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私のアニメ原風景「機動新世紀ガンダムX」

 皆さんごきげんよう。
 皆さんは子どもの頃に見たアニメで今も影響を受けているものはありますか?子どもの頃に見たアニメや漫画って大人になった後も影響が残り続けてることってありますよね。
 私にとってそれは「機動新世紀ガンダムX」というアニメです。

 と言っても、実は最近までガンダムXのことは忘れていました。X(ツイッター)のタイムラインに数か月前にガンダムXに関するポストが流れてきたとき、ふと「あ、子どもの頃に見てて好きだったアニメだ」と思い出しました。そして思い出したらなぜか猛烈に見たくなったので、有料チャンネルに登録してちょっとずつ見始め、少し前に全て観終わりました。
 そして観終わった後、「あ、これは子どもの頃の私に創作物の好みを刷り込んだ作品だったんだな」と気づきました。

 ちなみにこれ以降、ガンダムXのネタバレを気にせず記事を書きます。30年近く前の作品なので、ネタバレを気にする方がいらっしゃるか分かりませんが、一応ネタバレありとしてお読みください。


 「機動新世紀ガンダムX」の舞台設定は、物語が始まる15年前に地球と宇宙に移住して暮らしていた宇宙コロニー移住者の間で戦争があり、その戦争後、地球が荒廃し、復興しつつあるころの話です。
 主人公のガロード・ランは戦争が終結した後に生まれた地球人です。

主人公のガロード・ラン

 この主人公のガロードがヒロインであるティファ・アディールという少女と出会うところから物語が始まります。ちなみにティファもガロードと同い歳の戦後生まれです。

ヒロインのティファ・アディール

 ティファは「ニュータイプ」と呼ばれる超能力を持っている人物で、様々な組織から狙われています。それをガロードや仲間たちが守ったりさらわれたのを救助したりしながら物語が進み、やがて再び始まった戦争に巻き込まれていく、というのがストーリーの大筋です。

 
 私がこのアニメを見たのは小学生のころだったので、物語の全てを理解していたわけではないですが、このアニメをめっちゃ好きだったことを、私は観直して思い出しました。

 まず、主人公とヒロインの関係が良い!
 主人公のガロードはヒロインのティファに初めて会った時に一目惚れするのですが、その後ずっとティファを大事に思い、守ろうとします。ストーリーの途中でガロードに想いを寄せる他のキャラクターも現れるのですが、ガロードのティファへの想いを見て身を引きます。それくらいガロードは一途にティファを想い続けています。
 対してティファは、当初無口で誰にも心を開こうとしませんでしたが、ガロードとの交流を経て段々と周囲の仲間たちとも心を通わせるようになり、ガロードに対しても特別な想いを寄せるようになります。

 この「主人公の一途な行動によって内向的なヒロインが心を開き、相思相愛になる」というシチュエーションが私には非常に刺さりました。めっちゃ良い!

 私に非常に刺さったシーンでティファの心が完全にガロードに向いたことが伝わるシーンがあります。
 物語の終盤で、ティファは敵側に誘拐されてしまいます。誘拐した敵とのやり取りでティファは次のように返答するのです。

テ「私は帰ります」
敵「帰る?どこに帰るというのだね?」
テ「わたしが想う人のところです。わたしを想う人のところです」

 解説するだけ野暮だと思いますが、わたし(ティファ)が想う人(ガロード)のところであり、わたし(ティファ)を想う人(ガロード)のところです。つまりガロードの元に戻るときっぱり言い切るのです。ガロードが自分を想っていてくれることをしっかり認識したうえで、自分もガロードを確かに想っていることをはっきり示すこのシーンは物語上非常に大きな意味を持ちます。
 物語の最初では自分をあまり主張せず、受動的な態度が目立つティファですが、この時のティファは相手の目を見据えて決然と言い放ちます。この内面の成長ぶりとガロードへの強い想いを語る姿は見ていて非常に感動的な場面でした。
 あとティファの声優はかないみかさんで声がめっちゃ可愛い。

 次に、主人公たちと共に行動する仲間たちも素晴らしいです。
 重要な仲間にガロードとティファが乗っている陸上艦の船長のジャミル・ニートがいます。

ジャミル・ニート

 ジャミルは15年前の戦争で地球側の少年兵として戦っていました。彼もニュータイプとしての能力を持っていたため、エースパイロットとして戦っていましたが、彼の使う強力な兵器に脅威を感じた宇宙側は「コロニー落とし」という作戦を決行し、地球は荒れ果て、戦争はうやむやのまま終結しました。
 自分の行動によって地球に甚大な被害をもたらす結果になった彼はそのことに罪悪感を感じ、その贖罪の意味も込めて戦後はニュータイプの保護を行っています。物語の冒頭でティファを研究施設から助けたのもその一環です。(ジャミルがティファを保護したことによってガロードはティファに出会えたので、その意味でもジャミルはこの物語の重要な人物です)

 このジャミルはこの物語での大人としての役割を担い、乗組員を引っ張る役目を持ち、物語序盤の精神的に未熟なガロードを時に叱責、時に激励して成長を促します。
 ガロードは戦争孤児で独りで生きていたため、集団生活が苦手なことも描かれるのですが、ジャミルはそのガロードを見捨てず、かといって甘やかさずに叱咤激励することで成長を促して行きます。

