第30話 幕間:終わった世界の始めかた。

トイレのドアを叩かれる。
 いつのまにか、だいぶ時間が経っていたようだ。

 トイレから、出ると駅員さんが立っていた。

「どうかなさいましたか?」

 そう、声をかけられた。

「ぃぇ、大丈夫です。」

 声は掠れていたと思う。
 一礼して、外に出る。夕焼けが目に染みた。
 
 そのまま、フラフラと家に帰る。母親は、仕事から戻ってきてはいないようだった。

 そのまま、ベッドに倒れ込

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ありがとうございます!
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第29話 なんで言わなかったの?

「そういえば、一つ聞きたいことがあったのよ。」

 テニスで尾張さんに惨敗し、溜息を吐きながら歩く帰り道、

「紀美丹君なんで、最初にあったときに私のことを幽霊だって言わなかったの?」

 そう、尾張さんが質問してきた。

「過ぎたことは気にしない主義です。」

「気にしてるのは私なのだけれど。」

 尾張さんの目線がいたい。しかし、理由を言うのは照れ臭いので、それっぽいことを言って誤

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第28話 幕間:他人の世界の終わり方

家を叩き出されはしたものの、それでも、学校に行く気にはなれなかった。

 駅のベンチで、通学する学生や社会人達が電車に続々と乗り込んでいく姿を見送る。

 これで、何本目だろう。いつのまにか、周囲には、学生の姿はほとんどみえなくなっていた。
 ちらほらとスーツ姿のサラリーマンらしき人物や、私服姿の若者が次の電車を待っているのみであった。

 そろそろいいかな。一瞬の気の迷いだったのかもしれな

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嬉しいです!
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第27話 世界はノリと勢いで出来ている

その後、渋る僕を無理矢理コートに立たせ、フルボッコにしながら尾張さんは、

「テニスの点数って謎よね。」

 と言い出した。
 精神的にも肉体的にもボロボロになった僕は、

「何がですか?」

 と、死んだような目をしながら聞き返す。それに対して、余裕の表情の尾張さんは、

「何故か1ポイント入ると15点入るじゃない。」

 と、サーブを打ちながら答える。

「まあ、そうですね。3ポ

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第26話 手紙

「殺された?」

 それは、6歳の女の子の口から告げられるには、余りにも凄惨な話だった。

 平日の昼下がり。父親が会社に仕事に行き彼女の家には、母親と風邪を引いて寝ていた彼女のみがいた。

 そこに、配達業者を名乗る男が一人訪れたそうだ。

 その男は、いきなり母親に襲いかかると、隠し持っていたナイフで母親を刺し殺したのだという。
 
 彼女は、それを扉の影からただ見ていた。
 何度も何

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バリバリライトニングエレクトリックサンダー!

(OPテーマ)
 エナジー充填、マガジン装填、今日のワンピはお気に入り!
 今日こそ彼をモノにする。即・放・電の恋心!
 エネミー殲滅、シナジー重点、彼のトコまでもう少し!
 バレルロールで踊りましょ!
 バリバリ・ライトニング・エレクトリック・サンダー!

第1話 気になるあいつは、ゴム怪人!?

 屋上が、揺れる。

 三段打撃からの渾身のロケットキックが、ヨーコの掲げた右手にヒット!

 迸

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オレモー!
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第25話 女の子

6歳ぐらいの女の子だった。

 その女の子の目線は真っ直ぐに尾張さんを見ていた。空中に浮いているラケットを見ている可能性があるけど。

「お姉ちゃん上手だね!」

 どうやら、その可能性は消えたようだ。

「あら、ありがとう。」

 尾張さんがお礼を言うと、

「お兄ちゃんはあんまりだね!」

 僕の方を見て、そう言ってきた。ほっといてほしい。
 尾張さんはニヤニヤしながら、

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末永きお付き合いをよろしくお願いします。
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「アーク・サマー」

伊庭がアークと初めて会った日も、彼女は白いワンピースだった。

 初めて訪れる別荘地への山道で、伊庭は電動バイクを停める。休憩がてら眼下の景色を多重現実のキャンバスに写し取ろうと、絵筆を走らせていた。

 その時だった。

 不意に茂みから、鮮やかな緋の色が飛び出してきた。

 アークだった。

 伊庭は茫然と彼女に見入った。美しいコントラストだった。濃い緑を背景に、緋色が燃え、白いワンピースが一

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第24話 なにができるの?

次の日の放課後。
 尾張さんとテニスをすることになった。

「よくラケットなんか持ってたわね紀美丹君。」

「まぁ、一応中学でテニス部だったので。」

 三年間補欠だったけど。部員が多かったからね。仕方ないね。

「紀美丹君、短パン似合わないわね。」

「ほっといてください。」

 そういう、尾張さんはやはり制服だった。

「尾張さんこそなんで制服なんですか?」

「なんででしょう

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第23話 掴まれたもの

「ところで、尾張さん。」

「何かしら?」

 その顔は、先ほどの僕の言葉をまったく覚えていないようだった。
 ぐぬぬ。

「何かしら、ではなく。さっき言ったじゃないですか。」

「・・・・・・!?」

 尾張さんは、少し考えた後、いきなり赤くなると、言い放つ。

「わ、私はあなたと結婚の約束なんかした覚えはないわ!だから、無効よ!」

「いえ、そっちではなく。」

 そもそも、幽

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