花
昼までは台風のような嵐、
午後からは
むわむわとした晴れ。
トコトコと眼医者さんへ向かって歩いていく道すがら
道端の、雑草から咲く小さな紫の花が
勢いよく陽の光を浴びているのを見た。
命のぴかぴかだなあ!
と同時にいま
いまにも人生を終えていきそうな具合になり
わたしたちが明日にでも
遠い山あいの施設まで
新幹線に乗って
ひと目会いにいこうとしている
子どもたちのお祖母ちゃん、わたしの義母のことを思って
どんと暗い気持ちになった。
でも
どうだろうか。
こうやって勢いを増していく命の
あたかも「代わりに」しずんでいく命
と思えば
どんよりとしてしまうけれど
そうだろうか。
誇らしく咲き切っていこうとする命
ではないのだろうか。
義母はいまも
この小さな花が
勢いよくお日さまに向かってのびるのと同じように
地上の営みを生き切っているのではないだろうか。
(2024.3.29)
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