女性金管楽器アンサンブルの先駆け、「ブラスアンサンブル・ロゼ」の記念すべき20周年アルバム「Brass Ensemble ROSE with You」がリリースされました。美しい響きと緻密なアンサンブルでファンを魅了してきた「ロゼ」。今作は、王道というべきエヴァルドをはじめ、「モルダウ」をモチーフとした珍しいハープとの六重奏曲など彼女らのこだわりと魅力が詰まった内容になっています。

このこだわり抜いたアルバムについて、メンバーの皆さんにお話を伺いました。

───結成20周年おめでとうございます。ひとつのアンサンブル活動を長期間続けることは大変難しいのではないかと思いますが、20年間続けられている理由やコツなどあればぜひお教えください。

【稲垣】楽しみにしてくださる方、応援してくださる方がいることは大きいと思います。あとはメンバーの付かず離れずの絶妙な距離感ですかね（笑）
【近藤】みんなが金管五重奏が好き、ということと、20年ずっと突っ走ってきた訳ではなくそれぞれのペースを考えながら話し合い、演奏会やレコーディングを組んでいたことで続けてこられました。
【杉浦】5人のやる気と根気、フットワークの軽さでしょうか。
【照喜名】みんながいい感じに適当な性格なのだと思います。そして、お互いを尊重しているところ、ロゼやロゼの音楽、そしてメンバーが大好きなところでしょうか。
【加藤】ありがとうございます！
20年間続けてこられたのは、5人が心身共に健康で、各々の生活、音楽活動に前向きに努力し続けていること、また、20年間応援してくれるお客様、音楽仲間、友人、家族の支えがあってこそ続けて来られました。全ての方々に感謝しています。

───今回リリースされたニューアルバムは結成20周年記念アルバムということですが、選曲にあたってのポイント、コンセプトをお教えください。

【稲垣】やはりハープと金管五重奏の共演です！CDに残せて嬉しいです。
【近藤】エヴァルドは過去のアルバムのコンセプトからもやりたいね、と。あとの曲も20周年にふさわしい、やり甲斐のある曲を選びました。
【杉浦】メンバーの好きな曲、聴きたい曲を集めました。
【照喜名】エヴァルドは自分たちが残したい曲。その他にもやってみたい曲、またそれに合わせて聴きやすい曲を選びました。
【加藤】金管五重奏は古典から現代音楽、ポップス、ジャズ、様々なジャンルの作品があります。アルバムを聴いてくださる方に、私たちのコンサートを感じていただけるようなプログラミングを考えました。また、初めて金管五重奏を聴いていただく方々にも、耳馴染みのある曲と同時に、金管五重奏のためのオリジナル作品を紹介したいと思いました。これまでのロゼのアルバムコンセプトも「全て同じように考えました。

───金管五重奏の定番中の定番作曲家ヴィクトル・エヴァルドはこの編成のために4曲の作品を残していて、今作では第2番を、また過去2作でも第3番と第4番を録音していますが、この作曲家・作品への思い入れがあればお教えください。

【稲垣】金管楽器というより弦楽器のような曲調がロゼの雰囲気に合っていると思います。4番は身近な人たちが録音していて、非常に難しそうだけどやってみたい、となったから。
【近藤】エヴァルドの響きが私たちの演奏に合っているのではないかということで選んでいます。4番は挑戦、でした。
【杉浦】エヴァルド４番は大曲です。固定メンバーで、時間をかけて曲に向き合えた事で、アルバムに入れる事ができたのかと思います。
【照喜名】アルバムでは逆の時期になっていますが、私たちにとって４番が最後の挑戦でした。あまり録音も多くない２番と４番は是非残しておきたいという想いがありました。
エヴァルドの作品は団体によって全然違う解釈になったり、とても色の出せる作品だと思います。“ロゼ・カラー” を出せる作品だからこそアンサンブルの醍醐味もあるように思います。
【加藤】金管五重奏を続ける中で、ヴィクトル・エヴァルドは必ず演奏する作曲家です。宮廷音楽であった金管アンサンブルが、弦楽合奏のような美しいメロディを奏でる最初の作品でもあります。その中で、1番は比較的録音が多いと思うので、3番、4番、2番を収録しました。
4番はとても美しい作品ですが、長く音楽的にも難しいので取り上げられることが少ないのが残念です。多くの金管五重奏をやっている方々に聴いていただき、演奏していただけたら！と思い、収録しました。私もリバスト・ブラス・クィンテットの演奏を聴いてやってみたい！と、思いました。

