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人生の目的や生きる意味は過去の栄光と無関係~アラ還女性の婚活3

アラ還女性、華さん(仮名・64歳)の恋愛や婚活から、結婚というテーマを改めて考えてみる企画で始まった短期連載。
長らく中断してしまったのは、華さんから「自分の婚活について、少し考えさせてください」というお願いがあったからです。

華さんの取材を通じて、アラ還という世代に限らず、結婚をしたい女性に「結婚とはなに?」「パートナーを見つけるためにどうしたらいいの?」という問いを続けながら、結婚と人生についての考察をしていきたいと思います。

さて著名な鑑定士の勧めで吉方向の結婚相談所を探し、隣県の海岸地域の結婚相談所に登録した華さん。
結婚相談所は大手企業から個人事業主の仲人と規模が異なり、個人事業主の仲人の多くは大きな結婚相談所と連携しています。
華さんが加入した結婚相談所の仲人も個人事業主で、「I〇J」に加入していたため、「I〇J」のアプリで婚活をすること。
 余談になりますが、「I〇J」に100万以上を払ってアプリのシステムを購入すると、素人でも仲人になります。また素人仲人の多くが個人事業主ですから、中には月会費を入れてくれるお客様を歓迎します。
定期的な収入を得られるというメリットからいわゆる「永久会員」をゲットできるようなビジネス指導を行っている悪いコンサルもいます。しかも東京都のスタートアップ支援のコンサルにも「永久会員」をゲットするための悪智恵を与える人もいますので、婚活をサポートするはずの仲人が味方どころか、永遠に結婚できないようにさせてしますこともあるのです。
 やがて華さんが次第に仲人に不信感を抱くようになり、決裂する原因となったことも、仲人が素人だからでした。

さてアプリ開始の頃、華さんは男性からのオファーを全部受け入れるつもりでした。
ところが二回目のお見合いで「オファーがあっても自分でセレクトしなければ」という危機感のようなものを覚えたそうです。
華さんに婚活を「警戒させた」原因となった二回目のお見合い相手のことをラインで知るの連れて、私は背筋が寒くなったものです。「人生が終わっている」と華さんが漏らした男性も、現実に婚活市場にいるのです。
社会的な地位も年収もある人が定年退職して悠々自適かと思いきや、実はそうでもないのです。日本のシニア世代の幸福感の問題や老後の人生のことも見えてきます。
当時の華さんのLINEを、華さんの了承をもとに、一部修正して、個人が特定されない書き方でお伝えしますね。


人生の目的や生きる意味は過去の栄光と無関係~アラ還女性の婚活3


年齢と地域だけで見合いをオファーする男たち

 華さんが二人目の男性と見合いした午後に、LINEが届きました。相手の方は67歳の元教師。東京都の近隣の方です。
 ラインの文章はのっけから、落胆に満ちていました。

「老人ライフの方でした。
全く合いませんでした。
この方も一方的に喋っていました」。

「私にオファーしたのは年齢と住まいが近いからだそうです。がっかりしました。プロフィールから選んでくれたわけではないのです。
生活は年金と貯蓄で、贅沢しないで暮らしたいとか。週3のバイトが13-18時で、バイト代は時給1000円を切るので、今週3で月収5万円以下。定年後のバイト収入はほとんどないに等しいと言っていました。
住まいは亡きお母様の実家で、周囲に友人はいなく、教育関係のバイトが体力的にキツくなって、今後は週一ぐらいにしたいそうです。

1日のスケジュールは、朝5時起きでラジオを聴きながら朝ごはんを作って食べて、10時までワイドショー見て、雑用をしてから昼は近くのドライブインで昼ごはんを食べ、その後昼寝。
それから買い物したり、近所を散策して夕ご飯。
元教育者なのに読書をしない、趣味もない、友達も少ないから一緒に外出することもない、テレビが娯楽。
同年代の女性たちは家庭菜園をしながら、ボランティアしているそうです。
私が働き続けていることに、アンチな見解を感じました」

