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術野

日経の朝刊小説は、今まであまり面白く感じなかったが、今回の久間十義氏の「禁断のスカルぺル」というのは、興味が尽きない。

医学界を舞台にしたものだが、展開が速く、いかにもリアルで人物が生きていると感じる。その中で「術野」という言葉があって、手術の時の視野のことだと知った。オペをやる人にとっては、狭い小さな場所がいかに見え易いか、見えにくいかは、実に重大な問題である。術野の確保は手術の成否を決めるのである。

そんなある日、樹脂製手術器具を作ったという記事を見た

ピカピカの金属器具が常識だと思っていたので、何故樹脂に置き換えるのか?と疑問を持った。理由は術野だった。透明な樹脂器具を使えば、視野を遮らない。首をひねったり、頭を低くして覗きこまなくても済む。(※少し古いが参考記事

慶応大学形成外科清水雄介氏と安井社が新たに高性能の器具を開発した。樹脂のもう一つの効用に「通電熱傷を防止」とあったが、これがどういうことかは分からなかった。

大きなモニターに患部を映し出して行うやりかたを、どこかのTVで見た記憶があるが、覗き込んでやる風景もやがて無くなるのかもしれない。米粒にお経を書き込んだ映像をみたこともあるが、肉眼に頼るのでなく何か拡大して見せる道具がきっとあるはずだ。人間の手先は、拡大してあれば微小な作業もできる。

#禁断のスカルペル #小説 #新聞 #手術 #医療 #金属 #樹脂  

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