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【ワーケーション】2週間、春の京都へ。メリットとデメリットを語る

※情緒的な話はこちら↓でまとめ、この記事では「働く」ことに焦点を当ててまとめていきたいと思います。


実施したこと

3月27日〜4月8日の約2週間、居住地である埼玉から、かつての拠点・京都に戻りました。滞在中はウィークリーマンションを利用し、通常業務を継続しつつ、取材案件も受注していました。

この記事ではワーケーションにかかった費用やメリット・デメリットなどをまとめておきたいと思います。結論から言うと割とよかったので、課題は解決しつつ、そのうち別の場所でもやってみたいですね。

前提となる我が家の事情

我が家はもともと別居婚もOK、お互いのライフステージに合わせて柔軟に生きていこうぜ〜と話し合っていました。

そんな中で私の博論提出期限が2年後に迫り、そろそろ先輩や指導教員とも密に連絡を取り合いながらやっていきたい思いが強くなりました。

研究の進捗面はもちろん、お金の面でも、大学図書館、ならびに研究室の本棚を利用できるところには大きなメリットがあります。

というのも、論文PDFって意外と高くて、1本あたり4000円〜するんです。本屋でパラパラめくる感覚で購入していたら、意外と大きな金額になってしまう。それを図書館でコピーすれば、数百円で済みます。

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また、研究室の本棚は関連分野の基礎文献が一通り揃っているのはもちろん、院生が「この本はアツい!」と選んだ新しい本が入荷していたりするので、フラッと寄ってそういうものを眺めているだけでも情報感度が上がりそうだなと感じていました。

(さらに言うと、元所属研究室の本棚は、几帳面な先輩がとても美しく整理してくださったおかげで、図書館の分類=日本十進分類法(NDC)よりずっと細かく分類されているんです。たとえばNDCでは言語学は「801」という番号でバクっとくくられているのですが、研究室では「〇〇理論」「〇〇分析」レベルで分類されており、探す&ザッピングするのがラクなんですね。)

それから、現在住んでいる埼玉のアパートは、「道1本挟めば東京都」レベルに至便、かつ築浅なのに家賃が10万円ポッキリという掘り出し物でした。

とはいえ2LDKなので、2人ともリモートワークになって2年、「お互いの仕事部屋が欲しいね」とは話していたのですが……。

東京都下で3LDK以上となると、ファミリー向けのレンジに入り、家賃がグッと上がってしまうんですね。具体的には、(築浅を諦めないとすると)17万円〜 覚悟しておきたい感じです。

一方で京都市はというと、学生向けのワンルームなら3.5万円〜5万円くらいで充分見つかります。ダブルでかかる光熱費を足し合わせても、東京で3LDKを探すより現実的なのでは?と。

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(築年を我慢すればこんな値段で住めちゃうんですよ、京都は……。実際、私が住んでいたのも築100年・月1.2万円の激安ハウスでした。)

そんなこともあり、

「実際、今の京都ってどういう状況なんだろう」
「住みやすい場所はあるかな?」
「てか、離れて住んでも本当に大丈夫?」

みたいなことを確かめに行きました。結論大丈夫だったんですが、そのあたりを以下で詳しく書きます。

かかった費用

かかった費用はざっくり以下の通りでした。このほかにもこまごまとした費用(数百円程度)や食費などが発生しています。

【必須でかかるもの】

新幹線代(品川⇄京都)※S Work車両
13970*2=27940円

ウィークリーマンション(2週間)
52950円

合計 80890円

【現地で買えばかかるもの】

シャンプー、リンス、ボディーソープ、歯ブラシ、歯磨き粉などバス用品
約2000円

紙コップ、割りばし、お茶パックなど
約1000円
※ウィークリーマンションには調理器具・食器はなくオプション契約でした。自炊するタイプではないので契約はしませんでした。

合計 約3000円

【人によってはかかるもの】

荷物の送料(宅急便)
1500円*4個*2回(往復)=12000円
※荷物の量は人によります。私はカメラや衣類、本など比較的多めだったのでこうなりました。

飲み代、おみやげ代、買い物代など
無限

↑いくら使ったか考えるのも恐ろしいので気にしないことにしました。

前々から欲しかったポーラのアイクリーム(2万)とか買ったので、ゆうに10万〜15万円はかかってるんじゃないですかね。でもまあ、こういうときのために働いてるので……。

