見出し画像

奈良博『聖地南山城』展 ただうち流「ここがいい こここそ注目!」

奈良国立は区部間で「聖地 南山城」奈良と京都を結ぶ祈りの至宝が開幕しました。

奈良の北の先、京都の南の端である「南山城」
ふだんあまり耳にしないエリアかもしれません。

しかしここには、古代から重要視された拠点があり、それに伴って人が集い、寺院が建設され、それが現在まで守られてきた歴史があります。

展示替えがあるので、前期後期それぞれ1回ずつは見に行くのですが、今回すでに前期だけで2回見に行ってしまいました(;゚ロ゚) 

それぐらいすごい、素晴らしい展覧会でした!

このすごさ素晴らしさを私なりに語りたいと思います。
もし鑑賞のお供にしてもらえたら、こんなにうれしいことはありません。


今回の展示は7つの章に分かれています。

南山城にて展開した7つのトピックがそのまま章立てになっています。

そもそも、どうしてこの南山城で素晴らしい芸術が育まれるにいたったのでしょうか?

そのあたりのことを、私は『南山城について』で説明しました。
南山城には、人が集い発展する要素が色々備わった場所だったのです。

その立地の良さに惹かれて大寺院や行基さん、そして最終的には都が作られるまでになりました。

そして当時欠かせなかった信仰のひとつが『弥勒信仰』です。

弥勒如来の降臨は、奈良時代に欠かせない「あの人」も信じていました。

第二章は、南山城で展開した密教についてです。
今回のタイトルにもありますように、南山城は聖地でした。
その根源はお山にあります。

お山の力を頂いて増幅させる山岳信仰について、そこから発展した密教について。密教の尊像についてのコーナーです。

第三章は南山城で展開した浄土信仰についてです。

今回の展示のラスボスは、浄瑠璃寺さんの九体阿弥陀仏。
平安時代に求められた仏像の筆頭が阿弥陀如来さまでした。

阿弥陀様の信仰は全国に広がりましたが、南山城も受容していたのですね。その中でも、ひときわ優れて素晴らしいみほとけがなぜここで、南山城で作られたのか。
そういったことについて言及しています。

第四章は解脱上人貞慶さんのことです。

貞慶上人は奈良を語る上で欠かせない方。でも知名度があまり高くはありあません。しかし、ぜひとも知っていただきたい方です。

貞慶さんが志したこと。それがまた南山城の発展につながりました。
そして現在残っている宝の多くは、貞慶上人がいたから、慕われたから作られ残ったものが多いです。

そして貞慶上人が信仰した御仏のひとつが弥勒如来でした。

南山城の信仰が古代からずっと一筋につながっているのがわかります。

第五章は行基さんから始まる戒律復興について。
南山城は、真言律宗のお寺の拠点となりました。
なぜかというと、行基さんゆかりの場所だからです。
なぜ行基さんがここに来たのか…は第一章にて語られています。

第六章・七章はここで展開した禅について、そのあとの様子についてですが、今回の展示は概ね前半が面白いと思うので、そのあたりについてはあまり深くは触れていません。

体力配分的にも、前半をじっくり見たほうが面白いかと思います(^o^)

ではどうぞ展覧会をお楽しみください。


ここから先は

17,788字 / 2画像

¥ 2,000

奈良でガイドをしています。これからもっとあちこち回っておもしろいガイドを提供します。ご支援どうぞお願いいたします。