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中国甘粛の旅4 羊肉は高血圧に効くのか?

甘粛の旅 その4(2015年5月18日)

今回の漢庭酒店は、ビルの5、6階にあるのですが、同じビルの9、10階に「文芸招待所」という宿があることがわかりました。招待所というのは、ずっと“格下”の宿泊施設で、以前はよく使っていました。もしかしたら泊めてくれるかもしれないと思って、昼前に9階に上がってみました。すると受付には、ショッキングピンクの上下にド派手な化粧をした、職場を間違えてるんじゃないかというような“おねーちゃん”がいて、「いいよぉ、身分証さえあればぁ」というのです。それで、部屋を見せてもらって、内鍵がかかることだけ確認して、ここに引っ越すことにしたのです。

荷物を置いて、そろそろおなかも空いてきたことだし、蘭州名物の「牛肉面」でも食べようと思って外に出ました。蘭州はもともとイスラム系の人が多いところなので、豚を使わず、牛と羊を食べるのです。

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ホテルのすぐ向かい側には、清真(モスリム)系の店がずらりと並んでいて、その中でも半ばオープンスタイルの馬有布牛肉面に入りました。

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で、入口の調理台でなんだか皿に盛った面を出していて、みんなそれを食べているのです。「涼面」という回族のごく一般的な食べ方だそうで、涼といっても冷やしてあるわけではなく常温です。それに野菜の煮たものをかけて、その上にヨーグルトと黒酢と唐辛子をかけるのです。この3種類の調味料というのが、いずれも日本ではあまり使われないものですが、実に普通に溶け合って、まったく違和感がないのに驚きました。おいしかったです。ただし、麺そのものは、本場山西省の方がコシがあっておいしいように思いました。

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歩いている人の半数くらいが帽子やベールを被っているのでイスラム系の人であることがわかるわけですが、被っていない人もいるので、もっといろんな民族が混住しているということになります。

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このチキンを売っていたおじさんは東郷族という少数民族で回教徒です。馬有布はあまりおいしくない、とかいって、他の店を教えてくれました。

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少し大きなモスクがあったので入ってみました。ブラブラしているとこのおっさんが近づいてきて、どこから来たのかと聞くので、日本人だというと握手を求めてきて、ちょうど昼ご飯の時間だから一緒に食べていけ、というのです。涼面を食べたばかりでしたが、こういうチャンスを逃す手はありません。

50代くらいに見える、寺で一番偉い人というのも出てきて、その人の部屋に招き入れられたのですが、それはもう立派な部屋と調度品でした。テーブルに並べられていたのは、大皿に山盛りの蒸した羊肉と、いろんな果物がどっさり。

イスラム教の聖職者は肉を食べるのかと聞いたら、毎日食べるそうで、それでは高血圧にならないかというと、その一番偉い人は、220くらいあるというのです。しかし、毎日羊肉を食べているので血管が柔らかくなっているから大丈夫、といっていましたが、医学的根拠があるのでしょうか?その彼らの食べること食べること、肉を食べない私は申し訳程度に果物をかじって、ひたすら彼らの健啖ぶりを眺めているしかありませんでした。

その高僧の息子は現在ドイツに留学中で、他の誰かの息子は、名古屋大学の博士課程に在籍しているそうです。私が暮らす賀家湾村の話をしたら、中国にもまだそんなに貧しいところがあるのかと驚いていました。では、蘭州人はなぜそんなに金持ちが多いのか、何で稼いでいるのかと聞くと、蘭州は古来より商売、つまり貿易で儲けているのだという答えでした。

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なぜか寺の近くには、医療機器の店が何軒か並んでいました。左手の青い看板は、オムロンと読みます。

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私もほんとうに予備知識なく外に出るのでまさにひんしゅくモノですが、確かに、この街を歩いていると、日本車、カメラはもちろんのこと、バイクもHONDA,YAMAHA,SUZUKIが中国産を凌駕しているし、血圧計のことを尋ねてみたら、当然のようにOMRON,Panasonicをすすめられました。日本食の店こそ見当たりませんでしたが、屋台ではちくわやはんぺん、厚揚げなど“練り物製品”が人気です。

古来より、さまざまな人が行きかい、モノが移動し、それらが混在し、文化が混じり合い、文明の発展をささえてきたのです。一度YAMAHAのバイクを見かけたときに、その持ち主に話しかけてみたのですが、彼は日本製であることを知りませんでした。一瞬あれっ?と思ったのですが、蘭州人にとっては、どこの国のものであるかということなど、あまり関係がないのかもしれません。



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