無料のアクセサリーに釣られてデート商法のカモになった話(前編)
この世界に溢れている「もれなくプレゼント」や「無料」という言葉。
「タダより高いものはない」そんな言葉もあるのは分かっていても、何故こんなにも魅力的に映るのだろうか。
これは私が大学生の時にデート商法のカモになったの時の苦い思い出だ。
デート商法
無料の商品で釣って、展示会などへ誘惑し、イケメン・美女の営業マンが顧客(カモ)にデートや恋人のような気分を味わせて、高額な商品を売りつける悪徳な販売手法
きっかけは雑誌の余白の部分にあった、とあるジュエリーの広告
「雑誌についているハガキを持参し、店舗にご来店で、もれなくハートのシルバーチェーンネックレスと、2連のシルバーネックレスプレゼント✨」
えっ?普通に買ったら5000円くらいしそうなこのネックレスが2つも無料?ハガキ持って行っただけで?総額1万円くらい得じゃん!欲しい!
単純明快に釣られた私。(この時点ですでにカモ)
テンション爆上げで母にその広告を見せた。
「●●(ブランド名)?聞いたことあるな。ハートで可愛いやないか。お得やから貰ってきな。ママにも貸して」
同じくお得なことが大好きな母は、疑うどころか大賛成。
(カモの母もカモだった……)
たまたま親戚の家に行くタイミングで従姉妹たちと街に繰り出すことになり、「ちょっと寄りたいジュエリーショップがあるの」と言い、寄ってもらうことに。
お店に入り、髪を名古屋嬢バリにグルッグルに巻いた化粧の濃いお姉さんに引き換えハガキを渡すと、住所やら電話番号やらアンケートやらいっぱい書かされたが、無事2つのジュエリーをゲット。
そのジュエリーはめちゃめちゃ可愛くて、従姉妹たちにも
「えーー?それ無料なの!?すごい。いいなぁ」と羨ましがられた。
この時の私は知るよしもなかった。
これが地獄の入り口だということを……。
長谷川との出会い〜悪徳ラブストーリーは突然に〜
後日、携帯に知らない番号から電話が来た。
「誰だろ?もしもし?」
「あっ、こんにちは〜●●(ジュエリーブランド名)の長谷川です。ゆびきゅうちゃんですか?」
「あ、はい。そうですけど……」(えっいきなりちゃん付け?)
「良かった〜話せて。前に●●店に来てくれたよね?ありがとうございます!ネックレスつけてくれてる?」
その言い方は
「ゆび、俺がこの前記念日にあげたネックレスつけてくれてる?」
ばりの彼氏面トーンだった。
「初対面でこの感じ、この人絶対チャラ男だ」私はその時確信した。
「あ、はい。今もつけてます」(たまたま付けていた)
「マジ?超嬉しい。ありがと。」
いやいやお前がプレゼントした風になってっけど、ちげえからな?と少し警戒する私。
友達?彼女?くらいの距離感とテンションに調子を狂わされる。
でもアホな当時の私は「ちょっとチャラい天然の人なんかな」くらいに思っていた。
長谷川は高校の時、野球部だったそうです。普段見た目でチャラくに見られるけど、実はすっごい真面目ということをを物凄いアピられて、その日は電話を切った。
(出身大学は慶應義塾だということもしっかりアピールしていった)
次の日も同じくらいの時間に電話がかかってきた。
内容は忘れたが、くそしょうもない内容だったと思う。
芸能人で誰に似てるか聞かれた。(ジュエリー関係あらへん)
「菅野美穂と柴咲コウは最近言われました」と答えたら、
「えっ!!まじで!?超可愛いじゃん。マジかー。すっげー会いたい。」
と長谷川。
……まあ、悪い気はしない。
聞いて欲しそうだったので一応社交辞令で、
「長谷川さんは誰に似てるって言われるんですか?」とあまり期待せず聞くと
「よく言われるのは背の高い岡田准一かな。俺身長180cmくらいあるから」
背の高い……岡田准一だと?
悪くないだろう。
もう少し話してやってもいいだろう。
正直言って少し心がぐらついた。
その日は長谷川が180cmの岡田准一似という情報だけ残し、通話終了。
「それにしてもなんの用でかけてきたんだろう」とは思った。
しかし最後に「俺の名前登録しといてよ。絶対忘れないでよ。じゃ、またかけるから絶対出てよ?」的なことを言われた気はする。
長谷川さん出会いとか求めてるのかな……なんか好意持をもたれている?
「ま、岡田准一に好意持たれるのは別に悪い気はしないけどねっ」という感覚だった。
※岡田准一ではありません。長谷川です。
でも会おうとかは言われていないし、まいいか。くらいの感じだった。
ちなみにその時私には彼氏がいたので、私自身出会いは求めていなかったと思う。
付き合って3年。可愛いという言葉もあまり言われなくなっていたので、彼氏以外の男の人から褒められるのは悪い気はしなかった。
電話のたびに「声本当可愛いよね」とか「絶対可愛いでしょ?顔見てみたいなぁ」などとチヤホヤされ、話していても結構楽しかったので、別に嫌な感じはしなかったのだ。(今思うと長谷川のコミュ力の高さだけは褒め称えたい)
ついに次のステップへ進撃の長谷川
そして3日後のことだった。
また電話がかかってきて、その日もなんとなく取ってしまった。
「ゆびきゅうちゃん大変!!会えるかもしれない」
!?!?!?!?!?!?!?!?
「どういうことですか?」
「ほんと偶然なんだけどさ、今度出張でゆびきゅうちゃんの地元行くことになったんだ。宝石フェアをやることになって。ゆびきゅうちゃんに似合いそうな宝石もいっぱいあるから見るだけでも来てよ。全然買わなくていいし。俺に会いに来るくらいの感覚でいいから、マジで。」
今思うと長谷川は、「ホント奇遇だね感」出すのが超絶上手かったと思う。
「いつですか?」
「●月●日」
「その日は実家から下宿先に帰ったあと、彼氏の家に行く予定なんです」
そこから長谷川の怒涛の粘りが始まった。
「えーーきてよーーー」(明らかに残念そうな甘えた声)
「てか街出てくるなら帰る前に寄ればいいじゃん。新幹線の駅から徒歩5分だよ?」
「お願い5分でいいから。俺も実は上司から人呼ぶように言われててさ、ゆかりのない土地だし、知り合いもいなくて集まってなくてさ。ゆびきゅうちゃんきてくれたら本当に助かる。俺を助けると思ってお願いします」
最後は泣きまではいる始末。
なんだか縁もゆかりもない土地で営業させられている岡田准一が可哀想になってきてしまい、
あれよあれよと会場に行くことになってしまったのだ。
これで会ってみて岡田准一じゃなかったら速攻で帰ろうと胸に誓い、指定された特設会場へ。
続きは後編で★
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