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[短編小説]GTO物語 ターン編8

次の日の朝、加藤優希は現実世界へと意識が戻りつつあった頭が重くて頭痛がする、外は十分に明るくて陽が高い。はっと目を開けると目覚まし時計の八時二十分の2本の針が飛び込んだ。

『やばい!会社に遅刻する!』

ベッドから飛び起き、洗面台へ向かう。自分お顔を見ると化粧すら落としてないことに気づいた。体も怠い。とにかく化粧を落とすために蛇口をひねって水を出した。洗面台に勢いよく当たる水の音でやっと気づいた。

『あっ!今日土曜日だ。仕事じゃない。』

昨晩の何があったかを思い返した。またイライラした記憶が蘇って来たがその余韻を残しながら、記憶の中の映像は夏生と一緒に小料理屋へ向かった。レモンサワーを飲んで、その後の小料理屋の中での記憶がまばらだ。タクシーに乗ったのは覚えているがその後どうやって帰ってきたかまで全く記憶がない。

『バッグとコート!』

洗面所から玄関へ向かうと、乱雑に置かれたコートの上にバッグが放り投げられていた。パンプスも乱れて倒れている。ドアの鍵はちゃんと掛かっているので記憶が無いながらもちゃんと戸締まりはしていて少し安心した。バッグの中を身を確認すると、財布もスマートフォンもちゃんと入っていてる。記憶が無い間に特に紛失したものは内容だ。

優希は落ち着いた足取りで洗面所に戻り、クレンザーをプッシュして手にとた。顔の化粧を落としながら、酔った後のことを思い出そうとしたがやはり上手く思い出すことはできなかった。
今日は友達と会ったり特に取り立てた予定があるわけでは無いから、この後ゆっくり湯船に入ることに決めた。メイクを落として、顔をタオルで拭いてた。
ダイニングキッチンへ冷蔵庫を開けて、ペットボトルのミネラルウォーターをそのまま直に口をつけてラッパ飲みした。喉が渇いていたし、誰も見てはいない。湯船をためている間にゆっくりと紅茶を飲むことにした。ラッパ飲みしたミネラルウォーターのペットボトルをそのままケトルに注いでIHのスイッチを入れた。ダージリンの入った缶をあげると茶葉の匂いが広がった。優希は紅茶を飲みながらゆっくり過ごすのも好きなのだが、紅茶を煎れる課程でざわついた心が次第に落ち着いていく時間が好きだった。

つづく

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