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小規模自治体の議会議員とシュフとの兼業はどうやら相性が良さそうな件

来春に統一地方選を控え、地方議会の議員のなり手不足について様々な議論が起きています。

↓この記事にもありますが、規模の小さな自治体ほど議員の兼職・兼業の禁止の規定が重い「足かせになっている」のは確かかと。

私自身、下川町議員になった当初はNPO法人の代表でしたが、その後代表を退いた理由の一つにこの足かせが邪魔になったというのもあります。

一方で、小規模自治体の議会議員との兼業に向いている立場の方がいるような。

それは、主婦あるいは主夫といった家事・育児を主に担っている方。私はシュフと書き記すようにしてます。

特に、専業シュフではなく、パートタイマーやフリーランスとしても働いている、あるいは今後働く予定のある兼業シュフの方。

来春からの兼業の選択肢に小規模自治体の議会議員を加えてみてはどうでしょう?

というのがこの記事の趣旨です。

私自身、フルタイムで働く妻と家事・育児を分担しながら議員をやってきました。

朝、子どもがぐずりにぐずって幼児センターに送る時間が遅れ、会議の時間ギリギリで到着したときに嫌味を言われたり

会議が長引いて子どもの迎えの時間に間に合わないかもとヒヤヒヤしながらも、重い雰囲気で言い出せなかったり

ほろ苦い思い出もありますが

夫婦ともに移住者同士、血縁のない土地で結婚して生活圏に実家がなく、共働きで子育てをしている状況をお伝えするうちに

今では「お迎えは大丈夫か?」と先に気配りをいただいたり、とても働きやすい環境になりました。

そんな7年間を過ごすうちに「小規模自治体の議会議員とシュフとの兼業はどうやら相性が良さそうだ」と。

ここでは3つの側面からその理由を述べます。

1.スケジュール

2.収入

3.政治参加

まずは、活動日数や曜日・時間帯といったスケジュールの面から。

実は子育てとの相性の良い小規模自治体の議会議員のスケジュール

小規模自治体の議会議員の活動日数は、散見する中では100日前後のところが多いようです。

もちろん下川町のように様々な国のモデル指定を受けていたりして年度途中で補正予算を組むことが多い=臨時会の召集が多い自治体や

大きな課題を抱えていて特別委員会での調査などが活発な自治体は活動日数が増えますし

一議員としての活動を頑張れば際限はありません。私はよく定額働きホーダイと言っています。

それでもフルタイムで働いているように拘束されることはありません。

そして、活動の曜日と時間帯が基本的に平日の9時から17時というところが多いと思います。

また、9時から17時までずっと拘束されることの方が少ないと思います。

この点は見過ごされているような気がしていて、でも、子どもを保育施設などに預けて働きに出る場合には重要なポイントではないでしょうか。

ナイター議会やサンデー議会に取り組んでいる自治体もありますが、そうした自治体でも17時以降や休・祝日の活動がメインということはないでしょう。

平日の日中に保育施設などに子どもを預けられる環境にあるという条件付きですが、

年間の活動日数が100日前後でフルタイムほど拘束されず

活動の曜日と時間帯が基本的に平日の9時から17時の間で調整されるという点で

小規模自治体の議会議員のスケジュールは子育てとの相性が良いと思います。

議員報酬を時給換算するとパートと比べて破格の条件

次に収入面。先の記事中にも小規模自治体ほど議員報酬が少なく議員報酬だけの専業で生活するのは難しいとありました。

一方で、シュフの方が家計の足しにするためにパートに出ることと比べると全く別な見方ができます。

私が席を置く下川町議会を具体例として数字を検証してみましょう。

下川町議会の議員報酬は、ベース175,000円で、議長など役職に応じて加算があります。

また、年に2回期末手当が支給され、6月は基本給の100分の150、12月は100分の175となっています。

なので年間だとベースで2,668,750円、月給換算だと222,396円ほどになります。

年間の活動日数を仮に100日とすると日給22,240円。

1日8時間労働とすると時給2,780円

年間の活動日数が100日前後でフルタイムほど拘束されず

活動の曜日と時間帯が基本的に平日の9時から17時の間で調整されるという点と照らし合わせると

破格の条件ではないでしょうか?

ただし、源泉徴収税が引かれますし、下川町の場合、毎月3,000円、期末手当支給時には10,000円、合計56,000円が議員会費として引かれます。社会保険料も払わなければなりません。

議員会費は、議会終了後の懇親会費など自腹での飲食代がほとんどで、その都度徴収する手間を減らすためにあらかじめ報酬から天引きしておく感じです。

議員はなんでも公費で賄ってると思われている節もありますが、議員バッチも自腹で4,300円もします。

議員に成り立ての頃、みんなで作業着をそろえようということになり、既に作業着持ってるのに自腹を切って購入し、結局ほとんど着てません。

うちの議会は政務活動費も廃止したので、議会としてではなく、一議員として積極的に活動しようとすると自腹を切ることも多くなります。

ちなみに選挙費用もうちの町の場合公費負担は選挙ハガキの郵送料ぐらいで、選挙ハガキやポスター、たすきなどの印刷代や選挙カー代など自腹です。

*あくまでも下川町の場合で自治体により異なるのでご注意ください。

選挙費用については、お住いの自治体の選挙管理委員会で選挙運動費用収支報告書が閲覧可能なはずですので、興味を持った方は一度足を運んでみてはいかがでしょうか?
 
