑤

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定④

          今回は、正当な理由なく相続登記の申請義務を履行しなかった場合の過料*1や相続登記の申請義務化に関する経過措置について書きます。 *1 過料とは、行政上の秩序の維持のために違反者に制裁として金銭的負担を課すものです。 刑事事件の罰金とは異なり、過料に科せられた事実は、前科にはなりません。法律で定められた金額の範囲内で裁判所が判断します(裁判所HP Q&Aから)。 相続登記の申請義務化に伴い、「正当な理由」がないのに登記申請義務に違反した場合には10万円以下の過料の適用対象に

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定④

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定③

          今回は、考えられる典型ケース別にどの時点でどういう登記をすれば相続登記の申請義務を果たしたことになるのかを書いていきます。 相続登記申請の基本的な義務として、相続(特定財産承継遺⾔を含む。)や遺贈により不動産を取得した相続⼈に対し、⾃⼰のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った⽇から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられる(新法76条の2第1項)ことは前回書きました。 新法では、遺産分割協議が成立した場合についても、同様にその旨

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定③

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定②

          今回と次回で不動産登記法の改正を書きます。 所有不明土地の発生を予防するためには、立法で相続登記の申請を義務化したら良いのだが、国民にとって相続登記の申請を行うのは手続的にも費用的にも負担が大きい。 そこで、相続登記の申請の実効性を高めるため次のような制度を立法した。 不動産登記法の改正① 問題 所有不明土地*1の主な発生原因は、相続登記や住所変更登記等の未了である。 *1 所有不明土地とは、①不動産登記簿より所有者が直ちに判明しない土地、②所有者が判明していても、その

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定②

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定①

          自分の頭の整理として、令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法についてnoteでまとめていくことにした。 かなりの長編になると思うが、時間のあるときにまとめて行く。 課題不動産の相続登記や住所変更等がなされないことにより所有不明土地が発生している。 そもそも、所有不明土地とは、①不動産登記簿より所有者が直ちに判明しない土地、②所有者が判明していても、その所在が不明で連絡がつかない土地をいう。 平成29年の国交省の調査では、約22%の土地について所有者不明の土地

          所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定①

          お隣から越境してきた木の枝の切取り

          これまで 現行民法233条1項は、「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。」と規定されています。 この規定から、例えば、隣のお家の木の枝が越境して自宅の建物に接触している状況でも、訴えを提起し切除を命ずる判決を得て強制執行の手続をとるしかありませんでした。 また、隣のお家の木が共有されている場合、越境した枝を切除しようとしても、基本的に変更行為に当たる(木の形を変えるので管理行為と構成するのは難しい)ので共有者全員の同

          お隣から越境してきた木の枝の切取り

          野球におけるフォアボールの重要性

          はじめに コロナ禍で開催されていなかったWBCが開催されてようやく制限的な活動から解き放たれた感がします。 予想通り、WBCは侍ジャパンが準決勝に進み、舞台はマイアミのローンデポパークに移った。 日本ラウンドでは、大谷選手はじめ侍ジャパンのバッティングは他のチームを圧倒していました(もちろんピッチングもですが)。 バッティングだと、ホームランなどの長打に目が行きがちですが、僕がもっとも気になったのが侍ジャパンの選球眼の良さです。 つまりフォアボールが多いということです

          野球におけるフォアボールの重要性

          企業が悪質なクレームにいかに対応するか

          BtoC企業にとって重要な問題  企業側としては、お客様である限りなるべく穏便にクレームを処理したいと考えるのが通常だが、現場では従業員の負担が極端に重く、穏便にクレーム処理ができない状況になっています。  従業員がクレーム処理に困っているのを知りながら放置すると事業主が職場における雇用管理上講ずべき措置について何ら講じなかったとして従業員から責任を追及されることにもなりかねません。  悪質なクレームを放置すると、従業員の業務のパフォーマンスが低下し、健康不良、さらには休職

          企業が悪質なクレームにいかに対応するか