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固定電話をクラウド化したら、1日1時間の時間を創出できた

こんにちは、ごまちゃんです。
私はナビタイムジャパンで情報システム部門(以下情シス)に所属しています。本日は2022年9月に当社で実施した、固定電話クラウド化についてご説明いたします。

固定電話システムクラウド化に至る経緯

クラウド化前は、各座席に専用の固定電話機を置いていました。外線着信時はそれらが一斉に鳴動し、手の空いている社員が自主的に電話をとる運用を行っていました。

しかし、この固定電話機は以下の問題点があるため、現場から運用の変更を求められていました。特に2つ目の問題はクラウド化へ動く大きな契機となりました。

1.固定機器の維持、設定変更費用

当社の固定電話システムは、サーバールームに設置されたPBX(※)と、数百台の固定電話、それを接続するケーブルで構成されています。これらの機器は毎月のように故障が発生し、交換や修理に追われていました。問い合わせの対応にも時間を割かれ、メンテナンスコストは決して安いものではありませんでした。

(※)PBX…複数の電話機やデバイスを接続し、外線を効率的に振り分けたり、内線の転送を自由に設定できるシステム

また固定電話システムは、自分で鳴動等の設定変更を行うことができず、組織変更の度に業者へ作業依頼を行う必要がありました。これにより相当な費用が発生していました。

2.コロナ禍における着信ロス

2020年から始まった新型コロナウイルスにより出社は制限され、一時期は誰も出社することができなくなりました。当然ながらその間は電話の着信を確認することができなくなり、部署によっては着信確認のために出社するような状況も発生していました。

このような状況が続いたため、現場から電話システムのクラウド化は強く求められました。

電話のクラウド化へ、Dialpadの選定

以前よりIP電話のサービスは調査していましたが、2022年2月に発表されたDialpadのMNP対応アナウンスを目にして、即座にPoCを開始しました。

これまでも、Dialpadを含むIP電話系のサービス導入は検討していましたが、現在利用している03番号を利用できないため、導入を見送ってきました。それがMNP対応によって現在保有している03番号がそのまま利用できるようになったことが導入への後押しとなりました。

Dialpadを導入して得られた効果

DialpadのPoC開始から全社導入は、4ヶ月で終了しました。
導入の際は、全社宛の説明会を行ったり、Slackに問い合わせ用チャンネルを用意したりすることで、大きな問題なく移行を終えることができました。

移行によって得られた効果は非常に多くその中から4点に絞ってご案内します。

1.場所デバイスを問わず、受発信が可能に

Dialpadはスマホ / PC アプリが提供されているため、社員は自分の運用しやすいデバイスにインストールすることで受発信が可能となりました。またインターネットに繋がる環境さえ確保できれば、電話の受発信が可能なので、在宅業務でも受電に対応することが可能となりました。
 出社時も固定電話の存在を考えなくても良くなったため、座席に縛られない、より流動性の高い業務スタイルが実現できました。

2.物理機器の撤去、場所の有効活用が可能に

クラウド化に伴い、サーバールーム1ラック分のPBXと、固定電話機数百台(畳8畳分のスペース)を撤去できました。
これにより社員から見た場合、机の上の電話スペースの有効利用が可能となり、管理者側から見た場合、機器故障に関するトラブルに悩まされることがなくなりました。

オンプレシステム クラウド化のメリットの一つに「管理する機器を持たなくなること」が挙げられます。電話システムのクラウド化は、PBX、数百台の固定電話、ケーブル…と管理対象の機器を一度に手放すことができるため、管理者側から見たときのメリットは非常に大きいです。

3.着信業務の迅速なスケール対応が可能に

事業や業務の方針により、電話が急遽必要になることは多くあると思います。以前の固定電話機の場合は、調達と設定に数週間のリードタイムが必要であり機会損失を生んでいました。Dialpadであれば数分でアカウントの発行が可能となり、事業の要望に答えることが可能となりました。

逆にいうと方針転換で電話が不要となったときや、退職時の対応も即座に可能となり、費用を最小限に抑えることができます。

4.着信処理の自動化対応が可能に

電話はどの会社にもあるツールである反面、着信時に強制的に作業が中断されてしまうという問題点があるため、ビジネスシーンでは使いづらい点があると感じます。

その問題点をDialpadは補ってくれました。

Dialpadは着信を手動対応、自動音声対応の2つから選択できます。自動音声を選択した場合、留守番電話の内容は自動的に文字起こしが行われ、さらにSlackに共有されます。

この機能を利用して、一部社内では着信を常時自動音声に任せ、Slackに通知された着信内容に対応するという非同期コミュニケーションスタイルが可能となりました。この場合、Slackの履歴を見ながら必要な着信にのみ担当者が折り返しすれば良いし、不要な広告などには対応すら必要ありません

全社では多くの部署で、着信を自動応答に委任する運用を行っており、1日約30回の着信とSlack共有対応を完全自動化しています。これを人間が行った場合に2分かかると試算すると毎日1時間の削減が実現できました。

今後の展望

Dialpadは今後、多くの機能追加を予定しているそうです。
AIの進化により、リアルタイムの音声認識と自然言語処理で顧客の感情を分析し、最適な回答を提案する「Dialpad Ai」という機能も搭載されるようです。そうなるとより最適な音声回答が行われると予想されます。

このような機能進化により、これまで人力で行ってきた業務は自動化されます。現在我々が行っている業務は、できるところからシステムに任せ、我々社員はより注力すべき業務に対応できる環境を作り出していきたいと考えています。