費用面はあくまでも一例で、これが必ずしも平均的だったり、最安だったりするわけではありません。

たとえば、新幹線を夜行バスにすればさらに節約できますし、ウィークリーマンションも、交渉すれば安くなることがあります。

私の場合、もともと出町柳エリアの1日2200円の物件に申し込んだのに、「埋まってしまって……」と言われ(嘘かもしれないです)、先方都合で烏丸御池の3700円の物件にチェンジとなりました。

それでもホテルより安いしなあ、と思いつつ、「大学から離れるのかあ……逆に不便ですね……」とか言ってたら若干サービスしてくれました。

「他の物件と迷われているようならご相談ください!可能な限り調整します」と言われたので、もっとゴリゴリ行けばさらに値段が下がったかもしれません。申し訳ないのでやりませんでしたが。

ウィークリーって、不動産会社にしてみれば、誰も住んでくれなければ赤字がふくらむ一方です。オフシーズンだったり、長らくキャンペーンをしている(=お客さんがいない)物件だったりするなら交渉の余地はあると思いますので交渉してみてください。迷惑にならない程度に!

ワーケーション前に調整したこと

フリーランスなので、極論を言えば好きなときに好きな場所で仕事をすればよいです。

ただ、すべてのお仕事は相手あってのこと。「明日から京都行きます!連絡つきません!」みたいなやり方ではクライアント様にご迷惑がかかってしまい、帰ってきたら仕事がなくなっているかもしれません。なので、きちんと事前調整をしました。

具体的には、

・クライアント様の繁忙期は避ける
・滞在中も業務に遅滞がないことをご説明する
・滞在中は交通費ナシで滞在地付近の取材に行けることをお伝えする
(個人的に重要)

夏野の場合、もっとも大きなクライアント様の繁忙期は新学期前の1〜3月、夏休みの7〜8月、年末11〜12月という感じです。

今回は桜の開花時期=3月末に帰りたかったので、すべてのコンテンツは納品・公開が終わっていることが考えられ、迷惑はかかりづらいだろうと判断しました。

その上で、「この時期に取材系ってありますか」とおたずねし、「特にないかな!」と言ってもらえたのでマンションの契約に進みました。

(実際には滞在中に1件発生したのですが、別のライターさんとアシスタントさんに担当してもらい、いつも通りに進行することができました。)

かつ、毎週火曜日は常駐(※)で仕事をしているので、そちらは問題なく継続できることを繰り返しアナウンス。加えて、前倒しでもろもろの業務を進めておくことで、「ワーケーション中にもご迷惑がかからないこと」をしつこめにアピールしました。

※業務委託なので労働時間・場所は自由なのですが、完全フリーだとお互いにコミュニケーションコストが上がってしまったので、数年前に双方合意の上で「火曜日」に固定しました。

とはいえカッチリしたものではなく、事情があるときは自由に曜日を変えています。「偽装請負じゃね?」って疑いをかけられないように、一応アナウンスしておきます。

最後の「滞在地付近の取材を引き受ける」については、ぜひおすすめしたいポイントです。

クライアント様と話していると、「関西の方に気になる〇〇があるんだけど、予算的に出張は厳しいし……」という案件があることも珍しくありません。

そんなとき、フリーランスの方から「実は関西に長期滞在します。その間であれば交通費フリーで関西圏の取材を担当できますよ」とご提案できれば、「あ、ほんと!」みたいな感じで受注できることがあります。我々としても、新幹線代くらいは稼ぐことができて合理的です。

ただ、そのためには割と長めのスケジュールを取っておくことが大切です。「この日しかムリです!」だと受注しづらいので……。もし可能ならぜひ実践してみてください。

滞在中の過ごし方

上述のとおり火曜日は常駐の仕事があるため、その日はマンションで普通に仕事をしました。2週間滞在したので、旅程のうち2日間は仕事ということになります。

プラス、オンライン系の取材を2件ほど受注。この2件は同じ日にまとめていただいたので、1日まるごと仕事の日としました。

まとめると、純粋に仕事の日は合計3日間となります。

加えて、20時ごろに帰ってきて、寝るまで手持ち無沙汰だな……なんて日にはちょこちょこ仕事を進めました。他のライターさんの記事を編集したり、ちょっとしたリサーチを進めたり。

