地球人と宇宙人の違いの話1
酷く暑い日だったが、夜風がはだけた着物の中を涼めてくれた。
電気もつけず四畳半の部屋の中、襖の隙間と二重窓から射す微小なあかりを頼りに私は墨をすっていた。テーブルの上に仕事で扱う書類を入れたファイルが無造作に散らばっており、身動きが取りずらい。
私は縮こみながら硯に溜まった水を陸に上げ、孤を描いて、
日々の疲れを解すよう丁寧に墨を混ぜていた。
この瞬間が私の唯一の歓楽の時であった。この世の時間も粒子も是非も、そして次元さえも一つの無に収束される感覚がした。
私みたいな半端者も