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光を放つ音楽 個人的15選+α

 優れたメロディーのうち、「これはまるで発光しているようだなあ」と感じるものがある。
 ポップの魔法と言ってしまうとあまりに雑で陳腐なので、前置きはさっさと切り上げて挙げていくことにしよう。Spotifyにある邦楽縛り、80's後半以降限定、ゴスペルなし。敬称略。
 思いつきで突発的に選んだけれど、思いつきでさらに追加するかも。

Do You Believe In Magic? / Cymbals

 沖井さん天才。Cymbalsは疾走する美メロの宝庫。
 「かわいくっていじわるな感じのバンド。ただしパンク。」のキャッチコピーも素敵すぎた。この曲に魔法を感じるのは、タイトルに誘導されたわけじゃない。


SUNSET CHEEKS feat. Michael Kaneko / Deep Sea Diving Club

 2021年夏、いちばん光を感じるメロディーはこの曲のサビだった。これ、もっと聴かれるといいなと切に思う。休日の午後、傾きかけた日差しの中でなんて最高。
 アレンジも絶妙な良曲。

 

Smile And Shine / Roboshop Mania

 ネオアコ的なものはみんなフリッパーズの二番煎じっていうことにしようぜ、というあまりにざっくりした括りで大きく損をしたのがロボショップマニアだろう。ポップセンスが光るものの、ヒットには恵まれなかった。甘酸っぱい青春を固めて蜂蜜をとろりとかけたような一曲。
 CymbalsとはLD&K Recordsのレーベルメイト。ここにはメジャーデビュー前のつじあやのも所属していた。レーベルごとよき。


Lazy Girl -レイジーガール- /L⇔R

 稀代のメロディメーカーでありフロントマンである黒沢健一氏がもうこの世にいない、というとんでもない喪失。でも今なお楽曲はキラキラと輝き、聴いている時間はその喪失すら彼方に飛んでいく。
 名盤「Lefty in the Right」はいずれも眩いばかりの輝きを放つ曲だらけだが、中でもこの曲を。


20TH CENTURY FLIGHT/SPIRAL LIFE

 スパイラルライフでは「Raspberry Belle」とこの曲に光を感じる。某演劇集団の演目で楽曲が使用されていたのもあり、おそらくスパイラルの中でも人気曲だと思う。キャリア通して元ネタがわかりやすいとの批判もあったが、その調理が上手く、醸し出す透明感の高さも独特。再評価待ち。
 Apple Musicのほうがサブスク充実している模様。YouTubeでは「PolystarTube」(公式)でMVが公開されている。「Cheeky」の美メロはすごい。こっちでもよかったな。

 YouTubeより「Cheeky」


Coffeemilk Crazy/Flipper's Guitar

 朝の光を具現化したような曲だと、個人的にはずっと感じている。
 余計なことを書くとシニカルに嗤われそうだから退散。「The Chime will Ring やがて鐘が鳴る」も置いて。


Wondering up and down~水のマージナル~/PSY・S

 昨今聴かれるタイプの音楽ではないし、シングルリリースされた楽曲の中にはもっと有名で語られるものもあるだろう。
 だがBメロまでの「静」と突き抜けるような「動」の対比が見事なこの楽曲が放つ輝きは何とも素晴らしい。ちょっとタイムスリップして、一度も見たことのないライブを体験してみたかった。


やさしい気持ち/Chara

 元詩人の血・渡辺善太郎(故人、atamiとしても活動)がプロデュースした、極上のスウィートソング。
 というわけで詩人の血から「春のまま」もセレクト。こちらはvo.辻睦詞の不思議な浮遊感が光る一曲。


ロマンス/原田知世

 世代的に角川映画ヒロインとして人気絶頂だった時代をよく知らないので、シンガーとしての印象が強い。(それに、某コーヒーのCMも。)
 本作プロデューサーのトーレ・ヨハンソンが流石の敏腕。どこか儚げな原田知世のボーカルが青春の輝きに満ちている。


HOPE/TENDRE

 ひとつ挙げるために「LIFE」「FLOWER」と迷ったけれど、こちらを。
 まるくやさしく、そっとそばに置くような音楽、そして言葉。こういう素晴らしい表現者が存在すること自体が一種の光。


Sunshine/SIRUP

 聴くマインドフルネス。タイトルどおり、あたたかい陽光につつまれるような楽曲。
 言葉はいらない。ただ感じるだけでいい、それですべて。


Stars In Your Eyes/Kan Sano

 サビのメロディーと展開、そして音色がまさに発光。
 Kan Sanoはいい意味でエロスの表現者として随一だと思う。スウィートソウルやR&Bに漂う艶やかさを存分に湛えながら、それでいていやな下品さがない。否応なしにツボをぐいぐい押されてしまう。
 ピアニストとしての彼もすきだ。


エンドレス / サカナクション

 サカナクションは常々「聴く文学であり哲学」だと思っている。
 夜のイメージが極めて強いこのバンドにおいて、光は思考そのもの。断絶、そしてそれを終わらせようという決意をこんなに美しいかたちで楽曲に昇華するのだから、大変な制作の苦しみがあったのも納得しかない。アルバム「アダプト」収録の「フレンドリー」とあわせて聴きたい。
 サカナクションで光といえば、ライブでのレーザー演出もお馴染み。


優しさ/藤井 風

 藤井風ときて光ならば「きらり」だろう、というところで「優しさ」を挙げたのは天の邪鬼だからではなく、この楽曲があまりにエバーグリーンの輝きに満ちているから。歌詞もメロディーラインも、アレンジも歌唱も演奏もいい。すべてが奇跡的に調和した一曲。
 これがメジャーでのファーストレコーディングだなんて、やはり小さくおさまる人じゃない。豊かに溢れ出す才能の光。


Sonatine / SUEMITSU & THE SUEMITH

 讃美歌のように清廉な光を放つ、ただただ美しいメロディ。この曲を書いたメロディメイカーが後にヒットさせたのが、天にも昇るような旋律の木村カエラ「Butterfly」というわけで、2曲一緒に。


なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」