フリーランスは、働いた分が純粋に収入になります。細かい時間をお金に変えておくことで、京都滞在中は予算を気にせず美味しいものを食べられて良かったです。

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他の日はもう、純粋に、めっちゃ歩いてめっちゃ写真撮ってめっちゃ食べてめっちゃ飲んでました。どこからでも歩いて帰れる安心感ってすごいです。

とくに今回は、「専門学校に通い始める前の、写真の実力を把握しておきたい(学習後の変化を知りたい)」という気持ちもあったので、1日あたり1.5〜2万歩くらい歩きつつ写真を撮りまくりました。

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こうして見ると私、影のある写真が好きなのかもしれないですね。

ワーケーションのメリット

さて、ここまでの話を踏まえてワーケーションのメリットをまとめてみたいと思います。

個人的に感じたワーケーションのメリットは以下の3点です。

①QOLが上がる(最重要)

埼玉の居住地はとても住みやすいのですが、ファミリー向けのエリアなのもあり、レストランなどは大部分がチェーン店です。

もちろんチェーン店も大好きなんですが、たまには5席しかないようなこぢんまりとしたカフェでひと息つきたいときもあるもの。関東に引っ越してきて初めに感じたギャップがこのあたりでした。

京都は和食のイメージが強いと思われがちですが、実は「新しもの好き」な性格もかなり強いです。なんたってかつての都ですから、いつだって最先端でいたいわけです。

そのためか市内にはパン屋やカフェ、カレー屋などが大量にあり、「こぢんまりとした」お店には事欠きません。「おしゃれなカフェかと思ったら美容院やんけ!」なんてガッカリすることも少なめです。

仕事の合間にひと息つく場所がたくさんあり、大変心が休まりました。

②仕事にキャッチアップでき、浦島太郎にならない

フリーランスなので、「ワーケーション」ではなく普通に「バケーション(休暇)」を取る選択肢もありました。

それでもあえてワーケーションを選んだのは、業務上でキャッチアップできないことを恐れたためです。ベンチャー企業って本当にスピードが速く、3ヶ月スパンで物事を考えるので、2週間も空けていたら何が起こるか分からんなと思いました。いや、実際のところは問題ないのかもしれませんが。

結局、「週1だし、合計2日くらいなら働くか」と思って通常業務を続けたのですが、私にはこっちのほうが合っていました。

ただこれは、2週間という中途半端な期間だったからかもしれません。潔く3ヶ月くらい休むなら、きっちり「バケーション」にしてしまったほうがいいかもしれませんね。

③お金の不安がない(超重要)

フリーランスには有給休暇という概念がありません。時は金なり、休めば収入はゼロです。

だからこそ、細々とでも仕事を受け続けておくと、ちょっとお高いカフェにもひるまず入店できます。せっかく京都に来ているのに、「このスイーツ食べてみたい……でも、ちょっと高いんだよな……」なんてちゅうちょするのはもったいないですよね。

私の場合、通常業務に加えて取材案件も受注していたので、現地での滞在費や遊興費くらいは充分まかなうことができました。貯蓄がただ減っていくだけの環境に比べると、安心度が段違いでした。

ワーケーションのデメリット

一方で、デメリットがなかったわけではありません。というか、実際にやってみて見えてきたデメリットもまあまあ多かったです。具体的に見てみましょう。

①オフィス環境が整っておらず、超疲れる(最重要)

少しずつテレワークが普及したとはいえ、多くのウィークリーマンションは「家で仕事をする」設備にはなっていません。

私の滞在したマンションにも、ビジホによくあるちっせえ机と、ちっせえ椅子しかありませんでした。長時間座っていたら確実に体調が悪くなるやつです。

かつ、MacBook Proしか持っていかなかったことにも後悔しました。ぎりぎりまで迷ったのですが……。2018年式なのもあり、Zoomをすれば発熱し、Lightroomを動かせばちぎれんばかりにファンが回る。おまけにモニターも13インチしかない。こんな環境では、安心して卍ビジネス戦士卍に邁進できません。

回線も弱い。不動産会社が「Wi-Fiもあります」と言っていたので(あまり期待せず……)どんなものかと確認したらUQ WiMAXのホームルーターでした。非混雑時で40Mbpsくらい。普段、†光回線の加護†を受けている私には耐えられない速度です。

実際、混み合う時間帯になるとZoomの挙動が怪しくなり(※)、迷惑をかけかねないと思ったので、仕事の日には光回線ありのレンタルオフィスを借りるはめになりました。これが地味に高く、7000円/日くらいしました。

