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なつくまエッセイ【ゼンマイじかけのシンビジューム】

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こちらはエッセイのコーナー。シンビジュームは可憐なのに、よくみると毒々しいランの一種です。
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#親

ブルガリアヨーグルトの無い日々

ここ数日、近くのコンビニにブルガリアヨーグルトがない。 厳密にいうと加糖タイプはあるけれど、プレーンタイプがないのだ。何度も足を運び、棚を確認した。 私の目は節穴なので、他の人にもお願いした。 でもやはり無いのだ。 異常事態である。 毎日、私はブルガリアヨーグルトを食べている。その日の気分に合わせて、ナッツや青汁、フルーツなどをミックスして。 砂糖を入れない。それでも十分、素材のうま味が仲良しすぎて、お気に入りなのだ。 それなのに、どこをどう探してもブルガリアヨ

きみたちの道程

つつじの葉の茂る道を歩いた。なんてことのない、まっすぐな道を進み、もと来た道を戻っていく。行きは、小さくてふかふかの手を握り、時にキスをしながら歩く。帰りはつかむものがいなくなった手を、袖に隠しながら歩いた。 幼稚園のバス停までの送りの時間。いつもの光景だ。 これが最後である、いがいは。 正直、驚いている。 こんなに幼稚園バス停に向かうつつじの道が、いとおしくなるなんて考えもしなかった。もっともっとふわふわの手を握りながら歩きたかった自分に気づき、とても困惑し、どうし

黒缶のモンスター

息子が一階から、黒い缶を持ってきた。 モンスターというエナジードリンクだ。 私は同シリーズのみかん味がするドリンクを、時々飲んでいた。それを知っていた息子が、わざわざ一階から持ってきてくれたのだ。 一階には、父と母がいる。テニスやゴルフが好きな父と、ミスタードーナツで友人とわいわいやるのが好きだった母が、黄金色の大きな犬と暮らしているのだ。 エナジードリンクはゴルフ好きな父が孫に渡したものだった。そのことを娘にいうと 「きっとお母さんにくれたんだよ」 という。