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【エッセイ】 年齢

昔々、あるところにお祖父さんとお婆さんがいました。
って始まる冒頭からして、明らかに
「歳をとった」
「老いを背負った」
「経験を積んだ」
『誰か』が出てくる日本に、不思議と何の抵抗もなく馴染んでいくのが子供心に不思議だった。
なぜ当たり前のようにおじいさんやお婆さんが出てくるのだろうと。
祖母も祖父もいない私には、不思議で堪らなかった。
まあ、後々になってここの冒頭で「誰か」を念頭に浮かべさせることで、より物語に入りやすくしているとも言えると一人納得したのだが。
それはそうと、物語は流れるように進んでいく。
海外だと「王様」「魔女」「少女」「少年」などが出てくるのが当たり前なのに対し、日本では必ず「おじいさん」と「おばあさん」が出てくる。
もちろん、少年も少女も出てくるし彼や彼女らの冒険が主題なんだろうけれど、その若者の背後には必ずいる存在が「おじいさん」「おばあさん」なのである。
後ろ盾となる人物か、はたまた主人公が志すきっかけを与えるのは年配の方なのである。
そういえば、昔でいうところの「おじいさん」「おばあさん」と認識されるのはいつからだったのだろうか。今でこそ思い浮かべるのは80歳前後を浮かべるだろうが、昔はそこまで長生きしているわけでもなさそうだし案外30歳前後でお婆さん扱いだったのかな、なんて一人妄想する。
そしたらきっと、炎上だろうな。
私はまだ「おばあさん」じゃありません!って。
自分が「歳をとった」と自覚しない限り、歳を取らないものだと思いたい。

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