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中小企業人事こそ「まず隗より始めよ」。

ふと「かい より始めよ」の意味を検索し感銘を受けました。
これは特に中小企業の人事がもつべき視点でした。自社の評判や魅力を高めることが優秀な人材を集める秘訣です。
「優秀な人が来ないなぁ」とぼやかずに、かい より始めてはいかがでしょうか。

かい より始めよ
有能な者を招きたいならば、まずは近くにいる者を優遇せよ、ということ。転じて、物事はまず言い出した者から実行せよ、ということ。

紀元前四世紀の終わり、中国の戦国時代、現在の北京あたりにあった燕という国は、失政のため大混乱したところを隣国に攻め込まれて、滅亡寸前にまで追い詰められました。そんな中、亡くなった父王のあとを継いで即位した昭王(しょうおう)は、国の復興には有能な人物を招くことが必要だと考えて、補佐役の郭隗(かくかい)にその方法を尋ねました。すると、郭隗は、「先ず隗より始めよ(手始めに、目の前にいる私、郭隗を優遇してください)」と答えます。「自分程度の者でも優遇されることが知れ渡れば、もっと才能のある者はもっと優遇されると考えて、喜んでやってくるでしょう」というのがそのこころ。事実、その通りにすると、昭王のもとには有能な人材が集まり、復興を成し遂げることができたのでした。

故事成語を知る辞典

かい 氏の優れた提案です。只者ではありません。
かい 氏は他にも「死馬の骨を買う」という故事成語も残しています。

死馬の骨を買う
すぐれたものを手に入れるために、つまらないものでも優遇することのたとえ。また、人材を求めるのに熱心なことのたとえ。

紀元前四世紀の終わり、中国の戦国時代のこと。滅亡寸前まで追い詰められた燕という国では、新しく即位した王が、国の復興のために優秀な人材を探し求めていました。そこで、補佐役の郭隗(かくかい)は、自分を売り込むためにこんな話をしました。「昔、ある王が、一日に千里を駆ける名馬を手に入れたくて、家来に一〇〇〇金もの大金を持たせて、探しに出しました。ところが、その家来は、死んだ馬の骨を五〇〇金で買って、帰って来たのです。激怒する王に対して、その家来は、『死んだ馬の骨にさえ五〇〇金を投じたといううわさを聞いて、生きた名馬を売り込みに来るものが、必ず現れますよ』と言い放ちます。はたして一年も経たないうちに、とびきりの名馬が三頭も集まったそうです。今、王が優秀な人材を求めていらっしゃるのであれば、まずは私を優遇することから始めてはいかがでしょうか」。王がその通りにすると、優秀な人材が次々に集まり、燕はみごとに復興を遂げたということです。

故事成語を知る辞典

かい 氏は凡人ではありませんでしたが、この2つの故事成語は採用の秘訣ではないでしょうか。中小企業は知名度もなく、社員を優遇する原資も限られます。しかし優秀な人がいなければ、その原資も増えないというジレンマを抱えています。まずは自社の従業員に向き合い、優遇してはいかがでしょうか。自社の従業員が活き活きと働けることが、人材定着へと繋がります。人材定着力が強いなら安心して教育投資ができます。そして利益もあがる、そんな好循環がつくれたなら、自社の評判は高まり、優秀な人が集まります。

優遇は給与や福利厚生だけだと囚われないでください。それは衛生要因です。まずは「頑張っている人がバカをみない」ことが大切だと思います。声の大きさで優遇してはなりません。見えないところで頑張っている人がきっといます。それを見つけてください。従業員の仕事へのプライドが自社のブランドへ繋がります。
慣例や規定に囚われないでください。自社にとって従業員を大事にすることとは何でしょうか。一度考えてみてはいかがでしょうか。

かい より始めよ」

人材が自社にとって重要なことなら、まずそこで頑張っている従業員に投資する。それが会社の魅力となり評判となったなら優秀な人材は集まる。そういうことでしょう。

「よし、かい より始めよう、死馬の骨を買おう」と感じていただけると幸いです。ですがこれは決して従業員に向ける言葉ではありません。「俺は死場の骨か!」と思われたら最悪ですから……。

お読みくださりありがとうございます。



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