1分小説@NAYUTAちゃん

1記事1分程度の小説を書いております。ヨロシクです! 誰でもfollow me 音楽…

1分小説@NAYUTAちゃん

1記事1分程度の小説を書いております。ヨロシクです! 誰でもfollow me 音楽(hiphop)とアイドルと廃墟が好き!!! Also posted in English at Midium→ https://medium.com/@nayuta9924

マガジン

最近の記事

地球人と宇宙人の違いの話3

吸い込まれた先は宇宙空間であった。永遠を感じるほどの漆黒の中、数々の惑星の光が浮かんでいる。なるほど先のゴムボールは宇宙服であったのだ。 しかし、我々の住む地球や太陽が存在してるものでは無くワームホールで繋がれた別の次元の世界である事が、私には分かった。 そういえば私は神だった。 この世は母体となる宇宙から枝分かれで派生した小さなものでしか無いのだ。第一から第三宇宙、そして私第四宇宙の神々は上から命令でそれぞれの運営を任されていた。目的はというと、より知的で体力のある生物の

    • 地球人と宇宙人の違いの話2

      石で出来た長方形の空間で神々は、肘をぶつけあい怒号を浴びせあっているように見えた。何故「見えた」と曖昧な言葉を使っているかというと、壁自体が発光しており、部屋中に光が反射され目視が困難であるからである。おまけに私たちが使っている言語と違い、更にシンセサイザーのように甲高く響く声は何を言っているのかが判断出来なかった。 私は一度部屋に戻った。頃合いな物を探し、畳に箱ティッシュが転がっていたので丸めて両耳に詰めた。更に当たりを見渡し、机の上に老眼鏡に見つけた。 私は本棚から資格

      • 地球人と宇宙人の違いの話1

        酷く暑い日だったが、夜風がはだけた着物の中を涼めてくれた。 電気もつけず四畳半の部屋の中、襖の隙間と二重窓から射す微小なあかりを頼りに私は墨をすっていた。テーブルの上に仕事で扱う書類を入れたファイルが無造作に散らばっており、身動きが取りずらい。 私は縮こみながら硯に溜まった水を陸に上げ、孤を描いて、 日々の疲れを解すよう丁寧に墨を混ぜていた。 この瞬間が私の唯一の歓楽の時であった。この世の時間も粒子も是非も、そして次元さえも一つの無に収束される感覚がした。 私みたいな半端者も

        • 友だちの葬儀を担当する事になった話4(完)

          葬儀が終わり火葬場に向かうまでの間、遺体は葬儀場に隣接された安置上に置かれた。クラスメイトらはわざわざ休日に駆り出されたので、折角だからとこの後の寄り道についてヒソヒソ話していた。 そして溢れる参列者に律儀に頭を下げた後、西野家も少しばかしの休憩と部屋を後にした。 そして僕が横切る時に西野の母親が、不思議そうに会釈を返した。中学生からこの仕事を手伝っているので視線には慣れていた。 しかし、何度も彼女とは西野の家で何回も会っているので覚えらていない事に驚いた。 僕は何だが気

        地球人と宇宙人の違いの話3

        マガジン

        • 作品集
          21本

        記事

          友だちの葬儀を担当する事になった話3

          「死にたい」が口癖の若者は日本の全体の何割に登るだろう。 用意された無数のレールの中、転ばないような道を選ぶ事が人生だと教えられ、やりたくない事を強制される。 当然生きる事に疲れ、不意に自問を繰りかえし始める。それが日本の10代の常だと僕は思っている。そして30歳ぐらいに急激に欲望を妥協するとういうのも、これもまた常であり、あるあるである。 しかし、そんな事を頭で分かりきっていても、溢れる得体の知れない苛立ちに脳をコントロールされる。 一過性の病状だと思っていても、年

          友だちの葬儀を担当する事になった話3

          友だちの葬儀を担当する事になった話2

          読経も終わりしばらくして焼香台がクラス全体に回ってきた。 無駄に時間をかけ祈ったり、迷いながらもそそくさと終わらす者と様々であったが、田島が手についた粉を横の原田に擦りつけて遊び、周りがクスクスと笑う様に不謹慎ながら殺意が芽生えた。 しかし、笑ってはいけない場所でのアクシデントが一番面白い、それが10代そこらの子どもにとってクラスメイトは世界の全てである。 僕は何とか睨む程度に抑えた。そして隣の吉岡の前に焼香台がおかれた。 すると吉岡は手慣れた手付きで額に指先を持ち上げつ

          友だちの葬儀を担当する事になった話2

          友だちの葬儀を担当する事になった話1

          泣き出す女子生徒、機械の様なお経、親族の歪んだ顔、僕はお通夜の雰囲気が昔から面白くてしかたなかった。沈黙がずっと続くと吹き出して笑ってしまい、よく葬儀ディレクターの叔父に他人の気持ちを考えれないのかと怒られていた。エンバーマー学科のある海外の大学に進学することが生まれる前から決まっている僕としては他人の葬儀なんて笑って過ごせるくらい気丈である方が良いと思う。なんなら代々続くの葬儀屋とは言え高校生の僕に献茶さんとして働かせてる方が可笑しい。 しかし、そんな僕も今回の葬儀には感傷

          友だちの葬儀を担当する事になった話1

          売れない作家がただ悩む話4(完)

          仕事を辞めてしばらくは食事を摂るのが精一杯だった。昔好きだった絵を描く事も本を読むことも詰まらなく感じ、ただ時間潰しの為にテレビを見て呆けていた。 また貯金が減り続ける現状に焦り転職を考えたが、専門であった文学の分野の仕事は会社を思い出すので気が進まない。私は今何をしたいのかを見失い、ただ日銭の為に生き小説を書いていた。 ある日、本立てに挟まっているノートを不意に取り出してみた。 学生時代のノートなのか表紙には数学②と書いてあった。広げると数多の数式に赤のサインペンで正