 その一方で自分自身の過去と向き合い、成長する場面も描かれます。
 ジャミルは15年前の戦争でのトラウマからある恐怖症を抱えていたのですが、物語の途中でそれを克服します(克服するための過程も描かれる)。
 戦争による精神的な後遺症を持つ弱い部分も描かれつつ、それを克服していく過程も描かれる彼は、戦争によってさまざまな傷を受けた人たちが立ち直っていこうとしていることを象徴する存在です。

 また、物語の終盤で、ニュータイプに関する真相がある人物から語られるのですが、その話を聞いてジャミルは、自分自身が「ニュータイプ」という言葉に囚われていたことに気づき、「ニュータイプ」という言葉・概念に囚われない未来を作ることの大事さに気づきます。
 この物語で起きている戦争は、大人たちが「ニュータイプ」という概念に囚われているがゆえに起きていることが描写されているので、その呪縛からの脱却を最初に言葉にしたジャミルは、この物語の方向性を象徴する重要な人物です。
 このようにジャミルはガロードたちをけん引する大人としての役割も持ちつつ、自身のトラウマを克服するような成長する姿も描かれ、さらに物語全体の進む方向性を象徴する人物でもあり、裏の主人公的な存在です。

 ジャミル以外にも重要なキャラクターはたくさんいるのですが、たくさんいすぎて紹介していたらきりがないので割愛します。
 ただ、全般的に仲間たちは主に中盤以降はガロードとティファに非常に好意的で、ガロードたちの成長を促すような役割を担ってくれる大人なキャラクターが多く、物語を見ていて非常に清々しい気持ちにさせてくれます。

 最後に物語全体の後味の良さが素晴らしい!
 私は物語はハッピーエンドが好きなのですが、ガンダムXもハッピーエンドで終わります。
 実は単純なハッピーエンドではないのですが、放映当時見ていた感想としてはハッピーエンドだと感じていました。
 物語で新たに始まった戦争は一旦終結し、戦争の首謀者たちは死亡または再起不能となります。そして主人公とヒロインは一緒になって旅に出るシーンで終わりを迎えます。
 完全な大団円とは言えないですが、一応のハッピーエンドと言えると思います。

 また、仲間キャラクターなどが理不尽な死を迎えないのも非常に良いです。途中、あるキャラクターが死亡し、ガロードの心境を大きく変えることになるシーンがあるのですが、そのキャラクターはそもそも死に場所を求めて戦っていたことと、命を懸けて主人公たちを守ろうとした結果の死亡であったため、悲しいシーンではありましたが理不尽さは感じませんでした。逆に、そのキャラクターの死によってガロードが現状と未来に向けてよりしっかり目を向けるようになり、自分が何をすべきなのか真剣に考えるようになる契機になったため、むしろ感動的なシーンとも言えます。
 それ以外では、ジャミルを始め、ガロードの仲間として戦った者たちは全て生き残り、物語が終わった後も平和に生きていけることが示唆されていました。
 それも後味の良さに影響していると思います。


 ガンダムXを観直して気づいたのは、子どもの頃の私はガンダムXを見た後、好きな創作物の類型が決定づけられたということでした。それは以下のようなものです。

1.物語はハッピーエンドが良い
2.主人公はヒロインを一途に想うものが良い(ハーレムものは嫌)
3.ヒロインは長髪、細身、地味目な髪色(黒or茶)、性格と胸は控えめが良い
 
 これらはガンダムXを見ることで必然的に条件づけられるもので……え?3.が唐突に出てきたって?
 いやいや、ちょっとヒロインのティファをもう一度よく見てくださいよ。

ティファ全身図

 長髪で細身で地味目な髪色で胸は控えめでしょ?性格は絵では分からないでしょうが、おとなしく、控えめな性格として描かれています。ガンダムXが刺さりまくった幼い私は「ヒロインといえばティファ」という条件付けがなされたため、好きなヒロインのタイプはティファのような類型になってしまったのです。
 例えるならヒヨコが初めて目にした動くものを親だと思い込んでしまう刷り込みみたいなもので、小学生男子だった私が「このアニメめっちゃ良い!」ってなった時のヒロインがティファだったので私の中で「ヒロインとはかくあるべし」となってしまったのです。刷り込みは本能だからしょうがないね。

 え?お前以前「見た目なんて皮一枚のことだからどうでも良い」ってnoteに書いてたじゃないかって?
 いや、それはそれ、これはこれでしょ。ヒロインは可愛い方が良いに決まってるじゃないですか。何言ってんですか。

 とにかくガンダムXは非常に良いアニメです。30年近く前の作品なので、今見ると作画などが古臭く感じるかもしれませんが、非常に良作なので機会があったら是非見てください。
 じつは漫画版もあるのですが、アニメ全39話の内容を単行本3巻でまとめてあるのでめちゃくちゃ端折ってます。悪くは無いのですが、やはりアニメの方が感動できると思います。


 まあとにかく、私がこの記事で言いたいことは一つです。


 ヒロインは長髪、細身、地味目な髪色(黒or茶)、性格と胸は控えめが良い。



 本日は以上です。スキやコメントいただけると嬉しいです。
 最後まで読んでくださりありがとうございました!