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トランプ×バイデン テキサス-メキシコ国境パフォーマンス対決/2024米国セカイ系大統領選 観戦記#3

スーパーチューズデー直前の3/1(金)、トランプとバイデンがテキサス州にやってきた。トランプはEagle Pass市、バイデンはBrownsville市。
どちらもメキシコ国境に接した街で両市の距離は20マイル。
トランプは午後3時前、バイデンは午後3時過ぎ。

メキシコと直接国境を接するテキサス州、ニューメキシコ州、アリゾナ州を飛び超えて、移民は全米の共和党支持者・民主党支持者の大きな関心事になっている。(興味のある人はサンクチュアリシティ(聖域都市)で検索してみてください)
よって、翌週頭に控えたスーパーチューズデーに向けてのパフォーマンスチャンスということで、両氏が同じ日にやってきた。

ここでは移民に関する議論や報道はぜんぶ脇に置き、どのようなパフォーマンスがされたかを記録しておく。

【到着】

バイデンは国境警備隊(おそらく)、トランプは州軍(おそらく)に案内されながら国境を歩く。

【会見】

バイデンの場合

国境警備関係の建屋内で会見(CNN)
国境警備関係の建屋内で会見(FOX News)

トランプの場合

国境の目の前(屋外)で会見(CNN)
国境の目の前(屋外)で会見(FOX News)

写真は撮れなかったがトランプは兵士やアボット知事(トランプ支持表明をしておりがちがちのタカ派)にもマイクの前に立たせて話をさせた。
驚いたのは、州軍の兵士が堂々とバイデンを批判していたこと。

パフォーマンス効果が高かったのはこの時点でもう明らかだった。
画は地味ながら、国境を目の前にした剥き出しの屋外で会見をする、というパフォーマンスは、「守られた場所」感が出てしまう屋内のそれより圧倒的に強い。

また、バイデンが訪れたBrownsville市国境を無許可に超えて入国する人々は日に数人~20人程度に比して、トランプが訪れたEagle Pass市国境は日に200人を超える。
FOX Newsはそれらの数字を対比表にして示し、ここぞとバイデンを批判する。
だが、僕が個人的に英語を習っているテキサス生まれテキサス育ちで白人の老婦人も、後日これについてはプリプリと怒っていた。
Brownsvilleを見てこの問題の何がわかるっていうのよ、と。

なお、トランプが会見で「2020年の盗まれた選挙が云々~」のような話を始めると、FOX Newsは一時トランプの音声を落としてキャスターが「2020年の選挙は違法なものではありませんでした」的な注釈を入れた。ほう、と思った。

さて、ここまではそうはいっても普通のパフォーマンスで、面白いけれどまぁこんなもんか、という感じ。これくらいのパフォーマンスは日本の政治家も行う。
するとFOX Newsが午後9時からトランプ出演の特番を組むと番宣を開始した。

ということで午後9時。

HannityというのはFOX Newsの顔的キャスターのひとりで、午後8時から1時間のFOX Newsの帯番組を持っている。

このひとがHannity


で、これです。

二人ともカウチ(!)に座り、向き合い、コーヒー(!)を置いて対談を開始。
そして、奥に並んでいるコンテナ。これがEagle Passの実際の、本物の「国境の壁」。
アメリカ国旗も装甲車も州軍の軍人も画に入るように調整されている。


こういう感じで、コンテナの上に鉄条網をひいて、兵士が銃をもって警備にあたっている。
随所でこういう「国境警備中」な画が入る。これはドローンショット。
通常カメラ複数台にクレーンにドローンを駆使し、様々なアングルで番組は構成されていく。


圧倒的な現場感アピール。ここでも装甲車と軍人が画面に入る。


アボット知事も加わる。

そして番組は終了した。
アイオワ州党員集会直前のCNN討論番組とFOX Newsインタビュー番組以来の驚きとなった。

夕方前の会見からこのFOX Newsの特番まで通して、トランプサイド(FOX Newsサイド)の演出家はバイデンサイドに比べてまったく頭抜けている。
とういかバイデンサイドは演出を低く見積もりすぎているように感じる。

テキサス州は共和党支持州(レッドステート)だが、前回の大統領選挙本戦では実は、テキサスに対するイメージほどトランプが圧勝したわけではない。(トランプ52%、バイデン47%)
そしてテキサスはカリフォルニアに次ぐ大票田州。
国境問題への感心が極めて高いテキサスにおいて、トランプの演出は高い効果があるように感じた。

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