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春花園BONSAI美術館(東京都江戸川区・瑞江駅)

高貴な趣味である盆栽。都内の展示施設だと立川の昭和記念公園の中にある盆栽園と、あとは白金にある八芳園の庭園に並んでいる盆栽が知られている場所だろうか。即売会を行なっている盆栽園はいくつかあるものの、常設展示に重きを置いている場所となるとその数はぐっと少なくなる。どちらかというと年配の方が好むイメージのある盆栽。まだ熱を上げるほどの年齢でもなく植物は枯らすことが多いので積極的に訪れるつもりはなかったのだけれど、いよいよ都内のミュージアムも未踏破の場所が少なくなってきたのもあり、美術館と名をなしている春花園BONSAI美術館へ足を運ぶことに。

もともと園芸の家に生まれ、盆栽に開眼してはじめて50年ちかくの経験を持つ盆栽界の鬼才・小林國雄が打ち立てた美術館で、はっきり言って一般的な盆栽園とそう違わないかもしれない、と高を括ってやってきた自分をぶん殴りたくなるほどの美術館としての展示がものすごい。800坪もある園内は高低差を上手に活かした作りとなっており、まさに日本の伝統美を体現しているかのような美術館である。1億円を超える価値の盆栽が構え、そのほかにも多くの盆栽が軒を連ねており、どれも表情が違うというのが興味深い。

盆栽のカーニバルである

意外だったのがスタッフ(弟子)の数人が外国籍らしき人物であるということ。それもそのはず、盆栽ではなくBONSAIと名づけられていることからも想像できるように、盆栽は海外で爆発的な人気となり、訪れる見学者もその半分以上が外国人であるという。実際おとずれたときも日本人よりも外国人の方が多かった。それは入口に立てられた世界各国の国旗からも窺える。

入口のインパクトよ

庭園だけでなく屋内にも入ることができる。かぐわしい日本家屋の中で掛け軸などと共に愛でる盆栽の美しさは、和室に慣れている日本人でも感動するのに免疫の低い外国人であればなおさらかもしれない。盆栽を育てるためには1日15時間も働かなくてはならないが、それも全く苦にならないという。驚いたのは動物のペットと同じように厳しい育成条件であること。2日でも空けることができないため、旅行なんてもってのほか。旅行するなら旅先にも連れて行かなくてはならないという。

屋内にも盆栽がありまっせ

応接間ではお茶が提供され、館長やスタッフの方からの話を窺いながら盆栽の奥深さを知る。ちなみに初心者が盆栽を始めてみたいとなったら最初は皐月がおすすめとのことでいただくこともできる。そこでしっかりと育てることができれば徐々に高い盆栽へと手を伸ばして良い、というアドバイスも頂いた。すぐ枯らしてしまう自分としてはまだ盆栽に手を伸ばすのは早いけれど。トイレは洋式。

至る所に盆栽 赤い太鼓橋も渡れます


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