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フィンランドのプラントベース事情

去年のフィンランド滞在は実に6年ぶりだった。6年の私がいない間の変化はいろいろなところで感じられたが、そのひとつにベジタリアン、ヴィーガンの普及があった。今回は私が見たり聞いたりしたフィンランドのプラントベース事情について少しだけ紹介する。

スーパーで


植物性のハム、ソーセージ、チーズ(の代替食品)の種類が増えていた。さらにそれらを使ったハンバーガーやピザなどの出来合いの食事も増えていたのが印象的だった。多くの若者がプラントベースの食事を取り入れているため、簡単に食べられる“ジャンクヴィーガン”の需要があるのかもしれない。

また、乳牛のミルクの代替としては、オーツミルク、ソイミルク、アーモンドミルク、ライスミルクなどがあり、バターもそれぞれの植物性ミルクでできたものがあった。

Kaura(オーツ)のバターに、プラントベースのハムとチーズを試した。パンは伝統的なライ麦の硬いパン。

レストラン・カフェで

大抵どこのレストランでもベジタリアンやヴィーガンに対応した料理が1つ以上は用意されていた。日替わりで2種類のランチメニューがあるようなお店は多いが、一つがチキンのソテーなら、もう一つはTERIYAKI TOFUステーキだったりする。

メニューにはヴィーガン以外にも食事の指向に合わせて選べるように省略記号が書かれている。一例として紹介する。

(G) Gluteeniton:グルテンフリー
(L) Laktoositon:ラクトースフリー
(VL) Vähälaktoosinen:低ラクトース
(M) Maidoton:乳不使用
(Veg) Soveltuu vegaaniruokavalioon:ヴィーガン食に適した
(K) Kasvis:ベジタリアン(KはKana:鶏肉不使用の意味で使う店もある)


カフェでも大抵の植物性ミルクに無料で代えてもらえる。カフェラテを注文すると「Normaali maito vai?(普通のミルク?それとも?)」と聞かれることが多々あった。

また、フィンランドでは普通のドリップコーヒーに少しだけミルクをいれる人が多い。そういう場合にはカウンターに置いてある牛乳パックやピッチャーから自分で入れる。ここにもオーツミルクを常備しているお店が増えていた。


一方で、近年の環境問題に関する議論の活発化や、ヨーロッパの熱波のニュースなどを鑑みて、ヘルシンキやロヴァニエミでも「ヴィーガン専門店」が増えているかと思っていたが、それは私が予想したほどではなかった。

もちろんオールプラントベースを謳うお店もある。例えばヘルシンキのヴィーガンドーナツ屋さん「Round」はデコラティブなふわふわドーナツがプラントベースで食べられる嬉しいお店で、新店舗も増えたりと人気だ。

生活用品


シャンプーや化粧品、生活洗剤などにもヴィーガンを表すマークがついているものが増えていた。

また、ヴィーガンではない製品でも、「ヴィーガン△、動物実験廃止◎、遺伝子組み換え不使用◎」のように製造のプロセスを明示しているものがあった。消費者が自分のスタンスに合ったものを選択できるように、情報をわかりやすく伝える姿勢が求められているのだろう。

プラスチックの回収、リサイクルについても大きな変化がみられたため、それについてはまた後日書きたいと思う。

周りの人


私の周りで一番多いスタンスとしては「野菜重心の食生活(Kasvispainotteinen ruokavalio)にシフトした」だった。

ヴィーガンを始めたけれど料理の工夫が大変で、厳密なヴィーガンはやめた

環境負荷を考えてお肉は週に一度と決めている

子どもがプラントベースの食事にしたことをきっかけにお肉を食べる機会が減った。最近お肉も高いから

グルテンアレルギーがあり、気をつけていると自然と野菜中心の生活になった

などといった声がきかれた。

これは地域性やコミュニティに依る部分も大きいだろうが、ヴィーガンなどのアイデアが浸透していることは明らかに変化として見てとれた。

ひとつの選択肢として溶け込ませる

どのレストランにいってもプラントベースのメニューがある。ヴィーガンではなくてもヴィーガンレシピを試してみる。シャンプーぐらいは環境に優しいものを選択する。

小さいけれど確かな変化とその実践がフィンランドの生活に根付いているように見えた。

※2023年に筆者が実際に見聞きし、体験したものを紹介している
※6年前にはプラントベースにアンテナを張っておらず、私が知らないだけで以前からあったものもあるかもしれない。その場合はぜひ教えてほしい


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