なんだかネガティブな論調になってしまいましたが

年間の活動日数が100日前後でフルタイムほど拘束されず

活動の曜日と時間帯が基本的に平日の9時から17時の間で調整されるという点と照らし合わせると

時給換算では破格の条件であることに変わりはないと思います。

気になるのは扶養の範囲を外れることだと思います。

これについては、家計の状況と自治体の議員報酬との兼ね合いで様々なケースがあり、一概には言えません。

参考記事を一つ貼っておきます。

念のために付け加えておきますが、議員の兼職・兼業の禁止の規定に抵触しないように、パートタイムやフリーランスで仕事をして収入をさらに得ることもできます。

私自身、個人事業主としてコンサルティング的な仕事やボードゲームの販売などを行なっています。

来春の統一地方選では議員報酬など制度が変わる可能性もあるので興味をお持ちの方は動向に注意してください。

誰が子育て層の代弁者となるのがいいのか

小規模自治体の議会議員とシュフとの兼業はどうやら相性が良さそうな理由の3点目。最後になってしまいましたが、これが一番重要。

政治参加の面です。

言うまでもなく、議員になれば政治参加の度合いが高まります。

では、そもそも政治とは何か。

そんな大上段に構えて難しく考えなくても大丈夫。

少なくとも小規模自治体の議員になるには

その地域を

その地域の子育て環境を

少しでも良くしたいという思いだけで大丈夫。

そう感じています。

子育てをしながら当事者として感じた苦労や見聞きする課題

たくさんありますよね。

でも狭い地域で顔が見えることが悪く作用して

行政には面と向かって言えない

議員は高齢の偉そうな人ばかりで遠い存在

そうして口をつぐみ、時々陰口で発散する言葉の中に

子育て・子育ち支援策の手がかりが眠っています。

誰かがそれを子育て層の代弁者として議会で発言する

それだけで

いえ

それこそが

今日より明日

地域を

そして

日本を良くすることにつながります。

そして、まずは得意分野の子育てを中心に活動しているうちに

今までブラックボックスの中だった議会を中心とする政治の仕組み、地方自治の仕組みが見えてきます。

それを友人・知人・シュフ仲間と共有する。対話する。

すると「じゃあこうすればいいんじゃない?」と次の一手が見えてくる。

それを試してみる。

それを繰り返すうちに手応えを感じる瞬間がきて

小さな変化が起き

その連鎖で大きな岩を動かすことにつながるかもしれません。

じゃあ誰がやるか。

子育て層の代弁は、子育て中の方がやる方がいいに決まってます。

今、日本、そして各地域が抱える最大の課題である少子化と人口減を解決するには、子育て支援が最重要となっている一方で

政治家には、子育て当事者は少なく、大勢を占めるのは子育てを女性に任せてきた中高年男性。

こうした議員構成で、今そしてこれからの状況に最適な子育て支援を議論できるのか。

財政が厳しさをます中、新たな政策を打つには何かを削らなければならない中、嫌われる勇気を持ってスクラップ&ビルドで子育て支援に回せるかのか。

私自身、7年間、子育てをしながら当事者として感じた苦労や見聞きする課題を子育て層の代弁者として議会で発言してきましたが

議員も理事者側も全員男性、1973年生まれの私が最年少の議場で

自分が圧倒的少数派であるという孤独を感じざるを得ませんでした。

この状況を打開するには

子育て中の方が

子育て層の代弁者として

議会議員になる

そいう立ち回りを規模の全国の議会で続々と

具体的には来春

2019年の統一地方選で仕掛けていく

これだろうと思ってます。

まとめ:小規模自治体の議会議員とシュフとの兼業はどうやら相性が良さそうな3つの理由

以上、小規模自治体の議会議員とシュフとの兼業はどうやら相性が良さそうな理由をスケジュール・経済・政治参加という3つの側面から述べてきました。

まとめると

【その1.スケジュール面】年間の活動日数が100日前後でフルタイムほど拘束されず活動の曜日と時間帯が基本的に平日の9時から17時の間で調整される

【その2.収入面】議員報酬を時給換算するとパートと比べて破格の条件

【その3.政治参加面】難しく考えなくても子育てをしながら当事者として感じた苦労や見聞きする課題を子育て層の代弁者として議会で発言すればいい

となります。

私は公務員試験の勉強をする中で出会った「地方自治は民主主義の学校である」という言葉を真に受けて

下川町に移住し

そして議員になりました。

政治とは何か

今はわからなくても

それを学ぶために

学校へ行く

そんな気持ちで地方議会へ進学する

それでいいのではないでしょうか。

まずは4年間学んでみて

その経験をどう活かすか考える

どの道に進もうと

その経験は

自分にも

社会にも

かけがえのない財産になる

そう思いませんか?

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以上、下川町議会議員2期8年目の奈須憲一郎がお届けしました。

できるだけ多くの方に読んでいただきたいと思い、今回は無料記事としました。

もしサポートいただけましたら、定額働きホーダイの議員活動の励みになります。

バーカウンターで「あちらのお客様からです」ってあこがれます。