フィンランド語検定・YKIテストって何をするの?
以前、YKIテストの概要情報についてはこんな記事を書いた。
今回は私が実際に受験した経験を共有したい。前提として私は2015年の春にオウルで初級、2023年の秋にロヴァニエミで中級を2回、合計3回の受験経験がある。今回は主に2023年に受験時の経験を思い出しながら書く。あくまでも私個人の経験と記憶に基づくもので、その正しさは保証できないので、その点はご了承願いたい。
電子機器をすべて預けて教室へ
朝8時50分の集合は時間厳守だ。受験者があつまると順番に受け付けをするが、このときスマートフォンはじめとした電子機器はすべて預けなければならない。これは試験がすべて終了するまで返却されない。また、送迎の家族と会うことや、建物の外に出ることも試験終了まで許可されない。
教室の人数にあわせて2グループに分けられ、私は最初にリスニングとスピーキングを受験するグループになった。この2グループも試験終了まで交わることのないように案内される。
そしてここまでの説明や受け付けはすべてフィンランド語のみで行われた。
リスニング試験(約45分)
リスニング試験はヘッドセットを装着し、流れてくる音声ガイダンスにしたがって進行する。
前半は、問題文と選択肢を確認する時間が与えられ、その後短い会話やラジオなど日常生活で遭遇するような内容の音声を聞き、正解を選択する問題が続く。
後半は、音声の内容が長くなるだけでなく、問題は質問文が何文か書かれてあり、それぞれに「回答文を記述する問題」へと難易度がぐっと高くなる。やることが多く、練習しておかないとちょっとしたパニックになる。
ワタシ的攻略のコツ
紙に書かれた問題文の要点を早く掴むことと、聞き逃したり考えきれなかった問題は潔く捨てることだろう。テンポよく試験が進むため、一度遅れをとると大問丸々回収不可能になる。
スピーキング試験(約35分)
続けてスピーキング試験でもヘッドセットを使用し、流れてくる音声に対してマイクに向かって回答する。問題は大きく2種類で、会話とスピーチだ。
会話は、音声に合いの手を入れる形で、適切な受け答えをするもの。
マイクにむかって「そうだね〜、わかるよ〜」などと話すのはかなり変な気分だ。問題用紙には、会話のタイミングだけが書かれており、音声が何を言うかは書かれていないため、今どの段階まで会話が進んだのかがわからなくなって混乱する。
スピーチは問題用紙に書かれたお題について、指定時間内話し続けるもの。事前に話すことを整理してメモする準備時間も与えられる。去年あった問題は「今までもらった一番うれしい贈り物はなんですか?」だった。
ワタシ的攻略のコツ
周りをシャットダウンすることと、制限時間いっぱい話し続けること。教室にいる人全員が一斉に話すので、簡単に気がとられることには注意したい。また、制限時間いっぱい話すというのは、試験監督も言っていたことで、とにかくたくさん話して加点してもらえる可能性を増やすのが得策なようだ。
意外とゆるいお昼休み
たいていの受験会場は学校のような施設のため、休憩する設備も整っている。今回は普段教員が使用している給湯室/休憩室を荷物置きにし、そこで軽食をとった。試験監督はその施設で普段フィンランド語の講師をしているひとで、みんなにコーヒーを淹れてくれた。ちなみに、この講師は10年前に受講したフィンランド語講座の先生で、お互いのことを覚えていたからとても驚いた。
受験者のほとんど(このときは全員)がフィンランド語が母語でない、いわゆる外国人であった。そのためか、お昼休みは気さくにみんなで盛り上がり「もう4回めだけど、今回も絶対だめだ…」などと絶望するひとをみんなで励ましたりした。
読解試験(約60分)
いわゆるリーディング試験。パンフレットのような短い文章から、新聞のコラム程度の長さの文章を読み、選択式と記述式の問題に回答する。
読解でも記述させるというのは、日本の試験では稀だと思うので、去年少しめんくらった。
ワタシ的攻略方法
文章の概要をつかんで、そこで用いられた言葉を使いながら問題に回答する練習として私はYle のselkouutisetにある問題がぴったりのイメトレだと思う。詳しくは以下の記事にて。
ライティング試験(約70分)
お題に沿って短文で回答するものが数問、長文が2問だった。大抵は一問がメールやCVなどの実用的なもので、もう一問が意見を述べるものや、論じるものだ。罫線のない枠のなかに自由に書く。スピーキングと同様にどんなことを書けばよいかの種はくれる。
やりきった試験終了
9時スタートで14時前には解散になった。不正防止の仕組みは厳格だが、タイムテーブルは意外と柔軟で、進行の手間取りによるロスタイムや、受験生のニーズにあわせて休憩が長くなったり短くなったりする。
結果がくるのは2ヶ月語。私は3か月の観光ビザ(つまりシェンゲン協定内のビザ無し滞在)で滞在し、8月と10月の2回受験できるようにスケジュールを立てたが、どちらの結果も私の帰国後にホストファミリーの家に届いた。※この宛先を国外に指定できるのかが不明。わかったら追記する予定だ。
また、YKIテストの公式サイトには就職に便利だと書いてあるものの、以下のような現地の声もあるので、移住などを念頭に受験を考えているひとは参考にされたい。
ちなみに、わたしの友人の間でのYKIテストの知名度は50%ぐらいだろうか。フィンランド語以外の言語の試験も実施しているため、英語とスペイン語の試験を受けたという友人もいた。一方年配のひとの中には「なにそれ?」というひとも多く、採用担当者が知らない状況は想像できる。
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