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これまでにもっとも強烈だった音の記憶はなんですか?

音のない世界
何も見えない世界
前も後ろも右も左も分からない
静寂と暗闇に包まれている

頼りになるのは遠くから聞こえる鈴の音
ひたすら唱え続けるご真言
左手で触れている滑らかな木の感覚

りーん りーん

透き通った鈴の音に導かれ
すがるような思いで進んでいくとようやく見えてきた光

「いま歩いている時に感じた想いは、産道を通ってきた時の気持ちですよ」
先導してくれた方に暗闇から抜けて言われた言葉

ひたすらに怖かった
不安しかなかった

鈴の音に置いていかれるのが怖くて
必死についていこうとするけど
ゆっくりと一歩ずつ進んでいくしかなくて

いつ終わるか分からない恐怖から解放されたい
早く終わってと願うしかなかった

光が見えたときの安心感と安堵感
見えないものから解放されたようなすっきりした気持ち

地下にある暗闇に入るときに確認したことは
「足元は坂ですか?」

未知の世界に入っていくときの恐怖感
なにがあるのか分からない不安感

産道を通ってくる時に感じたことは
生きている間はずっと隣り合わせなのだろう

心の中ではいつも誰かに助けて欲しいとすがっていて
身動きが出来ないくらい怖くて不安になるときもあるけど
それでも自分の足で進んでいくしか道はない

導いてくれる鈴の音に置いていかれないように




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