小宇宙食堂は、山陽須磨駅から10分ほど歩いたところにある小さな台湾家庭料理のお店です。そこを切り盛りしているのが台湾出身のリンシエさん。台湾式食養生の料理を提供されています。

「食養生とは、読んで字のごとく「食で生を養う」こと。人のいのちは食べることによって成り立っており、食べるものがからだを整えるという考えのもと、その時々のからだの声を聞きながら食材を選び食事をとることを言います。だからと言って特別なことでもストイックなものでもなくふだん口にするものを意識するだけ」とシエさん。「台湾では伝統的に食べることで心身の健康を保つという意識が根付いているように思います」

台湾の家庭料理のおいしさと、それを取り巻く独自の文化、ふるさとの味を伝えたくて、料理教室やリトルプレスの発行など多面的に活動。特に料理教室は日本の味わいや調理法も生かしつつ、日々の台所で気軽に再現できることをめざした教室で人気が高いそうです。

近年ますます人気が高まる台湾料理ですが、日本人になじみやすい味や見た目だけではなくこうした食文化のあり方も魅力になっているのかもしれません。現代のような発達した科学がなかった昔の知恵には、先人たちの経験と発見がたくさん含まれているように思います。それは日本も台湾もかわりありません。手づくりならではのおいしさと安心を考えるわたしたちもぜひからだの声を聞きながら学んでみたいと思います。