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殴り書き

ガサツ部に入部した4月。
それから1年が経った。まだ慣れない。

数々の食べ物を腐らせ、冷蔵庫がカビの森と化している。そんな部室。
床に蓋を無くしたペットボトルたちが散乱し、先輩が購入したと話していたテーブルも壊れてそのままだ。
「あ、おはようございます」
引き気味に挨拶する部員は集まるとすぐに購買へ向かう。
「先輩、ここはなにする部活なんですか?」
新入生の女が僕に問いかけた。
ただ、僕もわかっていない。逆に問いたいくらいだ。
「この部で何したい?」
聞き返すと戸惑いを全面に見せる後輩。
そりゃそうだろう。概要も何もない部活。ただ、同じ類の人間が集まってすること。
それはもう、部室を汚すだけ。
なんでこの部活に入ったのか。みんな口を揃えて言うのは、部活という青春を楽に味わいたいから。
いかにもガサツな理由だ。適当に付けられた名前も、同じような人間を集める為には重要だったようだ。

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