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【小説】妖怪たちの苦悩 その7

一反木綿の綿貫くんがいなくなって、
一週間が経とうとしていた。

わたしは、陶子(とうこ)。
妖怪ろくろっくびの高校二年生。
特技は待つこと。

人間の皆さんにはわからないでしょうが、妖怪も何かと苦悩しているのです。皆さんにはそんな苦悩を紹介していこうと思います。

「綿貫くん、どこいっちゃったんだろうね。」
「ねぇ。」
ねこ娘の幸子ちゃんに声をかけられた。
一週間前に、かくれんぼをして以来、行方不明なのだ。

あれだけ薄いとどこにでも隠れられるのだ。
私も首を伸ばしていろいろなところを探したのだが全く見つからない。

「話は変わるけど、ぬりかべの真壁くんも休んでるんだって。」
関係あるかもしれない。
「首を伸ばして聞いてきてよ。」
私は真壁君の家まで首を伸ばし・・・、家、そんなに近かったっけ??

1時間後、私と幸子は真壁くんの家の前にいた。
門から真壁くんの部屋まで首を伸ばし部屋を覗いた。
真壁くんが倒れている!
死んでいるのかと一瞬思ったが、死ぬわけがない。
窓を口で開け、中に入った。
「真壁くん、真壁くん。生きてる?」
「あ、あぁ。生きてるよ。」
目がうつろになっている。
「病気?」
「いやなんだかずっと腹が痛くて・・・。」
「一週間前から綿貫くんがいないんだけど何か知ってる?」
「・・・・・!あ!」
「綿貫がかくれさせてくれっていうから、体に塗り込んだんだった・・・。」

わたしは深いため息をつきながら首を戻した。