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所有不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の制定⑦

今回は、外国に居住する所有権の登記名義⼈の国内連絡先の登記について書きます。

日本のグローバル化が進んで行く中、日本に居住する外国籍の人が増えています。
また、日本の不動産に魅力を感じ、外国籍の人や外国法人の不動産投資が増加しています。
これらの外国籍の人や外国法人は、日本に住所を有しない場合が多く、連絡を取る手段がないことから、所在不明不動産になる可能性があります。

日本人の場合、住基ネット等の連携によって住所等の変更情報を取得することができるが、外国籍に人の住所等の変更情報は取得できません。

そこで、円滑に連絡をとるための特別な仕組みが必要となあります。

所有権の登記名義⼈が国内に住所を有しないときは、その国内における連絡先を登記事項とする(新法73条の2第1項第2号)。

具体的には、国内における連絡先となった者の氏名・住所等を登記する。

この制度が定着するまでの間は、連絡先がない旨の登記も許される予定である。

国内の連絡先となる者については、自然人でも法人でも可能である。
不動産管理会社や司法書士等が国内の連絡先となることが期待されている。

ワンルームマンションやアパート等の外国籍の自然人の場合は、通常、不動産管理会社に管理を任せるので、不動産管理会社がその連絡先になることが多いと思われる。

もっとも、ある一定時期まで保有して売却することも予想されるので、当該不動産物件を外国籍の人に売った不動産会社が、顧客の囲い込みのために連絡先になることも予想される。

不動産会社にとって、仕組みを構築しておくことによって、ビジネスに役立つ制度になるかもしれません。

ただ、設立間もない不動産会社や個人司法書士事務所は、永続性に疑問があるので、国内の連絡先となる者について、一定の規制をしないと、結果的に所有者不明不動産の解消には役立たないかもしれません。

外国に居住する所有権の登記名義⼈の国内連絡先の登記の制度は、令和6年4月1日施行です。

次回は、形骸化した登記の抹消⼿続の簡略化について書きます。

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