シニア×IT市場の考察 ~前半~

2016年9月27日にDigital Health Meetup Vol.6を控え、シニアビジネスは、成長ビジネスなのか?有望と思われる分野に関して考察してみます。前半(今回)は、市場環境についてごく簡単に確認し、後半(次回)で、具体的にどんな分野があるか見てみます。

前半結論:高齢者人口の増加を取り込もう!

「何、当たり前のことを言ってるんだ」と言われそうですが…シニアビジネスで最も大きいと考えられる介護保険市場は、単価×数量にわけると、数量増、単価減の市場です。介護報酬単価の上下に係らず、高齢者数、事業所数、従事者数の増加の恩恵を受けられる分野や、保険外サービス、従事者の生産性を向上し得る分野のビジネスのビジネスチャンスは大きいと考えています。

以下5点の基本事項に関して、1つずつ見ていきます。

①人口動態:65歳以上高齢者人口は、2040年まで逓増します。高齢者が増えるというより、現役世代が劇的に減っていくことに危機感を感じます。。

(出所)平成28年版高齢社会白書

②財政:医療費40兆円超、介護給付費10兆円弱、税収54兆円なので。既に収支トントンです。高齢化は止められないので、平均単価を下げて支出を抑える方向です。ちなみに、よく話題になる年齢別1人当たり国民医療費は、65歳未満17.7万円/年に対し、65歳以上72.4万円/年75歳以上90.3万円/年です。いびつな印象を受けます。

③診療報酬・介護報酬改定:実際介護報酬は、マイナス改定となっています。2015年の介護報酬改定は全体で-2.27%でした。内訳は介護サービス料で-4.48%、従事者の処遇改善手当で+1.65%、中重度者や認知症対応で+0.56%です。今後も介護サービス料は低下が見込まれます。言い換えれば、軽度者の自費マーケットの広がりや、介護事業所の効率化の進展が期待されます!

④介護事業所:ここでは利益率を取り上げます。労働集約的なサービス業なので、全般的に売上高人件費比率が高いです。特に、訪問介護や訪問看護は、売上高に占める人件費比率が70%を超えます。事業所に利用者が集まるデイサービスや有料老人ホームは、訪問系サービスより労務費率はやや低く利益率も高い特徴があります。加えて、有料老人ホームは、介護サービス以外に、家賃や食費など、介護保険外の収入が半分くらいあるためそこで利益を得ることも可能です。

私個人の印象では、介護保険サービス提供部分のみに係る利益率はうまく人員コントロールして5%内外です。利益率が相対的に高かったデイサービスの介護報酬は、2015年の改定で引き下げられ、調整されています。

2018年の介護報酬改定に向けて混合介護が今話題になっていますが、業務効率の改善や、保険外収入の拡大に注目しています。

(注)厚生労働省の調査から取ってきておりN数が少ないため、ざっくりの傾向しかつかめない点は留意。

⑤介護従事者数:厚労省の試算では、2025年までに人材供給数が40万人以上増加すると言われています。それでも需給ギャップは37.7万人と言われており、人材マーケットとしても成長市場と言えます。

以上です。

初心者の方に概要を説明する感じでざっくり書いています。ご容赦ください。ご指摘有ればご教示くださいmm

各種グラフ出所…厚生労働省、内閣府、財務省

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