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大正大学すがも鴨台観音堂(東京都豊島区・西巣鴨駅)

年号をシンプルに冠した大学のうち現存する明治と昭和に行ったのなら、その間にある大正にも行かなくてはならない、と使命感に駆られて訪れたのは巣鴨にある大正大学。平成大学や令和大学という単体での名称をつけた大学は現在のところ存在しないので、これで年号+大学はコンプリートだろうか。

東京周辺の大学群のうち、拓玉産大として括られることの多い大正大学。その名の通り大正時代に設立された歴史のある大学である。仏教の教育に特化している大学の一つで、元々は仏教を学ぶための連合大学として作られたもの。今回おとずれた目的も、こちらのキャンパス内にある建物を見学することである。すがも鴨台観音堂という名前のこちらの建物、国内でも珍しい二重螺旋階段の構造をしていることから「さざえ堂」という名称がある。

外から見ると普通の建物のように見える

二重螺旋階段というと、入口は一つで上りと下りが異なる螺旋回廊で両者がすれ違うことがない、という変わった構造をした建造物。以前にアンスティチュ・フランセの螺旋階段へ行ったことがあったのだけれど、国内に数少なくはあるが寺社として存在する。有名なのは会津のさざえ堂(国指定重要文化財)で、大正大学のさざえ堂もこれに近いもの。大乗仏教精神に基づく「智慧と慈悲の実践」を具象化した施設である。さざえ堂の前には何故かタコの像もある。合格祈願の象徴らしい。

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入口には制吒迦童子の木像が出迎え、頂上へ向かって上って行く。多くの寺社のさざえ堂が木造であるのに対してこちらのさざえ堂は比較的あたらしい建物のためコンクリート製の階段というのが意外。上り階段には17文字の梵字が描かれており、般若心経の真言を形取っていることで読誦したのと同じ功徳が得られるという。頂上階には本尊である聖観自在菩薩が安置され、その背後には千住博による滝の壁画が描かれている。下りの階段はカラフルな色彩に彩られた色滝が飾られ、拝観した人を清めるかのようである。こちらの出口は裏手にあたり、入口と出口は別々の箇所にある。トイレはなし。誰でも気軽に立ち寄れる建物である。

内部は撮影NG 実際に体験してみてね


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