見出し画像

公開初日に"キリエのうた"を観た

音楽映画は昔から好きだった。

更にキャストが好きな人たちだったので
絶対に観に行こうと思っていた作品
「キリエのうた」

結論からいうと
全てを理解しきれはしなかった。

そもそも受け取り方に正解があるのかもわからないけど。

ただ、震災から2023年までの
私が生きた時代の物語に
これまで映画では感じたことのないリアルを感じた作品でした。

直接的な表現は避けますが
ここから先はネタバレを含むかもしれないので
楽しみにしてる人は読まないでくださいね。

できるだけ話の核には触れないよう
人を軸に書いていきたいと思います。


アイナ・ジ・エンド


BiSHという名前は知っていた。
しっかりアイナを認識したのは、
多分THE FIRST TAKEのオーケストラ。
解散前にフェスで目撃することもできた。凄い人。

キリエのうたのプロモーションの時から
きっとぴったりな役なんだろうなと思った。

あの、いつにでも壊れてしまいそうな歌声が
人を惹きつけるんだろうな。

劇中のキリエの歌う歌はアイナ自身が書いた曲

でも思ったより最近の曲のカバーも結構歌っていたが彼女は自分で書いた曲を歌っていて欲しいと思った。
1番魅力を引き出せるのはやっぱり彼女自身。

映画館の大音量で聴く歌声は
鳥肌が立ちっぱなしで
これを聴きに行くだけでも観る価値があると思う。

演技もダンスも歌も
"表現者"という肩書きがこんなにも似合う人はいないだろう。

松村北斗


最近の推しです。
(SnowManの目黒蓮は殿堂入りにさせてください)

どうやら私は顔と声の良い演技派が好きらしく。
親友にSixTONESを勧められて真っ先に、この人いい!好き!とかなり興味を持って追っかけてきているので、今回の映画も観る気満々でいた。

彼の待望の岩井作品だったらしいのでね。

彼の演じた夏彦は
あー、とか、えー、が頭につく言葉を発する人で

ここぞという時、してほしい言動をしてるようで
実際はバレない程度にちょっと逃げている、みたいな印象。

だけど、それがよりリアルさを増していた。
完璧にかっこいい男の人なんて、なかなかいないのよ。

癖と言っていた咳払い
ちょっときもちわるムーブ(褒めてる)しちゃう時の表情

日常のほっくんが垣間見える演技の時はむずむずしてしまった。
もう一回観るの恥ずかしくなっちゃう(?)

彼の出す儚さもまたアイナとは別物だけど
作品にすごく良く合っていたと思う。
岩井俊二のリアルを引き出すのに欠かせない存在だったんじゃないかな。
私にとっては絶対にそう。

この作品のために初めて練習したというギター
夏彦が作った曲“ずるいよな“
聴き慣れた彼の歌を劇場の音で聴いた時
あたたかくて、涙が出るかと思った。
劇中歌でも一番好きな曲になった。

アイナが作ったほっくんのソロ曲
今聴いたら捉え方が変わるかもしれない。

広瀬すず

普段映画を映画館で2回みることはないが
もう一度観たいかもと思わせているのが彼女の存在。

イッコ。

他の主人公に比べて、青年期が詳細に描かれており
一見謎は少ないかのようにみえたけど

後半はどんでん返しだった。

なぜ彼女がそうなってしまったのか
そうならなきゃいけなかったのか
花は届けられたのか

ラストがルカと真緒里の北海道のシーンで終わったのにはどんな理由があったんだろうか。

広瀬すずは完全同い年なので
話題になった時のことも覚えているし
演技力ないなんても言ってる人たちがいたけど
(これだけ作品に出続けてるんだからそんなことはないでしょ)

演じてる感じのない
作り込まれてない
素のようにもみえるけど
掴みどころもない。

そんなイッコに惹きつけられて
まだぐるぐるしている。


岩井俊二の作品

岩井俊二という人を語れるほど詳しくはないので

岩井作品という点で。

岩井俊二という監督を知ったのも
恥ずかしながらこの作品。

ほっくんが好きな監督と聞いて興味を持ったけど、私も好きそうな感じだなぁと思っていて

キリエのうたを観に行く前日、予習も兼ねて
"リリイ・シュシュのすべて"を観ることにした。

リリイ・シュシュの全て

いじめ、万引き、強姦、自殺、殺人
中学生のリアル。

中学生のリアル重。
私の中学生は本当に平和だったのかもしれない。

口コミをみても、賛否両論というか
何回も観る人ともう観れないと言ってる人もいて
ちょっと構えながら再生したけど

引き込まれ続けてあっという間に終わった。

家で観る映画は携帯いじっちゃったり
すんごい夜中に見始めたので眠くなるかと思ったけど
久しぶりに夢中になって観ていた。

岩井作品は時系列がすごい速度で切り替わるので
ちゃんと観てないと置いていかれそうになる。

キリエのうたも
時間、場所の切り替わりがすごくて
登場人物の視点もどんどん変わっていく
(よかった予習してて)

でも映画やドラマである
この設定ありえないでしょ
みたいなシーンはほとんどなくて
ずっと、リアル。

大学生の頃歩き慣れた新宿
2年前に訪れた石巻

そして、震災。

東日本大震災

津波こそリアルには描かれてないけど
揺れているシーンが長くて
少しつらくなってしまった。

小学6年生
福島で被災したあの瞬間は

すっごい揺れてること
初めて算数のテストで100点をとった男の子のプリントファイルが水槽の横にあって、それが濡れて嘆いているのに笑ったこと

まぁ地震だし、どうにかなるや。
お母さんも仕事で対応忙しいだろうから迎え遅いかな
(意外にも早かった)

ってすごく軽い気持ちでいてしまった。

そのあと水が止まり
避難をして
原発から放射線が出て戻れなくなり
卒業式はできず  

数ヶ月後帰って、津波でなくなった町をみて
衝撃を受けた。

そして大人になって
コロナが流行った世界を生きたからこそ

ほとんどが戻っても
もう戻ってこないものがあると知ってしまった。

震災を暗に取り上げている作品は今では珍しくないけど
映画中ずっとリアルを感じていたから
私にとってはずっしり重いシーンになったんだと思う。

キリエのうた

まず最初の東映の映画が
ギターのチューニングサウンドで始まったところから
心が躍った。
粋すぎる。

あらすじを知っていても、宣伝の映像をほぼみていても
本編でだんだんと答え合わせをしているような
パズルのピースが埋まっていくような感覚

映画館の明かりがついたとき

あー面白かった、とも
つらかった、とも表せない

感動した?
したけど、感動したもちょっと違う。

冒頭に書いたように理解しきれてない気がしたけど
消化不良だったわけでもない。

感想を表す言葉がわからなくて
こうしてnoteで長々と文字にしてみることにした。

もう一度観たい
けど、観たくないかもしれない。

時間をあけたら解釈変わるかな
でも観るなら絶対映画館がいい。

公開初日に観てよかった。
期間中悩んで、もう一回行くか決めたいと思います。


うん、でもきっと観に行く気がする。
それだけ惹きつけられて私を離さない作品だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?