 華さんにオファーしたのは、自分より年齢が下で、住まいが近かったからという理由に、華さんは最初から打ちのめされたそうです。
 見合いが決まってから、あわてて華さんのプロフィールを見たのでしょう。
 年齢と住まいでオファーする。ほとんどの男性がこんなものなのでしょうか。

 元個人仲人の女性に尋ねたところ、「年齢と住まいで検索をかけ、普通はプロフィールを読んで自分と価値観が合いそうな人にオファーするはずだけど、年齢と住まいだけで手当たり次第に申し込む人もいるみたいですね」
 それに対して、仲人からのアドバイスはないのでしょうか。
 華さんもそのことに対して酷く憤慨していました。

「前回の方も今回の方も、年齢や住まいなどの条件を入れて検索して、片っ端から申し込みをしています。プロフィールも読まずに。
見合いが成立してから、初めてプロフィールを読むようでした。
でも読んでもどういう女性なのか、想像もしないし、会っても聞きもしません。自分のことをベラベラ喋ってばかり、、、
私のことを聴こうともしない。コミュニケーション能力がまるでないのです。
呆れてしまったので
私から自分のことを話しました。クリエイティブな仕事は大変だけど好きだから続けているというと、
『チャットghってどう思うの?勝手にアートや映像を作るあれって、どう?』って、、『仕事がなくなるんじゃないの』って、、、興味本位で聞いていることがわかって、
チャットGptのことでしょうと訂正しそうになりましたが
もう、この人、終わっている。ガックリとチカラが抜けました」。

元教育者が婚活のきっかけは「同居の母親が他界したこと」

 相手に対する気遣いもない67歳の男性に華さんは「どうしてこの人と一緒にお茶を飲んでいるんだろう」と限界を感じたそうです。
そこで最後に婚活の理由を聞いてみたところ……

「いつから婚活しているのですか、という問いに、『60歳の定年前に婚活をして、相手が見つからなかったから、辞めて、65歳ぐらいから再開した』という答えでした。
 同居していた母親が他界して、一人になったので、寂しくなったからだそうです。
 60歳の時に、50代のシングルマザーと決まりそうだったのに『子供がいる女性は無理だと思って、自分から断った。今から考えると、子供のことを乗り越えて彼女と結婚すればよかった』とじくじくと後悔するんです。
初対面の見合い相手に、楽しくないことをべらべら喋る67歳の男性が鬱陶しくなって、これ以上話をするのは無理でした。1時間経ったので、深呼吸をして、『先に失礼します』と先に帰りました」

同居していた母親が他界して、一人になって寂しくなった。だから結婚する。
そのため結婚そのものが目的で、パートナーとどのような結婚生活をしたいのか考えていないのです。


 寂しさから結婚することがありますが、その目的だけに固執すると、良いパートナーが逃げていってしまう可能性があります。
 一人では寂しいと思ったからといって、婚活を始めるのは悪いことではありません。
 重要なのは、どんな人とどんな結婚生活を望んでいるか、そして熟年世代ならどうすれば最後の日々を有意義に過ごせるかを考えることです。
それを見合いの時に伝えることでお互いの価値観がわかるのではないでしょうか。

怠惰な生活を続ける老人のような男性。まるでホラーのよう

 華さんはホテルのラウンジから急いで外に出て、駅までのシャトルバスに乗り込み、駅で降りると、急に空腹を覚えて、近くのビルに駆け込んで、インド料理のランチを頼んだそうです。
その時の心境を華さんは次のように語っています。

「67歳の、人生の目的のない人と一緒にいると、まるで命を吸い取られたような気分になりました」
 スパイスの利いたインドカレーを食べたくなったのは、一種のカンフル剤のようなものを求めたからでしょう。
一晩経ってから、67歳の見合い男性について、華さんは落胆し、そして心のどこかで怒りを感じていたようです。

