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肺塞栓症を予測するもう一つの診断ツール(4PEPS)について

Performance of the 4-Level Pulmonary Embolism Clinical Probability Score (4PEPS) in the diagnostic management of pulmonary embolism: An external validation study
Thromb Res. 2023 Sep 20;231:65-75.

肺塞栓症を疑う症例に対して造影CTが必要かどうかを判断するための診断ツールである4-level Pulmonary Embolism Clinical Probability Score (4PEPS)の外的妥当性を評価した論文です。これまでWells Scoreに代表される下記のような診断に役立つスコアリングが発表されてきました。

Diagnostics 2023,13, 1326. https://doi.org/10.3390/diagnostics13071326 https://www.mdpi.com/journal/diagnostics

これらのスコアリングの問題点は、造影CTの件数が多くなりがちになることでした。今回紹介する論文は4PEPSというスコアリングをYEARS studyの登録症例で外的妥当性を確認したものです。

4PEPSという診断ツールを用いた場合の造影CT撮影基準は、High(13点以上)の全例、Moderate(6-12点)とLow(0-5点)の症例のうちD-dimerが基準より高い場合です。(下記参照)

Thrombosis Research 231, 65–75.

【研究概要・結果】
YEARS studyに登録された3465症例(臨床的に肺塞栓が疑われた入院・外来症例)を解析
評価項目
①discriminatory performance(診断精度)
→area under ROC-curve, 0.82; 95%CI, 0.80–0.84
②safety(安全性):ベースライン、フォローアップ時に肺塞栓が見逃された例
→1.3%
③efficiency(有効性):画像診断なしで肺塞栓を除外した症例→58%
④YEARS ruleとの比較
 このデータセットでは4PEPSとYEARSを比較すると4PEPSは造影CTを少なくできるが、見逃しが若干増える。(下記Table5)

Thrombosis Research 231, 65–75.

【個人的感想】
個人的には診断ツールは、その疾患の特徴や傾向を理解してもらうために用いています。使いやすさに関しては確認する項目が少ないYEARSが用いやすいかもしれません。各診断ツールは詳細を見てみると①患者背景②自覚症状③検査所見④D-dimerの要素が大枠になっていて大差があまりなく使いやすいものを使うことで良いと思います。

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