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【映画感想114】エコール/ルシール・アザリロヴィック(2006)

★あらすじ
19世紀ドイツの短編小説「ミネハハ」が原作。
深い森の中にある閉鎖的な学校。そこでは6歳から12歳までの少女たちが年齢を区別するリボンと白い制服を身につけ、ダンスと自然の生態を学んでいた。

★感想(ネタバレあり)
監督のルシール・アザリロヴィック、以前見た「エヴォリューション」の方でした。
今作も独自の生々しく耽美な世界感が最高で、
特に森で遊ぶシーンが絵画のようでうつくしかったです。

映画の原題は「イノセンス」ですが、同時期に公開された押井守の「イノセンス」と混同されるのを避けるために邦題は学校を意味する「エコール」という邦題になったそうです。

寓話のような抽象的な物語なので、単語1文字の邦題があってる気がしました。「森の中の少女たち」とか「秘密の〇〇」とかにならなくてよかった。

バレエを学ぶ少女たちを見てどうしても思い出してしまうのはドガの絵でも有名な
「女性が仕事ができない時代、当時のバレリーナは観客の男性たちの愛人候補であった」という話。
(あとブランコって西洋絵画で性的なモチーフじゃなかったっけ?記憶違いだったらごめんなさい)

また、夜な夜な外出する上級生や「外に出ることはしあわせなことではない」と匂わせる女教師など、生徒たちは性的に消費される運命なのでは……ついつい疑ってしまったのですが決定的なシーンも最後までなく、さらにラストシーンは(少なくともラストシーンの時点では)太陽の下の噴水と、学園を出た少女と青年の出会いで終わる。
何もなかった。

たぶんこの映画、強すぎるフェミニストな方々がみたら憤りを感じると思うんだけど、
意地が悪いのは「で、なにが性的なんですか?踊り遊び学ぶ無垢な少女たちを撮影しただけですけど???」って言い返せてしまうところだと思う。
たぶん、色々想像してしまうわたしはもう無垢じゃないのだろう。
あれは少女にだけ許される無垢な領域で、それを覗き見る視聴者はあのバレエの観客同じなのかもしれない

ああ、大人になっちゃったなあ。

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