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丸ノ内(線の南半分)サディスティック [日記と短歌]24,3,5


飛魚の条理 一瞬だけの空 ゾンビが薔薇を愛でる四ツ谷へ/夏野ネコ


椎名林檎さんの「丸ノ内サディスティック (※以下丸サ)」がここ数日、脳に貼り付いたようにリフレインしています。
彼女のファーストである「無罪モラトリアム」発売25周年の記事を読んで、ふむ、と久しぶりに聴いたらガッツン殺られてしまったわけです。

25年…、そんなに前なのか、ていうか20世紀なのか…、と思うとにわかには信じがたいサウンドです。超絶的にかっこいい。破壊力ハンパない。

丸サはご存じの通り様々にロック文脈を散りばめながら東京を疾走していく歌で、どうやら銀座東京あたりから御茶ノ水、後楽園、と、東京メトロ丸ノ内線を池袋方面へと主体が移動していくように歌われています。

さてここで突如自分語りをするのですが、私にとっての東京メトロ丸ノ内線は、丸サで歌われていた銀座〜池袋間から見て逆サイドの南側、主に新宿〜銀座間です。でした。

中でも特に四ッ谷は素敵な思い出も悲しい思い出もやたらと多い、私のソウルタウンと言ってもいい街です。
学校と最初の職場がそのへんで、遊び場は大抵新宿界隈。恋も喧嘩も夢も挫折もたくさんあった。

その四ツ谷。丸ノ内線は全線で4ヶ所、地上に出るのですがそのひとつが四ッ谷です。赤坂見附方面から登り坂をゴトゴトと走り、上智大学のグラウンドのところでパッと空が広がる瞬間がとても好きなんですよね、水中から飛び上がったように感じて、あーー、ってなる。いつも、いまも。

みたいなことをとりとめなく思いながら、まだ丸サのリフレインは続いています。かっこいいな、もう…。
そして冒頭歌は、もうここまで書いた通りです。まんまです。
この曲で歌われていない丸ノ内線の南半分、ロックな文脈に倣って大好きな60sのバンド、ゾンビーズのアルバム「オデッセイ・アンド・オラクル」から「エミリーにバラを」。それらを思い出の駅、四ッ谷に散りばめたオマージュみたいなものですね。僭越すぎておこられそう…ごめんないさい、石を投げないでください…

でもこういう自解は楽しい。

深海から空中へと飛び出すような、でもそれは一瞬でまた海へ帰る。薔薇はむろん主体の比喩でゾンビはもういなくなった恋人や友人たち。思い出に生きる私は、思い出たちが集う四ツ谷の街でつかのま息をして、再び底へといくのです。
いいんです、自分にしかわからなくて。普通にわけわかんなくて。

そんな四ツ谷の思い出はまたいずれ…
 


※東京の地理に明るくない方はごめんなさい。丸ノ内線の解説をしますと、東京の西のまち「荻窪」を起点に都心部を横断、そのままUターンするように今度は東京北西部のまち「池袋」に至る地下鉄です。銀座、霞ヶ関、大手町といった東京の中枢部を通りながら様々な路線と接続する便利な線なんですよね。馬蹄形なので通しで乗る人はまずおらず、荻窪〜新宿の西サイド、新宿〜銀座の南サイド、銀座〜池袋の北サイド、それぞれ別の路線みたいな気がする面白い地下鉄ですね。赤い電車もかわいくて好きです。


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