「お見合いからずっと気持ち悪かったのですが、やっと理由がわかってきました。
私の周囲にいない、いても縁のない、怠惰な人と一時間も過ごしたからです。

年齢と住まいだけでアットランダムに申し込むのも怠惰、失礼とも感じない鈍感力。
1日のスケジュールを聞いて震え上がったのも、自分の生活をちゃんとしたいとか目標を持って何かをやり遂げたいとか、全くそれがない。そして何とかしたいという前向きな気持ちがないままに続く怠惰な生活。ぞっとしました。
結婚したらお金を妻に渡して、自分は楽をしたいと言っていたことも思い出しました。妻にお金を渡して、楽したいだなんて、今どき、こんな人がいるんでしょうか。
時代錯誤もはなはだしい。終わっています。
怠惰だらけな人。だから気持ちが悪かったのです」。

「私が厳しいのかもしれない。
でもきっとこんな風に感じたのも、厳しい現実を一人でかいくぐってきたからでしょう。
もちろん昨日見合いした人も、過去に家族や仕事のことで大変だったことがあるのでしょう。
でも大事なのは今日と明日。
私は今日生き生きとした時間を過ごしたいという希望を持ちたい。だから日々耐えて、できるだけ幸せを目指していることもわかりました。

今まで会ったことのないタイプの人が一方的にべらべら喋って、その話を聞いて、
気持ち悪くなりながら、
じぶんが何を大切にしてきたのかが、よくわかりました」。

「目標のない人生の方もいますよね。先日読んだ村上春樹の小説にもそんな人が出てきて。
私にとっては、まるでホラーみたいな小説だったことを思い出しました」。

 この世で出会うこともなければ、出会ってはいけない人のことを
華さんは「ホラーのようだった」と表現しています。
 もちろん、中にはこれまで会ったことのない素敵な人と出会っているかもしれません。
 でも華さんにとって、最悪な見合いだったことは確かなようです。

仲人に対する不信感

 また華さんは、早々に仲人に対して、不信感を覚えたと言います。
「仕事の関係で、待ち合わせ時間ギリギリになりそうだったので、お待たせしては申し訳ないと思い、アプリの事務局のメールボックスからギリギリになりそうなので先に席に座って待っていてくださいと、30分以上前にメールしたのです。
でも会うなり、その人はメール読んでいない!電源切っていた。
あーとかマヌケな声で、謝罪もしなければ、私の気遣いも感じない」

 そこで仲人に「一体何のための連絡手段を設けているのか、徹底していただきたいです」と連絡ラインを入れたら、仲人が「そもそも見合いに遅刻しそうなのがおかしいです」という返事。
華さんはびっくりしたそうです。相手に気を遣ったのに、どうして自分が責められなければならないのだろうかと。
しかも見合いを、会員に任せきりの仲人に対して、華さんは次第にその仕事ぶりに、疑惑を感じていったのです。

              次回に続く



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・「賞味期限が女を不機嫌にする」 現代ビジネス
https://gendai.media/articles/-/50866

【小説】
・「ボディ・クラッシュ」(河出書房新社)
・「季節はずれの恋」(講談社ムック本)
https://tcw.jp/moon-river/pdf/kisetuhazure.pdf

・恋愛連載小説「眠れない夜」(女性サイトWome)アクセス数№1になる。※noteで再現
https://note.com/natsume_kaworu/n/nfb7c953f55f1

【受賞歴】
「英語でリッチ!」(14人のインタビュー集アーク出版刊)第12回ライターズネットワーク大賞受賞

【YouTube】
「コロナ時代の患者力」
https://youtu.be/TnHSmplCSu0

【ドラマ再現化】
TBS「ワールド極限ミステリー」2021年10月13日放映
CAたちのセクハラ上司逆襲!
https://www.tbs.co.jp/program/worldlimitmystery/20211013.html

https://www.youtube.com/watch?v=1z2UiPV8hYM

【その他】
2007年 10万人に一人の難病・ギランバレー症候群を後遺症なしに完治。再発の可能性もほぼゼロと診断され、元患者としてテレビにも出演(フジ「特ダネ!」、テレビ東京「生きるを伝える」)など。


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