───ヤン・クーツィールの六重奏は、録音も少なく作品自体ほとんど知られていないかなり珍しいものですが、この作品を録音することになったきっかけをお教えください。

【稲垣】レギュラーコンサートでクーツィールのヴィシェフラドの主題による変奏曲に取り組んだ時、共演したハープの松村さんがこのモルダウのメタモルフォーゼスを探して楽譜をくださったのがきっかけです。
【近藤】ハープの松村さんにこの曲を紹介していただいたのがきっかけです。
【杉浦】ハープと共演なんて夢のよう！楽譜の提供があり贅沢な収録になりました。
【照喜名】クーツィールはロゼにとってもお馴染みの作曲家です。毎回難しくてキツいことにはなってしまうのですが、なんだか挑戦したくなる…そんな作品が多いです。以前共演したハープ奏者の松村さんがこのモルダウの作品を見つけて楽譜を提供してくださったのがきっかけです。それから結構時間が経ってしまっているのですが、今回アルバムを作るなら是非入れよう！という話になりました。
【加藤】ヤン・クーツィールは多くの金管五重奏作品を残しています。ヤン・クーツィール作品のコンクールが開催されるほどですし、ロゼの3枚のアルバムも全てヤン・クーツィール作品を収録しています。今作では、以前コンサートで演奏した際に金管五重奏とハープの響きが美しかったので紹介したいと思いました。珍しい編成、作品ですが、金管楽器とハープのコラボレーションはとても合うと思います。

───今後、演奏・録音したいレパートリーがあればお教えください。

【稲垣】ロゼのために書いていただいた曲の録音を残したい。
【近藤】今までのロゼに無かったジャンルの曲にチャレンジしてみたい。
【杉浦】ロゼのために作曲してもらった曲をできれば録音したいです。
【照喜名】まだまだ世の中にはたくさんの曲があります。これからもいろんなジャンルに挑戦してみたいです。ロゼのために書いてくださった曲もあるので、是非それも録音したいです。
【加藤】ロゼの毎回のコンセプトから外れることなく、まだまだ多くの作品があるので、古典〜ポップスまで幅広いジャンルを演奏したいと思います。女性作曲家への委嘱作品も現実にしてみたいです。

───全国の金管楽器奏者へ向けてのメッセージ、告知などあればお願いいたします。

【稲垣】本番がなくても集まって練習したり、いつでも一緒にアンサンブルできる仲間がいることはとても幸せなことです。楽しんで続けてください！
【近藤】アンサンブルすることでハーモニー感の楽しさを味わえたり、メンバーとの信頼関係が築けるので、音楽をする上で欠かせない『仲間』を大切にしていってください♪ 続けることで得られることがたくさんあります！
【杉浦】アンサンブルはそれぞれのテンポの取り方、歌い方、ブレスの取り方等で、一瞬にして変化していきます。同じ曲も演奏が毎回違うので飽きませんね。面白いです。
【照喜名】アンサンブルは本当に楽しいです。ハーモニーがしっかりきまるとそれだけで幸せな気分になるし、メンバーがいきいきと演奏しているのを感じると負けてられないとテンション上がってきます（笑）
なかなか長続きさせるというのは難しいことだと思いますが、それでも今一番やりたい音楽を共有できる仲間、同じ目線で演奏できる仲間、いろいろなことを話し合える仲間と一緒に音楽ができるというのは本当に幸せなことだと思います。続けることに意味がある！ そう思います。
【加藤】金管五重奏はとても楽しいです。難しいからこそ楽しい（笑）
また5人という人数も良いです。【ジャクソン5、フィンガー5、SMAP、嵐、King & Princeも５人（笑）】
個々に音楽を勉強するなかで、同じ時間を共有出来る仲間がいる事はこの上ない幸せです。

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