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青島の晴れた日曜日はチルな感じで肩身が狭い

散歩がてらおいしいと聞いたパン屋へ行き、スーパーで軽く買い出しを行い、洗濯が終わるのを待つ間に朝ごはんを食べ、洗濯物を干す。模範的な休日。

青島を散策する。沖縄が返還される前、まだ海外旅行の敷居も高かった時代は一大ハネムーン先だった場所。現在は人口約3000人のうちおよそ半数が移住者で、富裕層の別荘地としても人気が高い。サーフスポットでもあり、九州の湘南と言われている。

全体的におしゃれかつ、逗子と葉山と江ノ島をがっちゃんこした感じ。チルってこういうことなんだろうな、と思いながら歩いた。

青島はおうちから徒歩10分ほどで、橋で渡れる。屋久島、種子島、桜島と島の規模は徐々に縮小し、アクセスも容易になった。

青島に渡る橋と、その手前の参道は江ノ島の雰囲気がある。

この感じも江ノ島っぽい

看板で宮崎の神話が紹介されており、眺めていたらどうも既視感がある。はて……と記憶をたどり、屋久島のうみがめ館で浦島太郎の元ネタとして紹介されていた話だと気づく。これもまた一種のコネクティングザドッツ。

青島神社は浜のすぐそばにあり、陽気な雰囲気。お皿のようなものをぶん投げて厄祓い的なことをする場所もある。

古代万葉の人々は「自分の心情に合った貝殻を探し、それに想いと願いを込めた」という説明とともに貝殻を置く場所もあり、明るさに加えロマンチックさも兼ね備えていた。

わたしには絵馬に書かれた願い事をチェックするという性格の悪さが伺い知れる趣味があるのだが、今回は「〇〇の恋が実りますように。ついでに△△にも良いことがありますように。あと◇◇も」という絵馬が好きだった。強欲なようで実は人の幸せをたくさん祈っている良い人。あなたに幸あれ。

あとは「マリオのたつじんになって マリオになれますように」という絵馬もよかった。頑張ってほしい。

神社に置かれたハートのオブジェの前にはカップルらしき男女がおり、革ジャンを着た60歳くらいの男性が「どれどれ、男性と女性がハートの中心で向かい合って、チューしろって?」とげへげへ話していた。チューの部分は彼の創作であり、絵に描いたようなすけべジジイだった。

浅瀬の岩が段々になっている鬼の洗濯板を歩き回りながら、昔の人の想像力のスケールはすごいなと思う。これが洗濯板だとすると、鬼は相当な大きさ。

良い道

広場ではサンデーマーケットが開かれていた。オーガニックのコーヒーやマクロビフードなどが並び、今っぽい感じだな〜と時計回りにお店を見て行ったら、「ホーリー」「この星」「波動測定」「潜在意識測定」「マヤ暦」「ヒーリング」などなど、スピリチュアル色の強いワードが目に入る。なかなか思想が強く、ひとまず離れる。

快晴の日曜日の昼なので、フィッシュ&チップスとビール。これがわたしの考える、精一杯のチル。

チルなランチ
精一杯の自撮り

なんとなく落ち着かないというか、居心地の悪さを感じており、なぜだろうと考えながらうろうろする。

おそらくほとんどの人がサーフィンなりランニングなりヨガなり、何かしらのアクティビティーおよび運動をしており、その健全さにどうも引け目を感じてしまう。体を動かすのに最適なこの地でわたしは座って本を読んでいるわけで、あまりに気質が遠い。

加えて、ほとんどの人が誰かと一緒に過ごしているからではという結論に至る。

ぽつーん

焼酎の品揃えが豊富なお土産屋さんのおばちゃんはたくさん試飲をさせてくれた。いまいち会話が噛み合わず、「宮崎は貧乏だから」と繰り返し言っていた。

いくら説明をしても、「味はどうでもいい、大事なのはボトル」というお客さんもいるとおばちゃんから聞く。海を想起させる青いボトルの焼酎のウケが良く、あるメーカーはウミガメが描いてあるオシャレな小さいボトルを販売して見事人気になったそう。気持ちはわかる。

おうちに戻り、共有スペースの輪に入れず部屋にこもる。わたしはすでに完成されている輪に入るのがとても苦手。町全体もコミュニティーができ上がっている感じがあり、そこに入れないから疎外感を感じてしまっていたのかもしれない。

静かになったので部屋を出て、宮崎の栗を使ったクラフトビールを飲む。

今日もまた夕飯のご相伴にあずかる。ご馳走になるだけじゃ申し訳ないなと思い、桜島で買ったひじきでサラダを作ったら好評でうれしい。おいしいひじきでよかった。

九州における薩摩および島津藩の強さについてひと盛り上がり。今は九州といえば福岡という印象が強いが、実は鹿児島も相当の存在感がある。

宮崎に有名な偉人はおらず、霧島も一部は宮崎なのに鹿児島のイメージが強いなど、宮崎の立ち位置が少しわかってきた。青島に移住した福岡出身の人は「なんで宮崎???」と全然理解を得られなかったとのこと。

宮崎は山が多く、川と海もあり、気候も良く農作物がよく育つ。のんびり生きられてしまうから、対外に打って出る意欲があまりないのではと話していた。

有名な偉人は小村寿太郎とのこと

また、今なお男尊女卑が根強く、女性が本当によく働くという。冷や汁も、元を正せば多忙な女性たちが時間をかけずにごはんを用意するために生まれたものだと聞く。気候も男が働かない感じも、フィリピンを彷彿とさせる。

デザートに梨もいただく

経営者にスピリチュアル信仰の強い人が多い理由として、全ての意思決定を自分でしなければいけないがゆえに、何か寄りかかれるものが欲しいのではないか。全てが自己責任だからこそ大いなるものに責任転嫁したいのかもしれない、という仮説を聞く。人は一人では生きられないということ。

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