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ラストダンス

恥ずかしい事に僕にも「永遠」を感じられる存在が幾つかあった。

僕は29才になってしまった。
一つの終わりを感じてしまうのは突然だった。

勿論、全部自分が悪いなどと開き直るつもりはない。
自分が悪い点を挙げるならば、こんな電子の海にくたびれた射精の様にダラダラと垂れ流す事だけだ。そして、極端に物事を考える事。

多分、これで良いんだと思う。
先んじて、今までありがとうと伝えたい。

旧くからの友がいた。
スマホの普及と共にグループチャットでやり取りする様になった。何故か人が徐々に増えていって、時に誰かと誰かが拗れて抜けていった。それでも何人もいた。

昔を振り返れば楽しい事の方が多くて、歳を重ねるほど嫌になっていった。

気だるい夏、エナジードリンクを飲み干してどこまでも自転車を漕いだ。
クソみたいな規模の祭りでさえ、フェスの様な楽しさだった。
大して飲めないのに酒を飲んで、馬鹿騒ぎしてあの日は酷かったとそれをまた酒の肴にして飲んでいた。

そんな風に感じる事も20代後半にして無くなった。

僕は男だけの集まりにガールフレンドまたは奥方がいる事が途轍もなく「不愉快」だった。「不愉快」と言ってもその人自身が嫌いな訳ではない。気付けば男同士の輪に入り込む事が不快で堪らなかった。ずけずけと入り込んで、気に食わなければ猿の様にキーキー喚く。ある者は「早く彼を帰して」としつこく電話していた。死ねば良いのに、と思った。

意気揚々と遊びに行けば友の横には女がいた。大して面白い事も言わない。小綺麗なテンプレハッピーを望む。ちょっと浮いた話をすれば機嫌が悪くなり、友は機嫌を取っていた。そんなやりづらそうな姿を見て、怒りを覚えてしまった。

そんな調子が何年も続いて、何度か不快だと友人達に話した事もあった。

「やりたい様にやれない、あんなの劣化テラスハウスだろ。」

タハハと笑う者の方が大半で、別にシンパシーを感じる者はいなかった。

そこからさらに数年経って、友達らは結婚をしていった。僕は心底友達の幸せを願った。堪らなく嬉しく、祝いの飲み会や結婚式には必ず参加した。なるべく足りない頭で「お祝い」をした。10年以上の付き合いで、ガキの頃から知ってたから。

しばらくして僕もそんな時期が来た。
祝って貰ったのにどこか「差」を感じてしまった。

本当に図々しくてがめつい奴だと思う。
自分でも自分が嫌いだ。

トリガーとして、明らかに地雷な居酒屋で祝われた事があった。

あ、自分は別にそんなに好かれてなかったんだと。ようやく気付いてしまった。このままだとただ自分が地雷の居酒屋で発狂しているからだと思われるか。まあそれでも良いけど。

予約しなくても分かるような地雷居酒屋だ。

レモンサワー飲み放題サーバー、肉寿司。
実際は飲み放題サーバーも無かった。正直出てくるメニューは全て不味かった。
肉寿司にはほとんど誰も手を付けなくて、僕は茶化しながら美味いよこれって言いながら食べた。不味かったけど、祝ってくれることは嬉しかった。だから食べた。なぜか微妙な空気を感じる。

拾い画像だけどこんな犬の餌が出てきた

幹事の友達に感謝を伝えた。
企画してくれただけでもありがたかったから。
そこから今に至るまで返信は無い。

実家が近い友達も来なかった。
しょっちゅう二人でランニングしたり、ハードオフ巡って遊んでたんだけどな。

結局、殆ど皆早々に帰って行った。
楽しかったのは夜更けの聞いた事もないレゲエが爆音で流れるクラブだった。

後から祝いの品を貰った。
どうにも「義務感」を感じる。
肉寿司と諸々にネガティヴを感じた自分が嫌いになり、気持ちの整理をする為に一旦目のつかない所にしまった。

仕方ないと思う。
子どもも産まれたばかりの人も居て忙しい。
金だってそんな捻出する程余裕は無いだろう。
嬉しいと思わなければ、感謝しなければ。

少し遡って昔のやりとりを思い出す。
僕はみんなに呼びかける。
「今日飲みに行かない?」「暇な人サウナ行かないか?」

既読がピロンピロンと付いて、返信はない。
忘年会をやりたいという話を聞き、みんなに声をかける。返信は来ない。期日までに回答されない。わざわざ自分から連絡して回答をもらえる事が大半。

あれ?

かなり前から自分が嫌われているじゃないか。思えば誘われないことのほうが多かった。

ああ、そうだよな。

グチャグチャの線が結びついた。
きっと気のせいじゃなくて、正常だ。

悲しさよりも、しょうがないという気持ちが勝った。
薄々感じ取ってはいた。僕は皆には相応しくない存在に成り果ててしまったのだ。

明確にいつからか分からない。
けど、もう合わない存在なのだと。どこかでタガが外れて自分は「厄介者」だったんだと。
そもそも、こんな腐れ長文書く時点で終わっている。

更にその上、自分がこんな違和感を感じてしまった以上もうずっと一緒には居られないなと。

僕は友達にこの先も幸せになって欲しいと思う。
そりゃあもうこんなクソみたいな俺は忘れて、子どもと奥さんのためにあくせく働いて、クソみたいな平凡の中で幸せになれば良いと思う。

僕はいつまでも制服で遊んでたあの頃を記憶に残して生きていきます。
ボケてキチガイになり次第、PSPのモンハンをやります。

ある程度割り切ってみたら生きやすくなった。
何となく誘いたい人に連絡を取って、飲みや出かけるようになった。昔話は程々に楽しくやれている。
きっと固執し過ぎたんだと思う。出来れば頭を軽く打ってもう忘れてしまいたい。

以上、自分の中でモヤモヤしてた事の整理でした。

次回はありません。

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