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浅倉南に憧れてマネージャーになったらチームが崩壊した話

女子マネージャー。
それは尊い存在であり、聖女マドンナであり、憧れの肩書きだ。

そして一定の年齢層にとってマネージャーと言えば「タッチ」の南ちゃんである。

今回は南ちゃんに憧れた女の起こした悲劇の実話だ。



浅倉南はあざとい女

「南ちゃん…?タッチ…?」という人はさすがにいらっしゃらないと思うが、念の為説明させて頂く。

「タッチ」はあだち充による青春野球漫画であり、浅倉南は物語の核となるヒロインだ。
彼女は野球部のマネージャー兼新体操部のエースという完璧ヒロインであり、あらゆる意味で男性の理想像となっている。

「マネージャーを甲子園に連れて行く」という高校球児の目標は、この漫画から始まったと言っても過言ではない。

その一方で、彼女は女子マネージャーという地位の特権階級も読者に知らしめる。
主人公の達也に好意を寄せつつも、思わせぶりにはぐらかしたり、他の男と2人きりで会ったりもするしたたかな女なのだ。

中学校は文芸部で通し、高校では渋谷109の課外活動に夢中になった私は、部活動のマネージャーというものには縁がなかった。

しかし学生を卒業して数年後のある日、ネット掲示板の「マネージャー募集」の文字に興味を持つ。

実はマネージャーって一回やってみたかったんだよね。

南ちゃんのように献身的、かつ奔放なマネージャーの姿に憧れ、私はとある草野球チームのマネージャーとなった。



女子マネージャーという女王様

今でこそ福岡ソフトバンクホークスファンの私だが、当時は野球にまったく興味がなかった。

だが募集記事に「未経験歓迎」「野球の知識不要」と書かれていたので安易に応募したのだ。
すると受かってしまった。

とある練習日に集合し、顔合わせを兼ねて私も参加した。

チームメンバーは各々仕事を持っている社会人で、いわば趣味の野球チームだ。

スコアもろくに付けられない私に対してメンバーは親切に指導をし、「とにかく応援してくれるだけでいいから」と言ってくれる。

指示に従い私は一生懸命声を出し、おかげでルールがあやふやな中でも一体感を得ることができたのだ。

そして私は紅一点という立場に恍惚を覚え始めた。

マネージャーとは本来「補佐」の役割である。
しかし男達は唯一の女子であるマネージャーを丁重に扱う。

そんな立場に酔った私は、良からぬ方向へと傾き始めたのだ。



要するに逆ハーレム

最初はエースピッチャーに2人で飲みに誘われたのがキッカケだったと思う。
彼はまだ若く、私より少し年下だった。

酔った2人は当然のように一緒に夜を過ごしたのだが、話はこれで終わらない。

すでにチームメンバー全員と連絡先を交換していた私は、次々にやってくる誘いに身悶えた。

貞操観念がぶっ壊れている私にとって、最早このチームは入れ喰いの釣り堀でしかない。

キャッチャー、セカンドと手を付けていき(ファーストは好みじゃなかった)、サードとデートを約束した頃。

いつものように試合後の反省会と称した飲み会があったのたが、風邪気味の私はキャンセルして先に帰った。

そこでトラブルが勃発した。

飲み会で酔いに任せ、キャッチャーが「実は俺マネージャーと付き合ってるんだよね」と言い出したのだ。

「は?付き合ってるのオレだけど」
「いやいや、マネージャーは僕と付き合ってますよ」

その場に居なかった私は想像することしかできないが、地獄絵図だったのだろう。

すぐさま私の携帯に電話が掛かってきて、ありとあらゆる非難の罵声が浴びせられた。

私の頭には「三十六計逃げるに如かず」という言葉が浮かび、即座にチームとの連絡を一切断ったのだ。

あと、彼氏は別にいた。



サークルクラッシャー・凛

自分で小見出し作っといて何だけど、「サークルクラッシャー・凛」ってなんか強そうですね。
ナックルとか持ってそう。

さて「チームが崩壊した」とタイトルに入れたが、実際のところチームがどうなったかについて私は知らない。

メンバーだけの掲示板もあったのだが、さすがに修羅場後は恐ろしくて見に行けなかった。
もしかしたら何事も無かったかのようにチームで野球を続けていたのかもしれない。

しかし穴兄弟でバッテリーを組むというのも中々レアケースだろう。
相当気まずそうだ。

皆さんも穴兄弟を作る時は相手の関係性に注意を払うのをオススメします。

なんだこのシメ。

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