          売れない作家がただ悩む話4(完)

          売れない作家がただ悩む話3

          ゴツゴツと角張った手に体を締め付けられ、抵抗も出来ず私はその場に立ち尽くしていた。段々と手の数は増え、私の秘部に向かってくる。 その平は優しく撫でる様に触れてくるが、ノコギリのような粗さを持っている。 「汚い…痛い気持ち悪い」 手が伸び首を締める。声も出せない。視界が黒く沈んで行く最中私は考えた。 「皆死んでしまえ…」 携帯の着信音で私を目覚めた。 見ると昼の12時を回っておりバイト先の店長からの連絡である。 私は画面をスライドさせて携帯を耳に当てた。 「はいもしも

          売れない作家がただ悩む話3

          売れない作家がただ悩む話2

          昔から母の手が好きだった。 優しく私を抱く細長くて白い手であった。 母は子供向けの水性画教室を運営しており、私も中学生の頃に母の勧めで通っていた。 教室と言っても子ども一人ひとりにカンヴァスを与え、各々好きなものを描くといった自由な授業であった。 ある日の授業中、ついつい集中を切らししまい母の手を眺めていた。柔らかな指が筆を絡め取る。 すると、その視線に気付いたのか母が不意にこちらに近づいていてきた。 「ハッピーちゃんは何を描いているの?」 彼女は紗千ではなく"幸せ

          売れない作家がただ悩む話2

          売れない作家がただ悩む話1

          小さなスタンドライトが手元を照らす。 暗い部屋の中、恐る恐るマウスを動かし、まるで自分の影に操作されてるみたいに、キーボードを叩く。 「また駄目…しかも最終選考に恋愛ものが3つ…たくっこれだからエンタメ誌は」  手のひらで机を叩くとライトが倒れそうになり慌てて止めた。 「次は4ヶ月後…ジャンルはミステリーかな…メモメモ」 机の横の本棚から「ネタ帳(事件)」と書かれたA3ノートを取り出す。 デジタルの時代ではあるものの、アイディアはどこで閃くか分からない、常日頃思いつい

          売れない作家がただ悩む話1

          陰気学生の恋愛の話4(完)

          「不思議だ、もしかすると小田さんは神秘的な力を持つ精霊かもしれない」土曜日の早朝、誰もいない部室で椅子に座り、おにぎりを食べながら言った。 どんなに自然に振る舞っても彼女の前にいると不思議と上手く行かない。近づこうとしも超自然的な何かが作用して引き離さられる気がした。 まともに話せてない接触回数が少なすぎる。これでは親密度も何も名前すら覚えて貰えてない可能性が出てきている。 「やはり小田さんは邪気を周りに肩代わりさせている…」 「私ってそんなに怖いですかね」 学校椅子

          陰気学生の恋愛の話4(完)

          陰気学生の恋愛の話3

          告白に置いて「親密度」が重要だと僕は考え、 そして親密度は数字で表すことが出来ると結論づけた。 ずばり「何回その人にあったか」である。 なので毎日、偶然を装い彼女に会いに行った。 部活内では勿論、彼女の教室前、休日の出かけ先、家の前、あらゆるタイミングを見計らい、会話を試みた。しかし上手く行かず不幸とも言える程の不思議に見舞われた。 ある日の放課後何時もの様にアップを済ませ、投球練習に移ろうと、徐々に肩を温めていた。 本格的に投げようとすると、球がゆらゆらと孤を描いた。握

          陰気学生の恋愛の話3

          陰気学生の恋愛の話2

          「私の言う事さえ聞けば必ず甲子園優勝出来ます。なので私についてきてください」 それが小田詩織が口を初めて開いた瞬間である。新学期の顔合わせも兼ねたミーティングで最後の最後でしばし沈黙が流れた。 数秒の静寂のあと何事もなかったように、 「ハイっじゃあ解散。練習内容は新道と利根川で決めていいから」 「後1年は明日から練習参加で」と小森監督が言った。 その号令で皆は立ち上がり、先の小田さんの発言についてヒソヒソと話しながらグランドに向かった。 教室から出た所でトネリが僕

          陰気学生の恋愛の話2

          陰気学生の恋愛の話1

          外に出ると、道一杯に桜が頭を垂れていた。まるで新学期を祝ってくれてるみたいだ。ついこの前新年だと浮かれ散財に散財を重ねてたと思えば、直ぐに新学期が始まりこの僕新道ミノルは高校二年生に上がっていた。 今年こそ甲子園と高鳴る気持ちについていくのに必死である。 「ッハックシュン」手が間に合わず地面に思い切り唾を飛ばしてしまう。 「女の子が噂しているのかな…」と呟くと後ろから声が聞こえた。 「花粉だよ馬鹿、後なんで女限定なんだよ」 「トネリじゃん」 野球部でバッテリーを組

          陰気学生の恋愛の話1

          植物が人間に嫉妬する話4(完)

          鼻を指す腐敗臭で飛び起きた。人間代表としての第50回の節目の会議が終わり、仲間と酒を飲んで寝ていた所であった。直ぐに部屋の窓を閉め、転がっている仲間を起こそうとして思い出した。 俺は相当昔にこの匂いを嗅いでいる。ここに来た20年前ではなくもっと昔、下界で飼っていた猫が屋根裏で死んでいた時と同じ臭いだった。 上着も着ずに天使様の寮まで走り、植物園の担当を連れて集積上に向かった。 集積上には山積みに人間の死体が置かれている。 掘り起こすと、ほぼ皮膚だけの枯れ果てた死体が転がっ

          植物が人間に嫉妬する話4(完)