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文トレDAY57 あるホームレスのはなし

大学時代、友達から聞いた本当の話。


大阪 旭区。

ホームレスのおじさんが、リアカーに大量の段ボールを載せ道路を渡っていた。その段ボールの上には茶色の犬が痛々しい包帯を巻いていた。

「おっちゃんどうしたん、その犬、包帯巻いてるやん。」
好奇心の強い私の友人は、なにげにホームレスのおじさんに質問した。

「あっ! こいつか?道歩いてたら、こいつ車にはねられて、動けんようなってたんや、ほんでしゃないから、さっき医者連れて行ったとこやねん。」
「10万もかかってもうた。」
 とホームレスは言うのであった。



にわかに信じられない、この都会でそんな気持ちの人間がいるであろうか?
その日暮らしのホームレス、10万をお金を工面して、路傍にいる瀕死の見知らぬ犬のために治療費を払うであろうか?

かなり昔にこの文章を書いた、そのときはこのホームレスのことを「現性の神を彷彿とさせる」と書いたのだが、今改めて読むと違和感を感じ、書かなかった。いや、書けなかった。

「困ってる人や状況をみると思わず衝動的に動いてしまう」そんな性格の持ち主のなんだろう・・・・

その人がホームレスになったその理由もそこに原因があったのでは・・・・と深掘りしてしまった。

どこかでその人を変えてしまう、全財産をなくしてしまう出来事がその人に起こったことは、事実だろう。

「困ってる人や状況をみると思わず衝動的に動いてしまう」

その「性格」がこのホームレスさんが今後、良き道に進める力として働いてくれることを願った。


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