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「私もそう思う」が危ない理由

先日あるセミナーに参加しました。そのセミナーは、「子供に誇れる組織を作るために必要なこと」というテーマで進行していくものでした。とても面白い内容です。

特に面白かったのは、エリック・バーンの心理学の話です。エリックバーンという方をご存知でしょうか。私は知りませんでした。帰ってからググって見たところ、以下のようなWikipediaが出てきました。

交流分析というものです。聞いたことありませんよね。

人格と個人の成長と変化における体系的な心理療法の理論だそうです。ただこれだけだと意味がわかりにくいですよね。調べていくと以下が有名だそうです。

<PACモデル>

P(Parent):これは人々が、無意識のうちに両親(または親の代わりとなるもの)の行動パターンを模倣をして、行動し、感じ、思考する状態。例えば、影響力のある人が怒鳴りつけているのを見て、それが有効であると幼い頃に学んでいたら、その人も欲求不満から人を怒鳴りつけるかもしれないことが挙げられる。
A(Adult):これは、「今-ここ」でどのようなことが起きているのかについて人々が行動し、感じ、冷静に思考する状態。この状態では、長年生きてきた大人としての人間の経験、知識が活かされ、人を行動させる。このA(Adult)の自我状態では、自身は、現実における客観的な評価の対象として見られる。
C(Child):これは人が子供の頃にどのように振舞ったかと同じように、行動し、感じ、思考する状態。例えば、上司から怒られている人は、まるで子供の頃に行ったように、その上司を見下し、屈辱や怒りを覚えるかもしれないであろう。

→出典:Wikipedia

人には3つの心理モデルがあると言われています。それは、「親」「成人」「子」です。この3つを人は使い分けています。

親の時は、父・母・教師・上司などを自分に借り入れ演じている状態(過去の人を参考)

成人の時は、何も借り入れずに、自立した現在に向き合っている状態(現在の自分)

子の時は、幼少期などの過去の自分を演じている(過去の自分)

上記3つの中で、一番いいのは成人の状態です。それ以外は過去の人を模倣している状態です。成人のみ現在の自我が保たれている状態になります。ただ多くの場合以下のような状態に陥ることがあります。特に会社などの組織や、学校でよく見られる傾向です。

<親子状態>

親子関係のパターン:上司が自分に対してマウンティングするような関係です。上司が親で自分が子のパターンになります。何か相談し、教えてもらう状態などが思い描けるのではないでしょうか。その際は常にこのパターンではないでしょうか。先生と生徒の関係も同じです。この親子関係が成立するパターンがよくあると思います。

このような関係になる時は誰にでもあります。ただこれが続くと、状態は悪くなります。常にこの関係が維持されるようになるため、思考停止した子にしか生まれなくなります。

<フラットな関係>

互いに成人のパターン:一番いいのがこの状態です。自分も上司も互いにリスペクトし合いながら、接する姿勢が一番対話のレベルが上がります。互いに成人である状態を維持できれば、一番いいアウトプットが生まれると言われています。ただこれを維持することはとても難しいことです。互いに思っていることを誠実に伝える文化が何よりも大事だと思われます。

<昭和型組織>

よくあるピラミッド組織:戦後の高度経済成長の時に生きていたモデルになります。その時はうまくいっていました。戦後の日本をよくするために動けば、組織が成長した時代です。全員がいい生活を求めていたため、上司の意向を受け入れればそれでよかった時代です。

上司が行ったことが自分に伝わり、子に示す。ただこれは、今の時代では上司の意向を下に伝えるだけの思考停止組織とも言えます。今の時代では生きねけないモデルと言ってもいいです。

仮に、上司が「会社」だとしても同じです。会社の以降をそのまま実行している親子モデルになります。会社の示した方向性が全てであり、受け入れたまま進めるため、間違った方向に行った際に誰も気づかない状態です。さらに誰も上に対して意見を言えないトップダウン風土になります。

<良いモデルとは何か>

それでは一番いいのはどのモデルなのでしょうか。それは、2つ目の画像のモデルです。全員が成人であり、個々の自我があるためそれを伝え合える組織になります。

個々人が自分の使命を理解し、組織の存在目的にも共感している状態になります。これは個々が自分の「WHY」を持っている状態と言ってもいいと思います。なぜこの事業を行っているのかの「応え」を自分なりに持っている人は話をしていても面白い人が多いように感じます。

私はこれを「WHY」=「WILL」だと思っています。なぜこの仕事をしているのかを言える人は、おそらく「こうしたい!」のWILLを持っているケースが多いです。

上昇志向があり、「世の中の人のためにこの事業をやっている」という人もいれば、「プライベートのお菓子作りに没頭したいから、定時で帰れ、安定的な仕事ができる今の事業がいい。」という人もいると思います。仕事の目的が違えど、「WHYとWILL」を持っている人です。

違いはあれど、成人であり、「WHY」を言える人がこれから活躍していきます。

ただ問題はこの風土をどのようにして形成するかです。フラットに思いを伝えられる文化形成を維持することは難しいです。ほっておくとすぐに親子関係になってしまうからです。

私は、一番いい方法は「外を知る」ことだと感じます。組織内で活躍して、鼻が高い人も外に行けば鼻を折られるケースはたくさんあります。安全地帯にいると思っている人が一番、親子になりやすく、思考停止している状態になります。親子は過去の情報でいきているため成長することはありません。現在をいきていくためには、成人であり続けること。常に外部と接触し、現在位置を把握し、ヒヤヒヤしている人が成人として維持できているように感じます。

私はこれからも、「思っていることは正直に伝え、自分の意見を言える」状態を維持したいと思います。


表題に戻ります。「私もそう思う」それはとても簡単な共感なのですが、共感だけしている人は思考停止状態であり、親子関係のでしかないのです。


例えば親子関係の子の状態が20代ずっと続く組織はかなり危険です。そのような組織にいると思える方はすぐに転職した方がいいし、入社を考えている人はやめたほうがいいように思えます。

20代を思考停止で終わらすリスクは、はかりしれないです。恐ろしくて、よくわからない状態です。

このような組織選びをするのではなく、成人モデルが維持できる組織を選ぶようにしてほしいと常に思います。

以上エリックバーンの心理学で学んだ話でした。そのような組織は自分の組織を誇りに思え、子供にも紹介したくなると思います。



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