ドイツ 人生100年時代に働いてばかりでいいのかと思ったはなし
11月末から開催されているクリスマスマーケットの人混みの中をくぐり抜けて、火曜日から土曜日まで仕事場まで歩いて通う日々。
ランチのシフトとディナーのシフトで分かれている勤務形態のため、わたしは毎日、2回、同じ道を往復する。
朝の11時くらいから、グリューワイン(アルコール入り)を楽しんでいる人がいるのを見ると、さすが外国だな〜と今でも思う。
そんなクリスマスマーケットも今週で終わりを迎える。
ドイツでは、日本と違って新年よりもクリスマスに全力を注いでいるイメージが強い。街の中も毎日、人で溢れかえっている。
12月31日のカウントダウンには、街中でロケット花火が飛び交い、「新年」という雰囲気は味わえるが、クリスマスが終われば、1月・2月は閑散としている。
クリスマスの人混みを歩きながら、ふと「人生100年時代と言われる現在、こんなに働いてばかりでいいのか」と思ったはなし。
日本人は本当に働きすぎなのか?
わたしがドイツに来てから、何かを考えるとき、日本とドイツを比較することが多くなった。オーストラリアにいる時は、まだ旅行者気分が抜けなかったのだろう、「オーストラリアと日本」で考えることは少なかったと思う。
ドイツでは、フルタイムで働き、アパートを借りて、そこで生活をしている。借りぐらしではないのだ。
(良いのか悪いのか、そんな生活の中で、”日本だったら、○○○なのにな〜”とか、”ドイツだから、ドイツ語がドイツ人のようには話せないから職業の選択肢も少ないのかな”とか、考えても無意味なことをたまに思ってしまったりはする。)
突然だが、「過労死(かろうし)」という日本語が、世界でも「Karoshi」として、伝わることをご存知だろうか。
Wasabi(わさび)やSushi(すし)と同じように、日本語のまま、意味が通じるのだ。
ドイツ人の彼と話している時に、ドイツにも昔は、過労死的な言葉があったという。
ドイツで暮らしていると、ドイツ人と日本人には少しの共通点があるように思う。時間に正確だったり、初めて知り合う人でも打ち解けるまでは一定の壁があるような気がしたり、礼儀正しかったり。
働き方もドイツと日本は昔は似ていたのかもしれない。
ドイツは、労働者を守るための法律も整備されつつある。
例えば、ホスピタリティなど残業が多くなりがちな業界でも、オフィスワークと同じように勤務時間(出勤時間、退勤時間の打刻)がわかるようにアプリなどの導入が義務付けられた。(日本では当たり前?)
それによって、実際、労働者が何時間働いているのかがはっきりとわかるようになった。
日本人が働く日本食レストランと、ドイツ人が働くカフェを比較してみても、小さなことだが働き方の違いがよくわかる。
ー例えば、10時から出勤の場合。
ドイツ人は、9:59に打刻をする。むしろ、早く着いたので10分前に打刻をしようとすると、「まだ10分もあるんだから、コーヒーでも飲めば?」とスーパーバイザーに声をかけられる。
日本人は、”5分前行動”が身につきすぎている。ほとんどの人が、10分〜15分前には来て、打刻をして、仕事を始める。
(ちなみに、勤務開始時刻は、予定より早くに打刻をしてもプラス時間としては計算されない)
日本人は根っからの、”働きすぎてしまう体質な人”が多いのかもしれない。
ドイツ人の働き方
ドイツで職探しをすると、勤務形態にも様々な形があることが容易にわかる。
Voll Zeit(フルタイム):100%で働く状態。週5日出勤など。
Teil Zeit(タイルツァイト):80%で働く状態。週4日出勤など。
Mini Job(ミニジョブ):税金を支払う義務がない状態。月の制限が€520まで。日本でいう、アルバイト。
それぞれの細かい勤務形態や状況はここでは割愛するが、こんなにも様々な働き方がある。
しかも、副業に対しても寛容で、2〜3つの仕事を掛け持ちしている人も多くいる。
わたしのドイツ人の友達も仕事を探す時は、Teil Zeitで募集しているかをチェックする人が多い。
彼らは、仕事もしつつ、自分の時間もきっちりと確保したいのだ。
仕事を人生の中心(軸)としては見ていない。
また、前述した通り、ドイツではいくつかの仕事の掛け持ちが普通なため、メインとなる仕事をしつつ、「好きだから」「やりたいことだから」と他の仕事をする人も多くいる。
例えば、タトゥーアーティストを本業として、その隙間時間にカフェで働く人。
カフェで働きつつ、趣味でもあるボルダリングをボルダリングジムで子供たちに教えながら働く人。
学校の先生をしながら、コーヒーが好きだからと、カフェで働く人。
いろんな人がいて、いろんな働き方があって、わたしはすごく好きだなと思う。
日本でも、今でこそ、副業を認める会社も多くなりつつあるだろうが、まだそんなに浸透していないも事実。
また、学生時代を終えれば、そのあとの人生が仕事メインと考えがちな日本とも違い、ドイツでは、みんながそれぞれ自分のしたいことをいくつになってもしている。
”自分のしたいこと”を本業(メインの収入として)にできなくても、何かしらの形で自分の人生に関わりを持たせている姿がわたしはうらやましくも思う。
そんな彼らを見ていると、自分も働いてばかりじゃいられないなあ、と思う。
わたしにも、わたしなりにしたいこと、ずっとできたらな〜と考えていることがある。それを少しずつでも、実現するために来年からは80%(Teil Zeit)として働くことをボスに掛け合い、承諾してもらった。
確かに収入は減る。(勤務時間が減るため当然なのだが)
でも、仕事をすることばかりに自分の人生の時間を使うのをここで一旦、やめてみようと思ったのだ。
さて、わたしの人生の時間はどう変わっていくのか。
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