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 インタラクティブなハンドリングから変化は生まれる(1/2)

肘の屈曲可動域訓練を実施しているとき、とても興味深い知見を得ました。

これはハンドリングにおける意識を変えたことで獲得できたものだと思います。

肩甲上腕関節の安定化を図る上で肘の屈曲を利用したことが奏功したことを👇の記事で解説しましたが、今回は、その具体的な内容を解説します。

ややテキストでは伝えにくい内容ですが、今回の内容を知っている場合と知らない場合では結果を大きく左右する内容です。

今回は、患者さんの身体をセラピストが他動的に操作をするとき意識すべきポイントを解説します。

上記の過去記事内でも解説したように肘屈曲を意識することで良好な結果を得たこと、そもそもわかりやすいということもあり、肘屈曲を事例にあげて話します。

それでは、本題です。


🔶ハンドリングとは何を改めて考える

まず、改めてですがハンドリングとはどうゆうことなのかを整理したいと思います。

ハンドリングの辞書的な意味は、「取り扱う」とか「操作する」という意味です。こう見るとかなり一方的な意味に思えます。

最近、臨床をやっていて思うのはハンドリングはもっとインタラクティブ(双方向みたいな意味)であるものだと思います。

もう少し具体的にいうと、セラピスト側の振る舞いセラピスト自身の身体の扱い方で、患者さんから返ってくる反応(これは患者さんが意識しているものではない)が大きく変わるということです。

自分自身も「完璧です」とはまったく思いません。しかし、このイメージを持って臨床に望むのかざっくりで望むのかでは、治療介入で得られる結果がかなり違ってくると思います。

最近読んだ本で、400メートルハードルで3度のオリンピック出場を果たし、2度のメダルを獲得をしている為末大さんが書いた「熟達論」があります👇

この本のあとがきに、スポーツとは「身体と環境の間で遊ぶこと」と定義しているというところがあります。つまり、自身と環境がインタラクティブな関係にとして、”こうしたらこう変わる”という変化を楽しむことです。

これは、ある意味ではハンドリングとスポーツの共通点とし興味深いことに思えます。

🔶”関節が動く”のではなく”骨と骨が動く”

このようなインタラクティブなハンドリングを実現するためには、何は必要なのか。ここから、今のぼくが感じているポイントを整理していきます。

まず、働きかける環境(この文脈でいうと患者さんの身体)を適切に把握することが必要です。

今回は、わかりやすく肘の屈曲を取り上げます。

肘は”関節”として捉えることが一般的ですが、ことインタラクティブなハンドリングにおいては上腕骨と前腕の位置関係として考えます。

上腕骨に対して、前腕をどのように操作するかポイントです。

なぜ、このような意識を持つかというと、”関節”として扱うとドアの蝶番みたいに遊びのない一方向的に固まった動きしかできないと、意識的にも無意識的にも扱ってしまうからです。

骨と骨が動く意識を持っていると、それらの相互関係という”関節”という固まったものからは得ることができない情報を得ることができ、より治療や変容に直結します。

🔶肘の屈曲操作には3パターンある

では、肘の屈曲における骨と骨の相互関係とはどのようなものか見てきます。

肘の屈曲には3つのパターンがあります。それは、上腕骨に対して前腕を①まっすぐ動かす、②内反気味に動かす、③外反ぎみに動かすです。

この3つのパターンを意図的に使いこなすことによって、より正確な肘周りの情報を得ることができます。

さらに、前腕を把持する位置も重要で、まずは前腕の中心点を力点にすることもポイントになります。

ものが動くというのは、質量中心点の移動と質量中心点周りの回転運動として定義できるので、前腕の中心点を意識して操作することが重要なんです。

場合によっては、意図的に力点を変えて反応を確認することも必要にある場合があります。


今回は、ここまでです。
次回は、セラピスト側の意識するポイントを整理して解説します。

それでは、また。

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