それでも、このオフィスの回線は余裕で200Mbps以上出たので、とても元気になりました。27インチモニターもあり、オフィスチェアもあったので7000円払う価値は充分にあったと思います。参考までにURLをご紹介しておきます。(アフィリエイトとかではないです。)

※ただこれは、回線の問題というより、MBP側の問題もあるかもしれません。このモデルはハズレだったのか、とにかくWi-Fi感度が弱い……。自宅でも相当苦労したのですが、Mac miniに変えたらサクッと解決しました。これを機にノートパソコンもM1搭載モデルに買い替えようと思っています。

②完全バケーション気分にはならない

「ワーケーション」っつってんだからそりゃそうなんですが、完全な休暇ではないので、普通に仕事の連絡はきます。

スマホを「おやすみモード」にするなどして自分でコントロールできる方はいいですが、そのあたりの切り替えがうまくない方だと、「せっかく休みに来てるのに!」とストレスを抱えかねないなと思いました。

象徴的なエピソードをひとつ。滞在中、クライアント様から「今から(Zoom)行ける?」と言われ、ちょうどヒマだったので「いいですよ〜」と対応したところ

先方 「〜で、〜だから〜で……」
私  「あ〜、いま京都にいるので帰ってからになりますが」
先方 「え?京都?そうだっけ?」
私  「いや5回くらい言ったじゃないですか!(笑)」
先方 「そう?(笑)それでさ、〜……」

こんな感じ。私がどこにいるか、良い意味で気にしてなさすぎる!(笑)いや、もしかしたら冗談だったのかもしれないですが。

ともかく、普段リモート中心のフリーランスだと、どこにいようが関係なく仕事は来ます。それはとてもありがたいことで、私のライフスタイルにはとても合っています。

ただ、人によってはハードワークになってしまったり、せっかくの休暇を満喫できなかったりするかもしれません。そのへんをクリアできるかどうか、一度ご自身で考えてみることをおすすめします。

まとめ(仕事面)

私は合間合間に仕事を進められるタイプで、美容院で髪の毛を染めてもらいつつ、スマホでディレクション業務をしたり、原稿をしたり……みたいなことをしています。

かつ、普段からスマホを「おやすみモード」にする、Slackの通知をコントロールするなどの自衛に努めているので、嵐山でのんびりしてたらたくさん通知がきてげんなり……とかもありませんでした。

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↑嵐山で一番お気に入りのスポット・サル山(モンキーパーク)。桜をちぎっては食べ、ちぎっては食べ、してました。美味しいのかな?

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Slackの運用ルールとして、よく、「送る側はいつでも自由に送る。受け取る側がコントロールする」みたいなルールが掲げられることがあります。送る側が遠慮しているようではオンラインの良さを享受できないので、受け手側がリテラシーを高めましょうねってやつです。

今回の体験をまとめるなら、Slackに限らず、こうしたコントロールを徹底できるかどうかがワーケーションの成功のカギになるような気がしました。

この前提があった上で、ワーケーションはかなり体験として良かったです。お金の不安なく休みを取れて、仕事にもキャッチアップし続けられる。回線の問題と、デスクまわりさえ解決すればもっと長くても全然大丈夫だと思いました。

まとめ(家庭面)

さて、もうひとつ気になっていた「別居でもやっていけるのか」ですが、結論としては、7割方成功といったところです。

失敗した3割は、主に「夫が仕事をしすぎる」に集約されます。

というのも、この記事↓でも書いた通り、私も卍ビジネス戦士卍なら、夫も卍ビジネス戦士卍なのです。

これまでは同じ空間に2人いることで、「さすがに0時を過ぎて仕事をするのは迷惑だな」みたいな忖度が働き、よきところで切り上げていたわけですが、私がいなくなるとタガが外れてしまったのだとか。「頭痛が止まらなくて、毎日鎮痛剤を飲みながら働いてた」とか言われ、何を言ってるのかな?と思いました。

我が家は、「社会性に乏しい人間が2人合わさることで、なんとかマトモな生活を送っている」感じの家庭です。

別居すると、心理的にはラブラブでも、肉体が滅ぶリスクが高まる。それが、2週間のワーケーションで得た学びでした。

まとめ(総括)

春の京都は最高なので、みんな行きましょう。ただし健康と光回線は必ず確保を!ありがとうございました。

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とっても嬉しいです。サン宝石で豪遊します。